人類が初めて空を飛ぶようになって以来、上空からの調査によってそれまで知られていなかったいくつもの考古学的な発見がなされている。
今日では最先端のテクノロジーのおかげで、地球のはるか上空からの調査が可能になった。航空考古学は今や宇宙考古学とでも言うべきものだ。
宇宙から地上を測定することで、現代のインディ・ジョーンズたちは何世紀もの間隠されたままだった人類の歴史の痕跡を広範囲に渡って調査することができる。以下では宇宙から発見された4つの考古学的発見を紹介しよう。
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1. エジプトの都市3,000ヶ所、古墳1,000ヶ所、ピラミッド17ヶ所
image credit:Michael Lusk, Flickr
サラ・パーカック博士はエジプトを専門とする宇宙考古学者で、2003年以来コンピューターを用いて数多くの古墳をエジプトで発見してきた。
彼女は640キロの上空から撮影された衛星写真を解析して、人間の肉眼では見えない電磁気スペクトルを浮かび上がらせる専門家だ。この手法で地下に隠された遺跡の存在を示す異常を発見する。
これは高度に専門的な技術である。他の者ならまったく気にも留めないような地図上のわずかな変化から、パーカック博士は都市3,000ヶ所、古墳1,000ヶ所、ピラミッド17ヶ所の痕跡を見つけ出した。
また映画『レイダース/失われたアーク』で有名になった失われた都市タニスの位置の特定にも成功。タニスの入り組んだ通りや家を地上から見ることは不可能であるが、人工衛星の赤外線画像を用いることで大規模な古代都市の様子が明らかにされた。
パーカック博士は2012年のTEDトークで宇宙考古学について語り、大好評を博した人物だ。2015年には1億円相当のTEDプライズを獲得。
これを元手に市民科学プラットフォーム「グローバルエクスプローラー(GlobalXplorer)」を設立した。公式サイトからは誰でも宇宙から撮影された画像を解析して、未発見の遺跡調査を行うことができる。
2. マヤ文明の最後の日々
image credit:Guillen Perez, Flickr
うっそうとした森が広がるグアテマラ北部のペテン県は、ティカルをはじめとする中央アメリカでも最も重要なマヤの遺跡が残されている。
ここでは、マヤゆかりの遺跡を発見するためにNASAのリモートセンシングを利用した調査が行われている。マヤ文明は7〜9世紀にかけて最盛期を迎え、10世紀に差し掛かる頃に滅亡した。
文明が滅亡した理由をさらに詳しく知るために、NASAに勤務する初の考古学者であるトム・セーバー博士は、2005年に発足したSERVIR人工衛星プログラムで収集された画像を解析している。
セーバー博士が検証しているのは、マヤの滅亡は自らもたらした生態系の破壊が原因であるとする説だ(ジャレド・ダイヤモンドも同様の説を提唱する)。
画像からは、マヤ人が行なった焼畑農業によって森林の伐採が進んでいたことが示唆されている。またバホ(bajo)という湿地を枯渇させ、干ばつや気温の上昇を招いたことも判明した。マヤが辿った運命は、森林伐採と気候変動のリスクを明確に物語っている。
3. イースター島のモアイの故郷と動かした方法
1722年にオランダの冒険家によって発見されて以来、イースター島(現地の名でラパ・ヌイ)の象徴であるモアイは考古学者の関心を引きつけて止まなかった。最大の謎は、イースター島の住民が大型動物やクレーンも使わずに石切り場から巨大な石を島の各地へ運搬した方法である。
2012年、カリフォルニア州立大学のカール・リポ博士とハワイ大学のテリー・ハント博士は、人工衛星で撮影した画像で、石切り場から石を運搬した痕跡を探り、7つの主要な経路を明らかにした。ここから両氏は直立した石像をロープで傾け、回転させつつ設置場所まで”歩かせた”可能性を提唱した。
仮説を検証するために、ナショナルジオグラフィック協会探検評議会(Expeditions Council)が資金を提供し、重さ5トンものモアイのコピーを作るという実験を行なった。18人がかりで頑丈なロープを使って動かしたところ、100メートル弱をかなり楽に歩かせることができた。
4. 失われた都市イラム/ウバル
image credit:Wikimedia Commons
5,000年前、オマーンの砂漠に乳香の交易の中心地として栄えた都市があった。イラムあるいはウバルと呼ばれる、コーランと千夜一夜物語にも登場する伝説の都市である。
アラビアのロレンスこと、トーマス・エドワード・ロレンスは「砂漠のアトランティス」と呼んでおり、歴史家の中にも実在を疑う者もいた。失われた都市のミステリーはNASAの関心も引き、映像制作者で冒険家でもあるニコラス・クラップ氏の働きかけでシャトルレーダーシステムによる一帯の捜索が開始された。
1984年のチャレンジャーミッションはその絶好の機会であった。宇宙から撮影された写真からは、数百年に渡りラクダによって踏み固められた古代のキャラバンルートが明らかにされた。こうした道路の交差点を手がかりに都市の位置が推測され、1991年のクラップ氏らの発掘調査によっていくつもの塔が並ぶ要塞(コーランの記述と一致)が発見された。
古代の資料によれば、住民が堕落した暮らしを送ったことでアラーの怒りを買い、街は地中へと沈んだという。オマーンの遺跡から得られた証拠は、巨大なシンクホールによって街が消えたことを示唆している。
via:4 Amazing Archaeological Discoveries Spotted by Satellite / translated hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
2. マヤ文明の最後の日々の調査方法って、人が伐採した後には
短時間で育つ杉(数十年)みたいな木が早く育つ。半面チークとか
高級な木の場合は自然環境だと長い年数(数百年)かかる
このため短時間で育つイコール多い場所は人工的に伐採したものと
ほぼ断定できるので、異常に多い場所はイコール人のいた
痕跡跡と言える
今はグーグルマップでも容易に見れるし、意外な発見も可能かも?
2. 匿名処理班
しゅごい
3. 匿名処理班
人工衛星が有れば楼蘭なんかも簡単に見つけられたかもね?宇宙考古学なんて聞くとトンデモ系を連想しちゃうけど やってる事は極まともな事だね。