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ジャニス: レンタルCDの秘境

  • 日本では一般的な音楽流通経路のひとつであるレンタルCD。その実情に、知る人ぞ知る都内の名店ジャニスを通して触れてみた。

    レコードショップにも名店があるのと同様に、レンタルCDショップにも名店がある。セレクトする品揃えやコメントによって、店舗への信頼感は増していく。陳列棚は客と店員を繋ぐツールだ。東京都・神保町にあるレンタルCDショップ、ジャニスは1981年から現在まで開業している。8万枚の在庫を抱える都内随一の品揃え。雑居ビルの9階にあるジャニスの店内を見渡してみると、客が歩ける幅だけを確保しながら棚が設置され、CDが棚の隙間を埋めつくし限界まで詰め込まれている。各ジャンルごとに担当が配属されていて、新譜のチェックも抜かりない。もちろん昔からの希少な音源も充実している。

    90年代後半から店舗ジャニスに通い始めた筆者の記憶の中に、『天国注射の昼』のビデオが陳列されていたことが朧気にある。国内のインディー・パンクバンドのライヴが収録されている希少なビデオを持ち帰り、何度も借りられて不鮮明になった映像を自室で観て興奮した(ただ、現在ではこのような希少な映像はYoutubeにアップロードされるようになってしまったが……)。そういった中古で高値の付くレア盤を取り扱うだけでなく、ワールドミュージックから現代音楽、そして落語、サンプリングCDなどのコーナーもあり、オールジャンルで名盤を取り扱っている。

    RA読者に馴染みのある音源では、レコード店で見かけることの少なくなった90年代のテクノの名盤から、UKベースのKode9、ジャーマン・プログレッシヴロックのKlaus Schulzeのアルバムも借りられる。私のように音楽ライターを生業とする身にとっては、時に豊富な知識を得られる貴重なライブラリーとしての役目も果たしてくれる。さて、今回は知る人ぞ知る名店であるジャニスを発端にして、レンタルCDの実態についても触れていこうと思う。





    ジャニスは、1981年に小さなビルの一室からスタートする。当時はまだCDというメディアが存在せず、レコードを貸していた。オープン当時から現在まで「音の図書館を作ろう!!」という基本姿勢が現在まで貫かれる。聴きたくても聴けない廃盤や、時代の波に埋もれてしまった名盤の数々。決してその内容が劣っているわけではないのに、商業ベースから外れてしまった事で手に入りにくくなってしまった素晴らしい音楽を、レンタルという形でたくさんの人に聴いてもらいたい、というコンセプトは店内の随所から感じ取ることができる。

    今回、現ジャニスの店長を務める下城貴博氏に話を伺うことができた。彼は高校生の頃にクラブ通いを始めたと同時に、ジャニスに通い出したという。「ジャニスに行けばクラブでかかっていたのがあるだろうって。ジャニスで借りてテープにダビングして。ほとんどと言っていいほど、クラブミュージックを吸収できたのがジャニスだったから」。その後、20歳の頃からエレクトロニック・ミュージシャンGeodezikとして活動を始め、当時Beat Recordsに所属後、98年のフジロックに出演。自主盤合わせて4枚アルバムを出し、ここ11年間は休止しているが、そろそろ活動再開を考えているようだ。

    下城氏はジャニスで1999年から飛び込みで働き出し、間もなく時代の流れを追ったコーナーを作った。「僕が入った時に、エレクトロニカのコーナーを作ったんですよ。テクノに埋もれていたBoards of CanadaとかAutechreをピックアップして、200~300枚からスタートさせたことですね。テクノのカテゴライズにあったものをエレクトロニカに引っ張ってきて。そこからKid606とかも。気付けば2000~3000枚が在庫になったんですよ」。それには当時ラップトップで作曲するのがクールという流行があったのも背景にあるようだ。

