脳卒中の専門治療 24時間体制整備へ 厚労省
脳の血管が詰まったり、破れたりする「脳卒中」は治療の遅れが死亡や重い後遺症につながることから、厚生労働省は全国で24時間いつでも専門的な治療が受けられるよう、医療体制を整備していく方針を固めました。
脳卒中は、脳の血管が詰まる脳梗塞や、血管が破れる脳出血などがあり、年間10万人以上が死亡していますが、発症しても早く専門的な治療を受けることができれば、死亡や後遺症のリスクを大きく下げることができます。しかし、専門の医師が少ない地域では、適切な治療をすぐに受けられないケースもあります。
脳梗塞の患者に有効な治療法で薬で血管の詰まりを溶かす「tーPA療法」は、発症から4時間半以内に行う必要がありますが、治療を受けられた人は推計で患者のおよそ5%にとどまっています。
このため、厚生労働省は脳卒中を発症した患者が、「tーPA療法」などの専門的な治療を全国で24時間いつでも受けられるよう医療体制を整備していく方針を固めました。
具体的には、地域にいる専門の医師が連携し、担当の時間帯を割りふるなどして24時間いずれかの病院で救急搬送された患者に、専門的な治療を行える体制を整えます。
また、専門の医師がいない病院に発症後まもない患者が運び込まれた場合は、脳の画像などの検査情報を別の病院にいる専門の医師に送り、具体的な指示を受けながら治療を行えるようにします。
厚生労働省は、こうした方針を今後、都道府県に示し、医療計画などに反映するよう求めることにしています。
脳梗塞の患者に有効な治療法で薬で血管の詰まりを溶かす「tーPA療法」は、発症から4時間半以内に行う必要がありますが、治療を受けられた人は推計で患者のおよそ5%にとどまっています。
このため、厚生労働省は脳卒中を発症した患者が、「tーPA療法」などの専門的な治療を全国で24時間いつでも受けられるよう医療体制を整備していく方針を固めました。
具体的には、地域にいる専門の医師が連携し、担当の時間帯を割りふるなどして24時間いずれかの病院で救急搬送された患者に、専門的な治療を行える体制を整えます。
また、専門の医師がいない病院に発症後まもない患者が運び込まれた場合は、脳の画像などの検査情報を別の病院にいる専門の医師に送り、具体的な指示を受けながら治療を行えるようにします。
厚生労働省は、こうした方針を今後、都道府県に示し、医療計画などに反映するよう求めることにしています。
早期治療とtーPA療法
脳卒中は、発症して時間がたつほど脳のダメージが深刻になり、死亡したり、手足のまひや言葉が出なくなるといった後遺症が出たりします。
山口県宇部市に住む79歳の女性は、去年12月、深夜に脳梗塞を発症しましたが、病院に行くのが遅れ、朝になってから治療を受けたため、左半身にまひが残って歩くことが出来なくなりました。現在は入院し、リハビリに取り組んでいています。
厚生労働省が4年前に行った調査では、要介護1から5までの人のうち、介護が必要となった主なきっかけが脳卒中だったという人は22%に上り、原因の中で最も多くなっています。
脳卒中による後遺症を最小限に抑えるには早期の治療が不可欠です。このうち脳梗塞の患者に有効で、死亡や後遺症のリスクを大きく下げることができるとされているのが、「tーPA療法」と呼ばれる治療です。「tーPA療法」は、発症後、4時間半以内に薬を投与することで血管を詰まらせている血栓を溶かします。ただし、薬の量を誤ったり、血小板の少ない患者に投与したりすると、脳出血などを引き起こすおそれがあり、専門の医師のもとで慎重に実施する必要があります。
日本脳卒中学会は、「tーPA療法」を全国で推進してきましたが、専門の医師がいない医療機関が多く、治療を受けられたのは推計で患者のおよそ5%にとどまっています。学会では今後、病院どうしが連携したり専門の医師を増やしたりして、5年後までに実施率を10%に引き上げる目標を掲げています。
山口県宇部市に住む79歳の女性は、去年12月、深夜に脳梗塞を発症しましたが、病院に行くのが遅れ、朝になってから治療を受けたため、左半身にまひが残って歩くことが出来なくなりました。現在は入院し、リハビリに取り組んでいています。
厚生労働省が4年前に行った調査では、要介護1から5までの人のうち、介護が必要となった主なきっかけが脳卒中だったという人は22%に上り、原因の中で最も多くなっています。
