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 幼い子どもを残してフリーキャスターの小林麻央さんが他界した。子育てをしていてがんと初めて診断される人は年間5万6千人との推計もある。がんで親を亡くす子どもが多い中、がん遺児をサポートする取り組みが始まっている。

 がんで親を亡くした子どもの心をケアするNPO法人「AIMS(エイムス)」(東京都)の前身は、胃がんで亡くなった元NHKアナウンサーの小林真理子さん(享年43)が生前の2011年に立ち上げた。

 当時、真理子さんの娘は6歳。「自分の死後、まだ十分に思いを周囲に伝えられない娘の心のケアをどうしたらいいのか、小林さんは悩んでいました」。相談に乗っていたカウンセラーで明治学院大名誉教授の井上孝代さん(72)は振り返る。

 米などに比べ日本では親を亡くした子どものケアは進んでいないとされる。そんな実情を闘病中に知った真理子さん。AIMS立ち上げの翌月、「この世を無念にも去らざるを得ないパパやママの希望に少しでもなり、残された最愛の子どもたちの心の手助けができれば、幸いです」とメッセージを残して亡くなった。

 弟で弁護士の高井伸太郎さんや井上さんらが団体をNPO法人化。現在は、2カ月に1回程度、がんで親を亡くした子どもだけが参加し、悲しみなどをケアするプログラムを開く。

 そこでは、子どもたちが、誰を亡くしたかを順に話す。話したくない子どもは話さなくていい。研修を受けたスタッフに見守られるなかで子どもたちはおもちゃで自由に遊ぶ。気持ちを発散してもらうのがねらいだ。同じ境遇の子と知り合えることにも大きな意味があるという。高井さんは「子どもの心をケアする場を増やすことが大切。医療関係者らがつなげていく必要もある」と語る。

 麻央さんの夫の市川海老蔵さん…

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