マイナンバーの点字が誤表記 改善を求める声
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マイナンバーカードに記された名前の点字が、本来のルールとは違っていることがわかり、視覚障害者でつくる団体から改善を求める声が上がっています。総務省によりますと、原因は点字を作成するソフトがルールを反映していないためだということで、今後、対応を検討するとしています。
点字の表記は、日本点字委員会が表記のルールを定めていますが、マイナンバーカードに名前を点字で記した際、ルールとは違う表記になる場合があることがわかりました。
例えば、「じゅんこ」という名前は、「じゆんこ」と表記されてしまうほか、「さとう」や「ようこ」は「さとー」や「よーこ」と、長音符という音を伸ばす文字を使うルールですが、そうなっていないということです。
これについて視覚障害者でつくる日本盲人会連合は、利用者に混乱を招いたり、誤ったルールの点字が広がりかねないとして、改善してほしいと総務省に伝えたということです。
総務省によりますと、原因は点字で表記するためのソフトに本来のルールが反映されていなかったためだということです。
マイナンバーカードでは、希望すると裏面に点字で名前が記されることになっていて、総務省は「改善を求める声を受けて、今後、対応を検討したい」と話しています。
例えば、「じゅんこ」という名前は、「じゆんこ」と表記されてしまうほか、「さとう」や「ようこ」は「さとー」や「よーこ」と、長音符という音を伸ばす文字を使うルールですが、そうなっていないということです。
これについて視覚障害者でつくる日本盲人会連合は、利用者に混乱を招いたり、誤ったルールの点字が広がりかねないとして、改善してほしいと総務省に伝えたということです。
総務省によりますと、原因は点字で表記するためのソフトに本来のルールが反映されていなかったためだということです。
マイナンバーカードでは、希望すると裏面に点字で名前が記されることになっていて、総務省は「改善を求める声を受けて、今後、対応を検討したい」と話しています。
点字の正しい表記とは
日本点字委員会や、厚生労働省の調査によりますと、日本国内では、およそ3万人の視覚障害者が点字を利用しているとみられるということです。
点字は最大6つの点の組み合わせで作られた文字で、以前は表記のされ方がバラバラでしたが、視覚障害者の団体の代表や学識経験者などで作る日本点字委員会が昭和46年に「日本点字表記法」という統一ルールを定め、これにしたがって表記することになっています。
例えば、「空気」や「さとう」などの「う」は「う」の点字はなく、「くーき」「さとー」などと長音符という音を伸ばす文字を使います。「じゃ」や「じゅ」などの場合、点字では文字の大小を区別できないため、1文字ずつ表記すると「じや」「じゆ」となってしまうことから、「じゃ」や「じゅ」を表すための文字があって、それを使うことになっています。
点字は最大6つの点の組み合わせで作られた文字で、以前は表記のされ方がバラバラでしたが、視覚障害者の団体の代表や学識経験者などで作る日本点字委員会が昭和46年に「日本点字表記法」という統一ルールを定め、これにしたがって表記することになっています。
例えば、「空気」や「さとう」などの「う」は「う」の点字はなく、「くーき」「さとー」などと長音符という音を伸ばす文字を使います。「じゃ」や「じゅ」などの場合、点字では文字の大小を区別できないため、1文字ずつ表記すると「じや」「じゆ」となってしまうことから、「じゃ」や「じゅ」を表すための文字があって、それを使うことになっています。
広がる点字の活用
点字は、駅の券売機や料金表、階段の手すり、金融機関のATM=現金自動預け払い機、郵便ポストなど、今や、日々の暮らしに欠かせない場所の多くで使われています。
日本点字図書館によりますと、昭和42年に旧国鉄で近距離乗車券を発行する自動券売機が全面的に導入された際に、料金表示のそばに点字が表記されました。
その後、公共施設での点字の表記が一気に普及し、点字ブロックなどのバリアフリー化も進んだということです。
商品への点字が表示されるようになったのはそのあとで、現在では飲料や加工食品、接着剤まで、さまざまな商品に点字が付けられています。
平成7年には大手酒造メーカー「宝酒造」が誤飲を防ぐため、酒の容器に初めて点字を表記し、その後、ビールや発泡酒の缶など多くの容器に表記されるようになりました。
平成17年にはジャムを製造している「アヲハタ」が18種類の瓶詰めの商品に点字を表記しました。「冷蔵庫から取り出す時に何の瓶か分からない」という消費者の声を受けたためで、現在では、26種類の商品に点字がついています。
最近ではおととし、「プリマハム」がハムとベーコンの5つの主力商品のパックに点字を表記しています。
また、住宅設備メーカーの「TOTO」によりますと、温水洗浄トイレでは以前はボタンに点字のシールを貼っていましたが、現在は、最初からボタンに点字を付けているということです。
障害者やお年寄りなど誰もが使いやすいように配慮された「ユニバーサルデザイン」の製品の開発に企業が力を入れる中で、点字が普及しています。