    独自の切り口のコーナーを作っているのは、ジャニスの特徴のひとつ。例えば『フューチャーエキゾチズム』というコーナーでは、Clap! Clap!などのクラブミュージックとワールドミュージックのアーティストを同じコーナーで紹介している。歴史やジャンルを超えた再発見が多いと思わされる点だ。「その言葉に当てはまるような音を各ジャンルから集めてきます。その時その時のトレンドのコーナーに旧譜を混ぜたりするんですよね。そうすると、動いていなかった旧譜が動いてくれたり、そこからお客さんが勝手に広げてくれたり、問い合わせがあったり。ニュージャンルだけで終わらないなにかがあるんで」。また、ジャンルを超越した、ピンポイントな視点でのスタッフのオススメもある。「僕個人がやっちゃうことなんですけど、他ジャンルのアーティストでも、実はエレクトロニカにもこういうアプローチをしているというレコメンドすると、ウチは視聴できるんで時間に余裕があるひとが聴いてくれるんですよね。例えばプログレッシブ・ロックのTangerine Dreamを聴く人がいたら、エレクトロニカにもTangerine Dreamのコンセプトに近い人がいるとレコメンドできる。ヒップホップのチョップモノが好きな人がいたら、Prefuse 73を紹介できる。そういうお客さんとのコミュニケーションができるようにしていますね」



    Janis





    そういった個性的な店側のアプローチ方法によって思わぬ作品に出会う楽しみがある一方で、探している盤のタイトルやアーティスト名が明確な場合であれば、入荷している在庫は独自の検索システムで自由に検索できるため、目を凝らして探し回ることなく目的のアイテムまで辿り着ける。また店頭のCDの一枚一枚には店員による解説が付いていて、全てのレンタル商品が店内で試聴可能。宅配で返却できるので、遠方に住んでいたとしても店舗に寄らずに済ますことも魅力だ。それだけでなく、音楽シーンへの配慮として、視聴コーナーには音楽イベントのフライヤーが置いてある。現場のリアルなシーンとジャニスが繋がっているということを忘れてはならない。

    お客さんの需要も独特で、ジャニス独自のチャートは昔からある面白い集計結果だ。ゆらゆら帝国とボアダムスの山本精一の人気は異常で、2014年は坂本慎太郎の『ナマで踊ろう』がレンタルランキング一位となった。「なんやかんやいって、日本人なんですよね」と下城氏は言う。やはり今のアイドルも人気のようで、BiS、でんぱ組.inc、ベビーメタルなどの現在のオルタナティヴなアイドルが借りられるようになった。「ああいう文化はジャニスにも及んでいますね。ヴォーカロイドも常に入荷しています」

    電子音楽では去年はAphex Twin『Syro』も話題だったという。なかでも特別なのが、細野晴臣の独立したコーナーがあり、その中にYMOがあるということ。「常に細野さんは貸し出されていますね。僕の友人の外国人曰く『Hosono is Groovy』って言うんですよ。細野さんの良さって声だと思うんですよ。ナレーターとしてもトップクラスだと思うし、ヴォーカリストとしても本当に優れていると思います」

    他のジャンルで言えば、ロックではFrank Zappaは異常で、コンスタントに借りられている。あとはRadiohead。ダブでいうとAdrian Sherwoodだったり、Brian Enoも一定数の人気だ。「Enoはグラム・ロックからアンビエント・ミュージックから、本当にいろいろ作るので、イギリスの細野みたいな感じがありますね。職人気質な人が人気かもしれませんねえ」

