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  • 自民木原議員の「やじ動員」発言に、追悼式出席の遺族らが反発
  • 安倍首相に声を上げた82歳男性は沖縄戦で祖父と兄を失った
  • 遺族会前会長は「皆さまざまな思いを抱え自主的に参加している」

 沖縄全戦没者追悼式で安倍晋三首相へのやじや罵声が飛び交ったことに対し、自民党前青年局長の木原稔衆院議員(熊本1区)が「明らかに動員されていた」と述べていた問題について、追悼式に参加していた遺族や関係者は怒りをあらわにした。

沖縄全戦没者追悼式の会場に入る安倍晋三首相=23日午前、糸満市摩文仁・平和祈念公園

 安倍首相に対し「式典に参加する資格はないぞ」と声を上げ、警官に会場の外へ連れ出された那覇市の男性(82)は、祖父と兄を沖縄戦で亡くした遺族の一人として自主的に参加した。

 やじは、悩んだ末の発言だった。「新基地建設を強行し、安保法案成立を急ぐ首相をじかに見て、黙ってはいられなかった」

 木原氏の発言については「都合よく一方的に『動員』と決め付けることで、県民の声を封殺しようとしている」と指摘。その上で「声を上げたのは自分だけではない。政府や首相に対する反発は大きいと感じた。平和を願うあの場に、今の首相はふさわしくない」と強調した。

 県遺族連合会前会長の照屋苗子さん(79)は「何を持って動員したと言っているのか」と木原氏を批判。「追悼式には、戦争で肉親を失った遺族がさまざまな思いを抱えながら自主的に参加している。発言は、絶対に許すことはできない」と怒りを口にした。

 追悼式に参加した高嶋伸欣(のぶよし)琉球大学名誉教授(73)は「政府の偏見がここまで来たか」とあきれる。「翁長知事の平和宣言には万雷の拍手が起こった。その盛り上がりを受けての首相への怒号。事前に準備したものとは思えない」と指摘した。

 名桜大学3年の女性(20)=うるま市=は「祖父の弟に手を合わせにきたのに『動員された』との発言に腹が立つ。沖縄の人たちはみんな平和を願ってあの場所に集まっている」と憤った。

 木原氏は報道機関を批判する意見が相次いだ自民党の若手議員の勉強会の代表で、党青年局長を更迭された。