30代を過ぎると社会でも次第に立場が形成されていきます。少し余裕が出始めて、身に着ける物も気を付けるようになるのではないでしょうか?そこで、こちらでは仕事でもプライベート面においても相手に失礼に当たらないよう、さりげない自己主張ができるアイテム=腕時計に焦点をあてて、価値ある時計の選び方をご紹介いたします。
1.価値ある時計の定義
時計と言っても、いろんなジャンルやいろんなメーカーがあります。もちろん自分が大好きなメーカーや、気に入ったデザインがあればそれを購入すればいいと思います。しかしここでは、自身の失敗も含め世代に受け継いでいけそうな価値ある時計を紹介します。
時計の価格も1万円台から1億を超えるものまで多数あります。しかし価値が出る = 欲しい人がいて、さらに数が少ない ⇒ 流通量は少ないが購入しやすい相場 である事が重要と言えると思います。そこで50万円~200万前後の機械式時計に焦点をあててみました。
2.価値ある時計を選ぶための3つのポイント
2-1.時計は機械式時計を選ぶ
時計のムーブメント(動力)は、ネジやゼンマイを使い機械式(以下機械式時計)で動かすか、電池や太陽光などで動かすクォーツ式(以下クォーツ)かで違いがでます。そのため、時計としての精度はクォーツが優れていると思われます。
しかし年数が経過すると、部品がなく修理が困難となりますし、量産されているため価値は出ません。反面機械式時計は生産数も少量であり、メンテナンスも長きにわたり可能です。もし部品が無くても部品を加工したりして修理可能な時計屋さんも存在します。このような理由から、機械式時計を選択する事が価値ある時計につながっていきます。
画像参考:http://www.watchonline.jp/contents/dictionary/move/
※写真は広島県呉市大崎下島にある有名な新光時計店さん。よくTVでも紹介され、現存する中で最古の時計屋さんと言われており、可能なものはすべて修理するそうです。
2-2.メーカーの代表作を選ぶ
時計は車と似ており、中古として売る事も可能ですし、また世代で受け継ぎ、アンティーク時計となる場合もあります。その際、ポイントとなるのは購入する時計メーカーの代表作を選ぶことです。時計メーカーではロレックスのデイトナや、オメガのスピードマスターといった代表作というものがあります。
こうしたメーカーの代表作は、一時的な流行り廃りに左右されずらく、中古相場も高い水準を維持する傾向があります。時計の中古相場=価値も知っておくと、より価値ある時計を探し出せると思います。その一例を紹介します。
●代表作ではなく、デザインと予算で購入したケース
当時、私は時計のイロハもわからず、文字盤のデザインと、裏がスケルトン(機械が見える)と革ベルトが気に入り、値ごろ感があるモーリスラクロワと言うメーカーの時計を手にしました。このメーカーは新興ブランドであり、デザインの良い機械式時計を安く作る会社でした。そのため代表作と呼べる時計は当時ありませんでした。
参考)タイムトンネル:http://www.timetunnel-jp.com/?gclid=CJ2qgYG8j9QCFQ0FKgodqzEFMQ
モーリスラクロアは、現在でも機械式時計としてはお手ごろ感があり、種類も豊富にあるドイツの時計メーカーです。当時1990年代に並行輸入品を28万くらいで購入し、20年後に3万円で売却してしまいました。幸い20年間で故障は一度もなく、オーバーホールしないのに正確に時を刻んでくれました。
売却価格のみでいえば、3万という二束三文の価値になりました。ただ、20年も使った時計を10分の1以上の値段で売却できたというのは、機械式時計であったからだと思います。
●共に有名メーカーの代表的時計のケース (ロレックスのデイトナ 対 オメガのスピードマスター)
それでは、クロノグラフの金字塔とも呼べる代表作ロレックスのデイトナとオメガのスピードマスターを比較してみましょう。
2000年前後デイトナは定価で80万前後であり、デイトナは正規店販売店では入手困難。そこで並行輸入品の新品相場が100万だったのを記憶しております。当時、100万の時計など購入できず、あきらめてオメガのスピードマスタープロフェッショナルを29万円で購入しました。価格差がありますが双方世界的に有名な名機であり、現在でも共にシリーズは引き継がれています
ロレックスのデイトナは数種類あり当時の人気はNO16520モデルです。現在の中古購入価格は160万~180万前後、買取価格は恐らく100万~130万前後だと思われます。スピードマスターは裏スケルトン(裏がガラス張りで機械が見れる状態)で当時の購入価格は29万でしたが、現在の中古購入価格は20万前後、買取価格は6万~9万くらいです。
