北京=延与光貞
2017年6月26日19時19分
中国共産党の専制に反対して投獄されたまま、ノーベル平和賞を受けた人権活動家、劉暁波(リウシアオポー)氏(61)が末期の肝臓がんと診断され、刑務所外の病院に移送されたことが26日、分かった。劉氏の弁護士が認めた。
莫少平弁護士によると、劉氏は5月23日に末期の肝臓がんと診断を受けた。その後、当局から刑務所外で治療を受ける許可を得て、現在は遼寧省・瀋陽の病院で治療を受けているという。莫弁護士は「刑務所内の医療施設ではもう治せないため、外部の医療機関での治療が認められたということだ」と話しており、病状はかなり進んでいるとみられる。
劉氏は2008年に共産党一党独裁の見直しや三権分立の保障を求める「08憲章」を起草し、インターネット上で発表するなど知識人を先導してきた。国家政権転覆扇動の罪で懲役11年の実刑判決を受けたが、服役中の10年10月、ノーベル平和賞の受賞が決定。中国の民主化運動を象徴する存在になっていた。
中国政府は「中国の法律を犯した罪人で、平和賞の趣旨に背き、汚すものだ」などと激しく反発。人権団体などから釈放を繰り返し求められているが、応じてこなかった。親族との面会もわずかしか認められず、妻の劉霞氏は当局に厳しく監視されている。
刑期は20年までとみられており、出所後の活動再開を期待する人たちも多い。海外や香港メディアの報道で劉氏の病状を知った民主活動家の人たちは、SNS上に劉氏の写真を流し、回復を祈った。活動家の一人は「拘束前は健康だったのに、なぜここまでがんが悪化するのか」と憤った。「国内でまともな治療を受けられるはずがない。国際社会の力を借り、国外での治療を呼びかけよう」との声も出ている。
北京師範大の講師だった劉氏は89年6月の天安門事件の際、民主化要求運動でハンストを指揮し、1年7カ月間投獄された。出所後も4度にわたり逮捕・拘束されながら、ネット上などで政府や党の批判を続けたことから、「不屈の民主派リーダー」と呼ばれた。(北京=延与光貞)
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朝日新聞国際報道部