脳卒中による後遺症を最小限に抑えるには早期の治療が不可欠です。このうち脳梗塞の患者に有効で、死亡や後遺症のリスクを大きく下げることができるとされているのが、「tーPA療法」と呼ばれる治療です。「tーPA療法」は、発症後、4時間半以内に薬を投与することで血管を詰まらせている血栓を溶かします。ただし、薬の量を誤ったり、血小板の少ない患者に投与したりすると、脳出血などを引き起こすおそれがあり、専門の医師のもとで慎重に実施する必要があります。
日本脳卒中学会は、「tーPA療法」を全国で推進してきましたが、専門の医師がいない医療機関が多く、治療を受けられたのは推計で患者のおよそ5%にとどまっています。学会では今後、病院どうしが連携したり専門の医師を増やしたりして、5年後までに実施率を10%に引き上げる目標を掲げています。
「遠隔医療」で先進的取り組み 山口
地域の病院が連携して脳卒中の早期治療を目指す先進的な取り組みが、山口県で進んでいます。
山口県宇部市の山口大学医学部附属病院は、脳卒中の患者にいつでも専門的な治療を行えるよう、脳外科の医師17人が交代で24時間常駐しています。脳卒中で倒れた患者が運び込まれると、速やかに検査を行い、脳梗塞と診断された場合は、「tーPA療法」を実施します。
先月30日に脳梗塞を起こして自宅で倒れた宇部市の西垣五十六さん(67)は、救急車で病院に運ばれるとすぐに脳の検査を受け、到着後、わずか30分で「tーPA療法」が行われました。その結果、重い後遺症が残ることはなく、5日後には娘の結婚式に出席できるほどに回復しました。
しかし「tーPA療法」は、薬の量などを間違えると最悪の場合、死亡するリスクもあり、専門の医師が関わる必要があるため、実施は一部の病院にとどまっていました。
こうした中、山口大学医学部附属病院は5年前から、「遠隔医療」によって専門の医師がいない病院でも、tーPA療法を実施できる取り組みを進めています。
まず、大学病院と地域の病院との間で患者の情報を送受信できる、セキュリティーの高い専用の通信システムを整備しました。そして、専門の医師がいない病院に患者が運び込まれた場合、脳の画像などの検査情報を大学病院にいる専門の医師に送ります。大学病院の医師はそれを基に診断し、投与する薬の量などを伝えます。
このネットワークには現在、山口県などの10の医療機関が参加していて、山口大学医学部附属病院は今後、参加する医療機関を増やし、県内どの地域でも24時間、「tーPA療法」などの専門的な治療が行える体制を整えたいとしています。
山口大学大学院医学系研究科の鈴木倫保教授は「専門の医師をすべての病院に配置するのは非常に難しいので、中心となる病院がほかの医療機関をサポートする体制が必要だ」と話しています。
山口県宇部市の山口大学医学部附属病院は、脳卒中の患者にいつでも専門的な治療を行えるよう、脳外科の医師17人が交代で24時間常駐しています。脳卒中で倒れた患者が運び込まれると、速やかに検査を行い、脳梗塞と診断された場合は、「tーPA療法」を実施します。
先月30日に脳梗塞を起こして自宅で倒れた宇部市の西垣五十六さん(67)は、救急車で病院に運ばれるとすぐに脳の検査を受け、到着後、わずか30分で「tーPA療法」が行われました。その結果、重い後遺症が残ることはなく、5日後には娘の結婚式に出席できるほどに回復しました。
しかし「tーPA療法」は、薬の量などを間違えると最悪の場合、死亡するリスクもあり、専門の医師が関わる必要があるため、実施は一部の病院にとどまっていました。
こうした中、山口大学医学部附属病院は5年前から、「遠隔医療」によって専門の医師がいない病院でも、tーPA療法を実施できる取り組みを進めています。
まず、大学病院と地域の病院との間で患者の情報を送受信できる、セキュリティーの高い専用の通信システムを整備しました。そして、専門の医師がいない病院に患者が運び込まれた場合、脳の画像などの検査情報を大学病院にいる専門の医師に送ります。大学病院の医師はそれを基に診断し、投与する薬の量などを伝えます。
このネットワークには現在、山口県などの10の医療機関が参加していて、山口大学医学部附属病院は今後、参加する医療機関を増やし、県内どの地域でも24時間、「tーPA療法」などの専門的な治療が行える体制を整えたいとしています。
山口大学大学院医学系研究科の鈴木倫保教授は「専門の医師をすべての病院に配置するのは非常に難しいので、中心となる病院がほかの医療機関をサポートする体制が必要だ」と話しています。