20年前の購入価格を考えると、デイトナは逆に値上がりし、スピードマスターは値下がりしていますが、購入価格の30%前後の価値がいまだあるということになります。代表作といえども人気の差が中古市場に明確に表れる例です。この価格差は流通量によると思われます。このように時計は後々の資産価値に大きく影響してきます。時計メーカーの歴史などを少しでも知識にいれて、当時のロレックスデイトナの価値を理解して購入していれば投資という意味でもメリットがあったと思います。
2-3.アフターメンテナンスも考え、時計を選定
機械式時計は電池交換などがない代わりに、定期的にメンテナンスをしなくてはなりません。油が切れたり、ネジが緩んで来たりゼンマイが切れたりして時計の精度が狂ってしまいます。そのため通常は3年~5年に一度オーバーホールというメンテナンスをする必要があります。精度が必要な機械式時計はメーカーに修理してもらうことが重要です。
しかし購入方法や経路によっては修理を受け付けない例もあります。例えばフランクミューラーなどは自社ブランドの並行輸入品の時計は、日本国内での修理を受け付けていません。並行輸入品でも本物の時計に変わりないのですが・・・!しかし正規代理店(正規店)で購入した補償書がないと国内でのメーカー修理やメンテナンスをしないのです。
フランクミュラーを例に挙げると、新品定価を100とした場合、正規店では80%~85%くらいで購入でき、並行輸入だと新品で55%~60%で購入できます。しかし並行輸入の時計を買取り(売り)に出す場合は修理を国内で受け付けていないため、なかなか時計屋さんも買取ってくれません。ようは売りたいけど売れないというケースも存在します。
また稀なケースですが並行輸入品などは機械部品の一部を取り換えている場合もあります(この場合はもちろん新品とは呼べませんが、このような時計は存在します)。こうなればメーカーでの修理は不可能になります。並行輸入品を安く購入してもメーカー修理ができないと致命傷ですし、逆に買取りなどで売る時も値段が極端に安くなります。時計を選ぶ時は必ずメンテナンス体制の事も聞くようにしてください。
画像参考:http://entameatlus.com/mechanical-watch-merit-demerit
3.お勧めする価値ある時計メーカー6ブランド13シリーズ!
ではどこの時計を購入すればいいのでしょうか?デザインが気に入り、好きなブランドがあればそれに越したことはありません。しかし今まで述べてきたように、時計は人気や歴史などに関係し価格が随分違ってきます。そこで、失敗しない時計メーカーを厳選してご紹介します。
3-1.ロレックスのスポーツ系モデル
前章でも述べましたがダントツのおすすめはロレックスのスポーツ系モデルです。特にスポーツモデルは正規代理店の定価より、並行輸入で仕入れた新品がこれを上回るという現象が起きています。さらに生産中止になると価格が上昇し、30年以上経過するとアンティークとしてさらに希少価値がでます。ロレックスを購入するのであればだんぜんスポーツ系のモデルです。
中古市場でも高値で取引され、このような現象はロレックスに顕著に表れ、他のメーカーに真似できない特徴です。人気があり、生産(供給)本数が少ないという理由でしょうか。その点から下記4シリーズは購入して損はないと思われる時計です。
3-1-1 コスモグラフ・デイトナ(ステンレスモデル)
クロノグラフ時計の金字塔です。
3-1-2 サブマリーナデイト(グリーンベゼル)※黒ベゼルもあります。
ダイバーズウォッチの原型とも呼べる時計です。
3-1-3 GMTマスターⅡ
異なるタイムゾーンを表示できる機能を備える時計です。
3-1-4 ディープシー
3900mまでの防水性能を誇る深海制覇を挑戦する時計です。
3-2.カルティエ
カルティエは高級ジュエリーブランドとして確固たる地位を築いていますが、宝飾時計としても時計単体としても歴史があり、優れたデザイン性は時計業界の歴史を作り上げてきました。その中でもタンクシリーズとパシャシリーズは歴史からみてもカルティエを代表するシリーズです。
3-2-1 タンクアメリカン&タンクソロ
文字通りタンクは戦車です。1917年代戦車のキャタピラからひらめきを得てデザインされシリーズ化された、カルティエの代表シリーズ。
3-2-2 パシャシリーズ
パシャはモロッコの太守より“プールで泳ぐ時にも携帯できる防水時計”を依頼され、カルティエが作製した世界初の防水時計『タンクエタンシュ』の流れを汲んだ時計です。パシャは‘太守’という意味を持つ言葉で、依頼者のモロッコ太守『エル・ジャヴイ公』に由来しているといわれます。
この名作も1985年の発売より世界的な人気をはくしておりましたが、今はレディースが一部残るのみです。またしばらくすれば復活するという話もありますが、もし中古市場などでよい品が見つかれば購入をお勧めします。
