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 東京都議選が告示された。

 有権者は日本の人口の1割にあたる1100万人。「首都」の選挙であると同時に、旧態依然の体質を引きずる巨大な「地方議会」の選挙でもある。

 誰に、どんな思いを託して一票を投じるか。考えるべきポイントは少なくない。

 まずは、注目の小池百合子都知事との向き合い方だろう。

 就任以来のこの11カ月で、知事は東京五輪の経費削減や会場見直しに取り組んだ。市場問題では、延期していた豊洲への移転を選挙直前に表明し、築地との「両立」を打ち出した。

 情報公開を高く掲げ、これまでにない改革を進めているという評価もあれば、「敵」をつくっては都政をかきまわしているだけとの批判もある。きのうの各党の第一声でも、知事への姿勢はさまざまに分かれた。

 確認しておきたいのは、都議会は知事の追認機関であってはならない、という大原則だ。

 地方自治を支える「車の両輪」として、議員は知事と緊張関係を保ちながら、予算や施策を監視する責任がある。

 今年春の都議会では、石原慎太郎知事のころに決まった市場移転の経緯がただされ、その不透明ぶりが浮き彫りになった。

 長年にわたって知事与党だった自民、公明両党が、チェック機能を十分に果たしてきたとは言いがたい。それは同時に、小池知事が代表を務める地域政党「都民ファーストの会」が、知事の方針にただ追従するのではなく、本来の役割を果たせるかとの懸念にも通じる。

 早大マニフェスト研究所の報告書では、47都道府県議会のうち、都議会の「改革度」は36位だ。1人あたり年600万円の政務活動費を受けとる一方で、議員提案による政策条例の実績はゼロ、委員会審議のネット中継もない。議場では品のないヤジが飛びかう。実に恥ずかしく、情けない議会である。

 適切な見識と立案力を持ち、自立した候補者は誰なのかを、冷静に見極めたい。

 かつての社会党や日本新党の躍進、政権交代をもたらした民主党の圧勝、そして自民党の復権と、都議選はその後の国政選挙の行方を幾度も占ってきた。今回は、加計学園や森友学園をめぐる問題などで、政権批判が高まるなか実施される。その観点からも目が離せない。

 選ばれる都議の任期は東京五輪の後も続く。福祉、防災など多くの課題を抱えるこのまちの将来を、知事とは別の立場で担っていく議会をどう作るか。有権者も試されている。

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