日本点字図書館によりますと、昭和42年に旧国鉄で近距離乗車券を発行する自動券売機が全面的に導入された際に、料金表示のそばに点字が表記されました。
その後、公共施設での点字の表記が一気に普及し、点字ブロックなどのバリアフリー化も進んだということです。
商品への点字が表示されるようになったのはそのあとで、現在では飲料や加工食品、接着剤まで、さまざまな商品に点字が付けられています。
平成7年には大手酒造メーカー「宝酒造」が誤飲を防ぐため、酒の容器に初めて点字を表記し、その後、ビールや発泡酒の缶など多くの容器に表記されるようになりました。
平成17年にはジャムを製造している「アヲハタ」が18種類の瓶詰めの商品に点字を表記しました。「冷蔵庫から取り出す時に何の瓶か分からない」という消費者の声を受けたためで、現在では、26種類の商品に点字がついています。
最近ではおととし、「プリマハム」がハムとベーコンの5つの主力商品のパックに点字を表記しています。
また、住宅設備メーカーの「TOTO」によりますと、温水洗浄トイレでは以前はボタンに点字のシールを貼っていましたが、現在は、最初からボタンに点字を付けているということです。
障害者やお年寄りなど誰もが使いやすいように配慮された「ユニバーサルデザイン」の製品の開発に企業が力を入れる中で、点字が普及しています。
点字を利用する人は
滋賀県彦根市の浅野征三さん(72)は、40歳を過ぎたころに目が見えなくなり始めた「中途失明」で、20年以上、点字を使っています。
浅野さんの身の回りでは洗濯機や温水洗浄トイレ、お風呂を沸かす機械などのほか、調味料などの飲食品にも点字が使われていて、次第に増えていると感じるといいます。
さらに、メールもパソコンを使って点字で打つことが可能で、浅野さんはほとんどの情報を点字から得ています。
浅野さんは小学校などで点字を教える授業をしていますが、年々、授業の回数は増え、昨年度は7校でしたが、今年度は10校近くになるのではないかと話しています。
浅野さんの身の回りでは洗濯機や温水洗浄トイレ、お風呂を沸かす機械などのほか、調味料などの飲食品にも点字が使われていて、次第に増えていると感じるといいます。
さらに、メールもパソコンを使って点字で打つことが可能で、浅野さんはほとんどの情報を点字から得ています。
浅野さんは小学校などで点字を教える授業をしていますが、年々、授業の回数は増え、昨年度は7校でしたが、今年度は10校近くになるのではないかと話しています。
防災のために点字を
東日本大震災が発生し、今後も大きな災害が予想されるなか、災害への日ごろの備えや発生時の対応などをまとめたハンドブックなどの点字版をつくる取り組みも各地で進んでいます。
徳島県では、東日本大震災で視覚障害者への情報が不足していたという指摘があったことから、2年後の平成25年に南海トラフの巨大地震などの大災害に備えるための点字の防災ハンドブックを県の視聴覚障害者支援センターが作りました。
宮崎県高鍋町では平成26年に町が東北大学の研究所と連携して作成した防災手帳を、ボランティア団体が点字に訳し、視覚障害者に配りました。東日本大震災の被災者の生の声を反映する形で、被災したあとの対応が時間の経過とともにまとめらています。
東京都の場合、首都直下地震などへの備えをまとめた「東京防災」という冊子を2年前から各世帯に配布しています。
家庭で備蓄すべき物や応急手当の方法など、災害から身を守るための対策をまとめたもので、昨年度は点字版を作りました。防災面での点字の活用も広がっています。
徳島県では、東日本大震災で視覚障害者への情報が不足していたという指摘があったことから、2年後の平成25年に南海トラフの巨大地震などの大災害に備えるための点字の防災ハンドブックを県の視聴覚障害者支援センターが作りました。
宮崎県高鍋町では平成26年に町が東北大学の研究所と連携して作成した防災手帳を、ボランティア団体が点字に訳し、視覚障害者に配りました。東日本大震災の被災者の生の声を反映する形で、被災したあとの対応が時間の経過とともにまとめらています。
東京都の場合、首都直下地震などへの備えをまとめた「東京防災」という冊子を2年前から各世帯に配布しています。
家庭で備蓄すべき物や応急手当の方法など、災害から身を守るための対策をまとめたもので、昨年度は点字版を作りました。防災面での点字の活用も広がっています。
詐欺横行の時代に
詐欺事件が相次ぐ中、新たに点字を導入することで信頼してもらおうという今の時代ならではの取り組みも生まれています。
島根県警察本部では、今年度から県内139の交番と駐在所の署員に名刺の裏やカードに貼る点字シールを配布しました。全国の警察で初めてです。
点字シールには、交番や駐在所の名称や警察官であること、事件や事故、相談があるときの連絡先などが点字で表記されていて、視覚障害者の家を巡回する際に配布します。
きっかけとなったのは平成25年から駐在所に勤めている金山真次巡査長の取り組みです。巡回で訪れた視覚障害者の女性に「本当に警察官かどうかわからない」と点字が入った名刺の提示を求められ、点字が入ったカードを作ることにしました。カードを配ることで不安を取り除き、巡回を続けるうちに、声を覚えてもらったということです。