今回紹介しているパシャは中古市場でも20万~30万台で販売されており、大変お勧めだと思います。竜頭も品があり、一目でカルティエとわかります。サイズも今のカルティエほど大きくなく、腕につけると静かにカルティエらしい気品を主張する時計です。
http://komehyo.jp/disp/CSfGoodsPage_001.jsp?GOODS_NO=889544
3-3.パネライ
もともとは潜水の測定器などを作る会社が全身です。その技術を生かしブラックシールというイタリア海軍向けの潜水部隊へ時計を供給していました。1993年に民間向けに販売を開始し、精巧な作り込みと、独特の文字盤で認知を獲得しました。
特に2000年代から『デカ厚ブーム』の火付け役になった時計です。40㎜以上の大きめサイズと、一目でパネライとわかる文字盤。そして年間生産本数を限定し、ディティールの違う数々の時計を生み出し、パネリスティとかパネラーと呼ばれるコレクターが存在する状況を生んでいます。シリーズは大きく分けてルミノールとラジオミールの2種類です
3-3-1 ルミノールシリーズ 3デイズアッチャイオ
3-3-2 ルミノールシリーズ 8デイズチタニオ
http://www.kame-kichi.com/webitem-28546.html?q=1
3-3-3ラジオミールシリーズ 1940-3デイズアッチャイオ 特徴:リューズプロテクタ―なし、革ベルトのみのラインナップ
定価約111万
並行輸入新品価格94万台
3-4.ジャガールクルト
マニュファクチュール(時計の一貫生産)のメーカーであり、ムーブメントを他社にも供給しているほど技術的には優れています。当然世界的に有名な時計メーカーです。1本億単位の時計から数十万の時計まで幅広く揃えています。マニュファクチュールのメーカーは他にも存在しますし、ルクルトに並ぶもしくはそれ以上と評されるメーカーも多々あります。しかしあえてジャガールクルトを紹介したのは、レベルソという時計がここにしか存在しないためです。
このレベルソはイギリスでポロという乗馬ゲームをするときに時計が傷つかない様にと設計された時計で、文字盤が反転します。1つの時計で2つの文字盤を楽しむことができる時計は、ジャガールクルトのレベルソのみです。
3-4-1レベルソトリビュートデュオステンレスモデル
3-5.パテックフィリップ
世界最高峰の時計メーカーです。よく3大時計メーカーや5大時計メーカーと言われる会社があります。パテックフィリップ、バシュロンコンスタンタン、オーデマビケ、ブレゲ、ランゲ&ゾーネなどが言われています。パテックはその中でも群を抜いているメーカーと言われており、時計の永久メンテナンスをはじめ、作り込みなど目に見えないところまで精巧に仕上げています。
普通は最初に購入する時計ではないと思いますが、あえてパテックを挙げたのも、他のメーカー以上に根強い人気があるためです。価格も上は億近い物がありますが、もし無理ができるのであれば、案内する2本はお勧めです。ただし、ノーチラスはなかなか手に入りません。
3-5-1ノーチラス
天才デザイナー ジェラルド・ジェンタのデザインにより、ノーチラス号の舷窓からヒントを得たといわれています。パテックに今までないデザインでした。
参考:http://www.kame-kichi.com/webitem-13995.html?q=1
3-5-2カラトラバ
20世紀に入り懐中時計から腕時計へと時計が変化する中でこの『カラトラバ』が腕時計のデザインの基本を作り上げたといわれております。例えば時計とバンドをつなぐ4つのラグの形状。今では当たり前ですが。当時は懐中時計にバンドをつなぐ為の接続金物を、時計本体から流れるようなデザインにしたのはこの時計です。
当時のデザインの最先端のバウハウスの流れを汲み、針のデザイン、長さ、スモールセコンドの位置、リューズのサイズなど細部にわたり、美しい機能美を備え、三針時計の原点と言われる時計です。
画像参考:http://www.kame-kichi.com/webitem-13406.html?q=1
3-6.ブライトニング
パイロットウォッチと言えば、ブライトニングです。初めてクロノグラフの仕組みを時計に収めたメーカーとして知られております。さらにパイロットウォッチとしても各国の空軍に納められるほど高い技術力があります。こちらは一目でブライトニングとわかるオールドナビタイマーをお勧めします。
3-6-1 オールドナビタイマー
