田舎、美少女、謎の死。かつてあなたが『ひぐらしのなく頃に』に熱狂したなら『はっぴぃヱンド。』は絶対に面白い。 15年前、雛見沢村に思いを馳せた、すべての人に
『ひぐらしのなく頃に』
そのタイトルを、誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。 ボタンを押してテキストを読むだけの同人ノベルゲームから始まり、アニメ化、マンガ化、映画化と、メディアミックスを端から端まで網羅した化け物作品です。
初めて発表されてから今年で15年、アニメの初回が放送されてから11年経っているという事実に「嘘だッ!!」と叫びたくなりますが、勤務先最寄り駅のパチンコ屋を通りがかったところ、『CR ひぐらしのなく頃に』の看板を目にしたので、恐ろしいことにまだまだ現役作品となのかもしれません。
さやわか『僕たちのゲーム史』(星海社)によれば、プレイヤーたちは新作が発表されるたびにネットの掲示板で推理をぶつけ合ったといいます。2002年当時、Twitterは日本上陸はおろか、創業すらしていません。そんな時代に大いに語られ、そして今もなお目に触れる『ひぐらしのなく頃に』。いまだに舞台となった雛見沢村に魂が囚われているという人も、少なからずいるのではないでしょうか。
今回ご紹介する『はっぴぃヱンド。』は、そんな雛見沢症候群感染者の方々に知っていただきたい作品です。
田舎、美少女、謎の死。精密な伏線と不可解な展開
物語は1997年、主人公の茜がお姉ちゃんの車でド田舎の村にやってくるところから始まります。
転校先は過疎地域の学校ゆえに、クラスメイトは年齢はバラバラ。ですが茜は持ち前の明るさでさっそく馴染みます。そんな転校初日を終えて、担任のお姉ちゃんが「学校の伝統」として茜に告げたのは、「毎日必ず日誌を書くこと」でした。
そしてはじまったのは、永遠に続けばいいなと心から思えるような、友達との楽しい日々。日誌の経験がなかった茜ですが、書くことに困る日は一度たりとも訪れません。
しかしある日茜は、家庭の事情で再び転校することに。茜は、友達とのつらい別れを受け止めきれなくて、日誌をさぼってしまいます。
しかし翌日、そんな茜に待っていたのは「罰ゲーム」。それは、楽しいはずだった「BBQ」…。
1話を読みおわった後は、『ひぐらし』の再来だ!と興奮しきり。
しかしながら改めて最初から読み返すと、『はっぴいヱンド。』のタイトルデザインをはじめ、各所にきっちり伏線が散りばめられていることに気づきます。話を重ねるごとに増えていく謎は、読みながら組み立てた仮説を小気味よく崩壊させ、次なる展開への興味をかきたてます。『ひぐらし』よろしく、誰かとこの先の展開の考察を議論したい欲にかられること請け合いです。
連載はこの4月から始まったばかりで、最新話は現在第3話。他のファンからネタバレを食らう前に、ぜひまずは自分の頭で楽しんでいただきたい作品です。
第1話の試し読みはこちらから。
http://sp.seiga.nicovideo.jp/comic/27123
単行本1巻は8月発売だそうです。1話が気に入った方は作者の有田イマリさんのTwitter(@imari_imari)をフォローしつつ、展開を予想しながら発売日を待ちましょう!
本レビュー内の画像はすべて有田イマリ『はっぴぃヱンド。』(スクウェア・エニックス)より引用しています。
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