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業者9割「野鳥の食害」 弥富金魚で被害157万匹

 全国有数の金魚産地として知られる愛知県弥富市周辺の養殖池から大量の金魚が消えた問題で、弥富金魚漁業協同組合(同市)が組合員に実態調査を行い、回答した業者の約九割が野鳥などの食害を訴えたことが分かった。昨年一年間の被害は一緒に養殖するメダカを含め、組合全体の生産量の一割に当たる約百五十七万匹(推計値)に上った。

 実態調査は一九六〇年の組合設立以来初。県の協力を得て五月末までに同県弥富、津島、愛西の計三市と飛島村で金魚を養殖している全組合員計九十一軒に昨年の被害状況についてアンケートを実施し、七十六軒(83%)から回答を得た。

 七十六軒のうち、七十一軒が食害があったと回答。原因を尋ねた設問(複数回答)では、サギが六十七件と最も多く、カモ六十一件、カワウ六十件、カラス四十二件などと続いた。イタチ(二十七件)やカメ(四十二件)などもあったが、目撃証言などから野鳥が主な原因とみている。

 被害は、ラムサール条約登録湿地の藤前干潟(名古屋市港区)など、渡り鳥の飛来地が広がる名古屋港臨海部だけでなく、すべての地区で確認された。

 組合によると、今夏の需要期は乗り切れる見通し。渡り鳥の飛来が活発になる今冬ごろまでに、池の上や周辺に網を張るなどの対策を強化する方針。組合は六月中旬、調査結果を弥富市などに報告し、対策の支援を要望した。

 伊藤恵造組合長(64)は取材に「高齢化と担い手不足で業者は減り続けている。飛来する鳥の数は変わっていないようなので、被害が集中しやすくなっている」と指摘。「ブランドを守るために対策を講じたい」と話した。弥富市の服部彰文市長は「地場産業を守っていくために、どういう支援が良いか、組合側と協議していきたい」と話した。

 (酒井博章)

 

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