乗客の体内に埋め込まれたマイクロチップをスキャンする新方式を導入。
SJ
スウェーデンの国営鉄道会社SJが最近、新しい料金支払い方式の導入を発表した。車内検札時に、乗客の手に埋め込まれた認証チップをスキャンすることで、乗車料金を徴収する。
インディペンデントの報道によると、スウェーデンには、マイクロデバイスを体内に埋め込んだ、いわゆる「バイオハッカー」がおよそ2000人いるとされ、SJはこのうち200人が6月初旬に正式開始したこのサービスを利用すると見込んでいる。
これまでに、検札時にバーチャル乗車券ではなく乗客のLinkedInのプロフィールが表示されるなどの不具合も生じたが、それでもこのプログラムは今のところ成功しているとSJは述べた。
SJの広報担当者は、「中にはマイクロチップを通じて、自身の行動を追跡されるかもしれないと考える人もいるが、追跡を心配するのであれば、携帯電話やクレジットカードを使っていることをもっと懸念すべきだ。マイクロチップ以外でも、人は様々な方法で既に追跡可能になっている」とインディペンデントに語った。
デジタル決済の分野で、スウェーデンは世界有数の先進国だ。現金払いは全決済のわずか2%で、残りの98%はクレジットカード払いや電子モバイル決済となっている。なおアメリカの現金払いは33%、日本は50%だ。
マイクロチップの皮膚の下への埋め込みは、「バイオハッキング」の主な手段としてここ数年で普及した。埋め込まれたチップは、例えば家や車の鍵の開閉などに使われる。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループは、がんや、炎症を起こすさまざまな病気をモニタリングできる埋め込み装置のテストを実施している。
SJの取り組みが、全面導入までにいくつかのハードルに直面することは間違いない。既に、埋め込んだマイクロチップに個人の財務情報を保存することについて、安全性を懸念する声が上がっている。SJによると、各乗客の乗車券購入アカウントに会員番号を割り当てることで、個人情報を守る仕組みになっているという。
自分の手にマイクロチップを埋め込む勇気がある人にとっては、券売機の前に並ばずに済むことで生まれる時間の方が、大切なのかもしれない。
[原文:A Swedish rail line now scans microchip implants in addition to accepting paper tickets]
(翻訳:まいるす・ゑびす)