真っ赤なトマトを、香り豊かなラーメンスープに。
中華風のトマトスープは、ごま油と焦がしねぎの風味がポイント。トマトで作ったスープに中華麺を合わせて食べるというご提案です。
鶏や豚の骨、煮干しなどを本格的な出汁をとったラーメンスープを家で作るのは大変。でも、このトマト麺に限ってはごく簡単な手順で作れます。
今回のスープはトマトが主役ですが、調理では、脇役のネギがポイントです。器に顔を近づけると焦がしたネギ、ごま油、生姜の香りが一気に立ち上り、麺をすするたびに幸せな香りに包まれます。
トマト麺
材料(2人分) 所要時間約25分
ミディトマトまたはプチトマト 1~2パック(250~300g)
長ねぎ 1本
しょうが 1かけ
ごま油 大さじ3
塩 小さじ1
練りタイプの中華だし(顆粒可) 小さじ1/2
中華麺 2人分(インスタントラーメン可)
水 約400mL(スープ分)
作り方
1.材料を切る
トマトはへたをとり半割にする。★1長ねぎは白い部分5cm分は千切りにして水にさらし、白髪ねぎを作っておく。残りのねぎはみじん切り。しょうがもみじん切りにする。
2.焦がしねぎを作る
鍋にごま油とみじん切りの長ねぎとしょうがを入れ、強めの中火でしっかり色づくまで炒める。焦げ付きそうなときは水大さじ1~2を加えてもよい。★2
焦げ色がついたら鍋から別皿に移しておく。
3.トマトスープを作り、麺を入れる
2の鍋はそのままで、トマトを加え、中火にして混ぜながら炒める。トマトが煮崩れ始めたら、水400mLと中華だし小さじ1/2、塩小さじ1を加えて、5分煮込む。
中華麺を別鍋で指定通りゆで★3、湯を切って丼に入れ、2のスープをかけ、焦がしねぎと白髪ねぎをトッピングする。
レシピのポイント解説
・トマトについて
・ねぎについて
・中華麺と塩加減について
★ポイント1.トマトについて
トマトは一年中ある野菜ですが、この時季出回り始める調理用のトマトがもし手に入ったら、ぜひ使ってみてください。糖度も低めで生のままではあまり魅力はないのですが、完熟で収穫されるため色も赤くうまみ成分が多く含まれ、煮崩れもしにくいため、加熱調理で本来の味わいが発揮できるトマトです。
「サンマルツァーノ」や「シシリアン・ルージュ」といった品種が有名です。
今回は、少し細長い「シシリアン・ルージュ」を使ってみました。大きさや形では見分けにくいですが、店頭で「加工用」「調理用」と書いてある場合もあります。
シシリアン・ルージュ。この品種は生食でもおいしい
「調理用トマト」と表記されていることもある
完熟の加工用トマトはうまみ成分が多いためスープに最適
売場に置かれてないことも多いため、その場合は手軽にうまみの出るプチトマトか、中玉のミディトマトを使ってください。
★ポイント2.長ねぎについて
このスープでは1本のねぎを2通りに使い分けています。
白髪ねぎの分は、千切りにして水にさらします。焦がしねぎにする分は、みじん切りにしてたっぷりのごま油で炒めます。
まず白髪ねぎです。根元を落としてから、トッピング分5cmを切り分けます。
縦に切り込みを入れる
芯のところは取り去って、外側の部分だけを刻みます。芯は他の部分と一緒にみじん切りに。
外側の部分だけを平たくのばして端から切る
切ったねぎは水にさらし、キッチンペーパーで水気をふきとっておく
次は、焦がしネギ用のみじん切りです。まず縦方向に包丁を長く入れてから刻めば、バラバラにならずに簡単に作れます。
まず縦に1本切り込みを入れ、90度回してもう一度。これで十字に切れ込みが入
5~6mm幅くらいのみじん切りに刻むだけ
鍋にみじん切りにしたねぎとしょうがを入れ、ごま油を加え強めの中火で炒めます。
ねぎ、しょうがとごま油を混ぜ、鍋底になるべく薄く広げてから火をつける
最初はなるべく動かさずにしばらく放置。鍋にもよりますが、2分ほどで周囲が焦げてきます。
ふちの方が色づいてくるまで我慢!
周辺のねぎの色がかなり濃くなったら、大きく混ぜて加熱します。
ここまでくると焦げやすくなってくるので、へらで混ぜながら炒めて結構です。真っ黒にならないよう、でもしっかり焦げ目がつくようにしましょう。
焦げ付きそうになったら大さじ1の水を加えても。
完成。一部のねぎが多少黒くなってしまうが気にしなくてよい
そのままトマトと一緒に煮込んでも大丈夫ですが、あとでトッピングするほうが焦がしネギの香りが楽しめますので、できれば別皿にとっておきましょう。
★3.中華麺と塩加減について
常備できる乾麺があれば、思い立ったときすぐ作れます。
中華麺、あるいは卵麺などの名で、中華用の乾麺が売られています。細めの麺が合うと思います。私は手に入りやすいマルタイラーメンをよく使っています。もちろん、生麺でもいいですよ。
マルタイラーメン。まっすぐな細い麺がこのスープにぴったり
今回、塩の分量は小さじ1となっていますが、トマトの量によっても違いますので、必ず味を見て、やや濃い目に味つけをしましょう。ラーメンスープは、薄味だとぼやけてしまいます。はっきりした強い味を出すことが大事です。
ねぎやショウガ、ごま油を合わせてトマトの違う顔を引き出す
洋風のスープのイメージが強いトマトスープも、ごま油と生姜、長ねぎを合わせると、とつぜん中華料理的な香りに変化します。こうすると、どこかなじみ深さがありつつ、目新しい雰囲気で味わうことができます。
トマトの酸味でさっぱりと食べられ、調理時間も短いのでこれからの熱い季節にぴったりのおいしさです。いつもの麺に飽きたら、ぜひ試してみてください!
夏向きの麺にアレンジ
夏に向けて辛くしたり、冷やしにしたりするのも良いものです。ひき肉と一緒にすると、まさに中華風ミートソースという感じになります。
トマトは割とどんな食材とも相性が良いので、ぜひいろいろ試してみてください。
トマト坦々麺
基本のスープにひき肉を入れて山椒と唐辛子をたっぷり効かせると、坦々麺風になります。暑い日に汗をかきながら食べるのもいいですね!
冷やしトマト麺
このスープを冷やし、水で締めた麺を合わせれば、冷やし中華に。黒酢をちょっと足して、パクチーなどを添えればさらに風味豊かです。
【先着12名】「リアル・スープ・レッスン」開催します!
cakesで連載中の「スープ・レッスン」のメニューを作るところを目の前でリアルにご覧いただける、料理教室スタイルのトークイベントです。
6月公開の「グリーンアスパラの塩レモンスープ」「トマト麺」2品のデモンストレーション&試食と、この2つのスープで重要な役割を持つ「オイル」についてココナツオイル、亜麻仁油、えごま油、オリーブ油など注目のオイルの味比べもしていただきつつ、スープ作りやおいしいものの話ができたらと思っています。
日時:6月30日(金)19時~(開場18時40分)
※スタート時間の5分ほど前までに会場へお越しください。
場所:神保町 Lab&Kitchen
会費:3.500円 定員:12名
持ち物:特になし
申し込み方法:こちらよりお申し込みください。