写真は台湾東部の街・花蓮の街中である。台湾のこういった街の路地などでは、たまにこのような『讓』と書かれた標識を見かける。
日本人ならなんとなく読めてしまうのではないだろうか。『譲』と言う漢字の旧字体である。譲る(ゆずる)、譲渡(じょうと)などが示す通りの意味だ。
正確に教わったわけではないが、恐らく「こちらが優先道路ではないですよ」という意味であろうという推測は間違っていないと思う。日本なら一時停止の標識がありそうなものだが、台湾では一時停止まではしなくても良いらしい。しかし日本では標識がなければ、すなわちルールで縛らなければ、自律的にモラルを作ることができないからだと考えられなくもない。
極端な発想、あるいは単なるこじつけだろうか。いや、これだけならそう思われても仕方ないが、以前の記事にも書いた通り、海外に出てみると日本のルール化が過剰すぎる部分に気付かされることもしばしばある。私的にはこの標識もそんな側面の一つだと思えなくもない。もちろん、他の人が見れば、また違ったことを感じられたり、あるいはなんとも思わない方もいらっしゃることだろう。
ちなみに日本の道路交通法でも、信号機などの交通整理がない交差点に於ける優先道路の決まりはある。標識もあるが、標識がなくても基本的に車線の多い道路、交差点で車線が遮られないほうの道路が優先、などが決まっているし、同じくらいであった場合は左方から進行してくる方が優先である。
ただ、教習所で習ったことなどすっかり忘れているのか、ただの横着か、うっかりミスなのか、よくわからないが、優先ではない道路からでも我が物顔で進入してくる車両は少なからず見受けられる。結局、自分が優先道路で徐行義務がないと言っても、そんな小さな正義を振りかざして事故に遭うよりは、見通しのよくない住宅街などでは徐行するくらいでちょうどいいのだろうと思っている。
【写真】2009年12月
【文章】2017年6月
とても相手のことを思いやった(?)標識で好きです。