※こちらは定価と並行輸入価格とでは大きく差があります。これは文中に記載しているとおり、ブライトリングは正規店から購入しないとメンテナンス価格が高くなり、さらにメーカーのメンテナンスにかなり時間をかけられてしまいます。そのため並行輸入品は値崩れします。少し高くなりますが正規店からの購入も検討してください。交渉次第では正規店で20%程度はダウンする可能性もあります。
4.メンテナンスと保管方法
4-1.オーバーホール
機械式時計は通常3年から5年にオーバーホールに出す必要があると言われております。これは機械の油が切れたり、ゼンマイが削れて動きが悪くなるため、メーカーに依頼し分解⇒洗浄⇒部品交換などを行います。機械式時計のオーバーホールにかかる費用はおおよそ5万~10万前後とみておけば問題ないとおもいます。
その時には、細かな傷も磨きで綺麗になります。中古品も新品同様に磨きがかかって帰ってきます。※ただし、深い傷は治すことができませんので、落としたり強くものにあてない様にしてください。
画像参考:http://tamtime.net/beforafter/polish/
4-2.磁気には要注意
時計にとって磁気は、時計が故障する大きな原因となります。時計の中心部は金属でできており、磁力がかかると、磁力を浴びで電極が出来てしまい、時計が正確に動かなくなります。現在のJAS基準で一定基準の磁気に対応できるように各種時計メーカーは対応していますので、日常使いは問題ありません。しかし、ブレスレットで強い磁石が使われているもの、アップルウォッチなどの磁力でバンドを固定するものの近くに置くと、故障の原因となりますので、ご注意ください。もし磁気を浴びれば、オーバーホールせざるを得ない場合があります。
4-3.時計の保管
時計の保管に関しては、時計ケースに入れで保管すればいいですし、ブレス系の時計は何年かに一度購入した時計屋で超音波洗浄してください。結構汚れが出てきます。また自動巻きに関しては自動で動く時計ケースがあります。時計が止まらない様にするためケース自体が機械で動く仕組みです。
これには賛否あり、ずっと動かすことで時計の時間調整が必要ない利便性がある反面、時計のムーブメント(機械)が常に動くのでネジやゼンマイが削られていきます。当然オーバーホールのタイミングも短くなるともいわれております。あまり機械式の時計保管箱はお勧めできません。
画像参考:http://item.rakuten.co.jp/shimakobo/ka079/
5.時計を買うときの注意点
時計は個人の趣向によりますので、一概に決めつけはしにくいと思いますが以下3点に注意していただければと思います。
5-1.流行りの時計(デザインやブランドなど)
流行りのデザインなどで購入すると、長く使えない場合があります。数十万以上出す時計ですので、流行に左右されない様、お店の方とよく相談して購入してください。もちろん、ご自身が気に入った時計があれば、それで全く問題はありません。
5-2.アフターサービスが困難な時計
前章でふれております。修理がきちんとできるか確認してください。
5-3.並行輸入品の場合はギャランティー(保証書)を確認
今まで説明した中で、並行輸入品と正規品という内容が出てきました。ご存知の方も多いと思いますが、並行輸入は海外で売られている商品を国内に業者ルートで輸入した商品です。正規品というのは、各時計メーカーが日本国内に指定もしくは提携している販売代理店で販売している時計です。どちらも同じ商品と思ってください。
本来時計は正規店経由のみしか販売されませんが、人気のある時計などは店から店へ転売されて売られます。並行輸入品は海外店舗などから輸入され、通常は国内で正規店より安い価格で売られます。この場合、時計メーカーから海外代理店舗に卸されて、その後日本国内に転売する時にギャランティ―(保証書)に履歴が残るそうです。全てではありませんが、並行輸入品は一度人手に渡るため、履歴が必ず残ります。これはある意味で未使用品という事になります。新品でないけど使っていませんという複雑な意味合いです。
これを新品として販売するケースもあります。この場合ギャランティーに履歴が残ります。いつ製造されたのか、国内での履歴か海外での履歴かを確認してください。例えば並行輸入品の新品でも数年前落ちの時計も存在しますので、単に価格が安いからと購入せず、きちんとその時計の内容を把握して購入してください。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。みなさんが初めて購入したいと思う時はもしかすると何かの記念の為もしれません。ならば一生使え世代に引き継ける、または何かの時に資産価値が出る時計を選びたいものです。十数年後に買っておいてよかった!と思える時計を選ぶ参考にしていただければと思います。
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