    ここで、ジャニスの他にもレンタルCDショップがあることを明記しておきたい。東京のジャニスと双璧をなす、大阪・日本橋にあるK2 Recordsも音楽専門のCDレンタルショップだ。ジャニスより古くから営業している数少ない店舗で、関西(及び日本)で最大級のCDライブラリーである。ジャニスの会員証を提示すると入会が無料になるということで、都市を跨いだ交友関係が結ばれている。国内のレンタルのチェーン店では、Tsutaya、Geoが大手となり、商品のメインはDVDのレンタル。最大手であるTsutayaは、日本国内1461店舗と台湾7店舗の計1468店舗(2013年12月末)を展開して、主要な都市に店舗が配置されている状況だ。なかでもTsutaya新宿店、渋谷店はCDの品揃えが充実している。チェーン店ならではの驚く点は、レコード会社と契約を取り交わしてTsutayaでしか借りられないオリジナルで制作されたCDが店舗に並ぶこともある。「渋谷のTsutayaにはポストロックやエレクトロニカのコーナーもあって、やばいって思いましたね。ライバルですね(笑)」と下城氏も言及している。





    日本レコード協会の集計による、国内のレンタル店の店舗数は、1989年の6213店舗をピークに減少傾向になり、2013年には2704店舗となっている。現在は、TsutayaとGeoの大手2社による価格競争に拍車がかかり、体力勝負のビジネスになってしまい、新規参入が難しい状況にある。ジャニスの至っては「若いお客さんが入会しなくなってきたというのがありますね。ウチのコアになる年齢層って30代から50代なので高いんです」という。しかしそういった競争の中でも、ジャニスはマニアックな品揃えを維持するという独自のスタンスを築いて、現在でも愛され続けている。

    では、レンタルCDという業態の始まった歴史を簡単に追ってみよう。1980年6月、東京三鷹市で第1号のレコードレンタル店、黎紅堂(れいこうどう)がオープンする。レンタルという新しい業態が始まったが、当初はレンタルに関する権利や規制が何もなかったため、レンタル店は自由に営業を行なえた。2年後には全国に200店、その後も増え続け、1984年12月末には約2000店舗まで広がった。企業の規模は、年間売上高が十億円を超えるところから、一千万円の個人商店まで、さまざま。当時のフランチャイズ店の大手は、黎紅堂、友&愛。その黎紅堂社長、大浦清一氏は当時こう語った。「ひとつの業態が、わずか3年で全国に普及し、法人として認可されたのはまったく異例のことである。今や貸しレコード店が、レコード流通の新しい形態として、市民権を得たことは誠に喜ばしい。メーカーの圧力に屈しないためにも、ぜひ多くの消費者の支持がほしい」

    ここまで急速にレンタルが普及した時代背景としては、レコードを録音できるテープレコーダーの普及と、第2次オイルショック後の影響もあって、レコード自体の値上げも起きたことがある。LPは当時1枚2800円で、かなり高額な部類に入るだろう。店頭でレコードを試聴出来る店舗が減り、音楽の嗜好も多様化ということもあって、時間のある若者がレンタルをして、録音の音質の良くなったカセットテープに保存するケースが増えた。1982年10月には新しい録音媒体であるCDが世界に先駆けて発売された。それから、扱う商品が貸レコードからレンタルCDへと徐々に移行していく。

    テープレコーダーの出現などによってメディアが多様化して、実際レコードを販売する店舗の売上が伸び悩む中に、突如として出てきた貸しレコード店に対してトラブルが発生した。その最も大きなものが著作権問題だ。レンタルにより販売が阻害されるとする当時のレコードメーカーや著作者からは訴訟提起や立法による「貸レコード問題」の規制運動が始まった。日本レコードレンタル商業組合と、日本音楽著作権協会とのあいだで1983年から交渉が続けられ、最終的には国会などでの討議を経て、1984年に著作権法の改正がされた。「公正な使用料をもって許諾すること」との附帯決議が付されたうえで、レコードやCDレンタルに関する権利「貸与権」が新設された。レンタル業界は市民権を獲得すると同時に、それ以降権利者の許諾を受けて、著作権料使用料の支払などを行なうことになった。



    Janis



    以前に私は某レコード店でCDをレンタルしたという話をした際に「違法ではないのか?」と店長に言われて調べたことがある。小売店とレンタル店は利害関係が不一致しているので、気になってしまうのは当然のこと。ただ、たしかにジャニスがマニアックな品揃えということもあって違法と思ってしまう気持ちもわからなくはないが、法律的には問題がないことは、業界団体の説明である日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合 (通称CDV-JAPAN)のウェブサイトを見れば明らかで、”邦盤のアルバムは発売日から3週間のレンタル禁止、シングルは禁止期間なし。洋盤のアルバム、シングルはともに発売日から1年間レンタル禁止"とある。

    では、レンタルしたCDをリッピングする(データとして変換してPCに取り込む)行為は、違法ではないのだろうか? それについて文化庁のサイトには、"個人的に楽しむ目的で、レンタルしたCDやビデオを自宅でコピーすることは著作権法でも認められた行為で、コピーをすること自体は全く問題ありません。いわゆる私的使用を目的とする場合については、「例外」として著作権者の許諾を得ずに著作物をコピーすることが認められています。ただし有償・無償を問わず、大量にコピーして多数の人に配布することは、この範囲を逸脱していると考える"と記されている。

    では、なぜ「貸与権」が生まれたかという話について。当時、レコードを借りた顧客が自分でテープに録音するという前提のうえに成り立った商売であり、レンタル料金の安さとウォークマンの普及もあって瞬く間に全国に広まった。70年代までに家電メーカーは、オーディオ機器販売戦略の一環として、既存の音楽ソフトメーカーを傘下に入れたり、子会社としての音楽ソフトメーカーを持っていた。ソフトのレンタルが広まればハードウェアが売れる。ソフトの売上よりも、単価の高いハードの売上が優先した背景があった。今で例えるなら、iTune Music StoreとiPodの関係に近いとも言えるだろう。ハードウェアとソフトウェア、その両輪が回らないことには音楽文化は定着しないのだ。





    海外のレンタルCD事情も気になるところ。海外へ行ったことのなる方ならわかるだろうが、日本国外で街中でレンタルCDショップを見かけることはなかなかない。これは単純に著作権の扱い方の違いが大きい。日本のみが「貸与権」という権利が作られているという特殊な状況なのだ。ただ逆に言えば、海外でiTunes Store、Spotifyなどのオンラインによる音楽配信が発展したのは、海外では購入よりも安値な流通経路であるレンタルCDという文化が定着していないからで、日本よりもいち早く設立/定着しやすかったのだろう。

    だがしかし、ここで問題も発生してくる。レンタルして作品を楽しんでもらうのことはアーティストにとって大いに喜ばしいことであるが、著作権料がきちんと支払われるかというのはアーティストにとっての死活問題。申請しなければ、レーベル側には一銭も入ってこない。とはいっても借りる客にしては、メジャー/マイナー関わらず店頭に陳列された商品を気兼ねなく楽しみたい気持ちだけで借りる場合が多いので、現状はレンタル拒否の申請をするしかないだろう。「多くの人に聞いてもらいたいなっていうのが、ただ単純なコンセプトですね。小さいサークルで終わらせちゃうんじゃなくて、もっとみんなで楽しい物があるんだから聴こうよ。単純にそれですね。ジャニスの努めとしては、該当しているCDを探し当てることと、それに近いものをレコメンドすることだと思っています。お客さんが減っている状況でもあるから、こちらで何かしかけないとと思っていますね。そういう情報はSNSなどでまめにチェックしていますね」

    ネットでいくらでも音源を試聴することができる現代だが、デジタルでは楽しむことの出来ない楽しみもある。在庫が大量に陳列された店内、ジャケットの質感、解説の書かれたライナーノーツ、CDの盤面に刻印されたデザインなどを一定期間だけではあるが安値で楽しめるのがレンタルCDの魅力だ。多くの作品に触れられるひとつの手段としてリスナーにおすすめしたい。当然ながら、アーティストがより良い次回作を作る糧となるので、気に入った作品があれば小売店での購入も念頭にいれるのが良策だ。
    • 文 /
      Kentaro Takaoka
    • 掲載日 /
      Tue, 26 May 2015
    • Photo credits /
      Alexis Wuillaume
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