視覚障害者の女性は「声だけでは、相手が警察官かどうかわからず不安でした。点字の入ったカードで信用することができました」と話しています。
金山巡査長の報告を受け、島根県警察本部は点字カードの導入を徐々に進め、去年4月に障害者への差別の禁止や適切な配慮を求める「障害者差別解消法」が施行されたことを受けて点字を打てる機械を購入し、今年度からすべての交番と駐在所に点字シールを配ることにしたのです。
金山巡査長は「視覚障害者の不安を安心に変えるためにも、全国の警察にこの活動が広がっていってほしい」と話しています。
島根県警察本部では、今年度から県内139の交番と駐在所の署員に名刺の裏やカードに貼る点字シールを配布しました。全国の警察で初めてです。
点字シールには、交番や駐在所の名称や警察官であること、事件や事故、相談があるときの連絡先などが点字で表記されていて、視覚障害者の家を巡回する際に配布します。
きっかけとなったのは平成25年から駐在所に勤めている金山真次巡査長の取り組みです。巡回で訪れた視覚障害者の女性に「本当に警察官かどうかわからない」と点字が入った名刺の提示を求められ、点字が入ったカードを作ることにしました。カードを配ることで不安を取り除き、巡回を続けるうちに、声を覚えてもらったということです。
視覚障害者の女性は「声だけでは、相手が警察官かどうかわからず不安でした。点字の入ったカードで信用することができました」と話しています。
金山巡査長の報告を受け、島根県警察本部は点字カードの導入を徐々に進め、去年4月に障害者への差別の禁止や適切な配慮を求める「障害者差別解消法」が施行されたことを受けて点字を打てる機械を購入し、今年度からすべての交番と駐在所に点字シールを配ることにしたのです。
金山巡査長は「視覚障害者の不安を安心に変えるためにも、全国の警察にこの活動が広がっていってほしい」と話しています。
マイナンバーカードが
点字が広がる中、マイナンバーカードの点字の表記がルールと違っていることがわかり、視覚障害者からは落胆と改善を求める声が上がっています。
長崎県佐世保市の佐藤順子さんは、平成13年に車の免許を更新する際、視力が著しく低下していると指摘され、病院に行ったところ、目の病気がわかりました。今では目の前の相手の顔がほとんど見えないといいます。
それでも趣味の読書のために点字を勉強し、読書をしたり日記をつけたりすることができるようになりました。点字が心のよりどころになったといいます。
佐藤さんは去年、市役所の窓口でマイナンバーカードを受け取った際、「さとーじゅんこ」と点字で表記されるところを「さとうじゆんこ」と2か所で誤って表記されていることに気付き、担当者に伝えましたが、担当者もどうしていいか分からない様子だったといいます。
このため、長崎県の障害者団体などに点字の表記が間違っていることを伝え、改善を要望しました。
点字を入力すると音で読み上げる機械にマイナンバーカードに打たれた佐藤さんの名前を入力すると「さとうじゆんこ」と呼み上げられてしまいます。
佐藤さんは「自分の名前が間違っていたことにはショックを受けました。公的な機関が発行するものなので正しい点字を使ってほしい」と話しています。
また、滋賀県彦根市の浅野さんもことし1月、彦根市役所にマイナンバーカードを受け取りに行った際、「せいぞう」の「う」の表記が誤ってることに気付きました。
学校で点字を教えている浅野さんは、正しい表記で再発行してほしいと、カードを受け取りませんでした。浅野さんは「誤った点字が広がればその情報で思わぬことが起きてしまうかもしれない。点字には正しい表記のルールがあることを国にはわかってほしい」と話していました。
長崎県佐世保市の佐藤順子さんは、平成13年に車の免許を更新する際、視力が著しく低下していると指摘され、病院に行ったところ、目の病気がわかりました。今では目の前の相手の顔がほとんど見えないといいます。
それでも趣味の読書のために点字を勉強し、読書をしたり日記をつけたりすることができるようになりました。点字が心のよりどころになったといいます。
佐藤さんは去年、市役所の窓口でマイナンバーカードを受け取った際、「さとーじゅんこ」と点字で表記されるところを「さとうじゆんこ」と2か所で誤って表記されていることに気付き、担当者に伝えましたが、担当者もどうしていいか分からない様子だったといいます。
このため、長崎県の障害者団体などに点字の表記が間違っていることを伝え、改善を要望しました。
点字を入力すると音で読み上げる機械にマイナンバーカードに打たれた佐藤さんの名前を入力すると「さとうじゆんこ」と呼み上げられてしまいます。
佐藤さんは「自分の名前が間違っていたことにはショックを受けました。公的な機関が発行するものなので正しい点字を使ってほしい」と話しています。
また、滋賀県彦根市の浅野さんもことし1月、彦根市役所にマイナンバーカードを受け取りに行った際、「せいぞう」の「う」の表記が誤ってることに気付きました。
学校で点字を教えている浅野さんは、正しい表記で再発行してほしいと、カードを受け取りませんでした。浅野さんは「誤った点字が広がればその情報で思わぬことが起きてしまうかもしれない。点字には正しい表記のルールがあることを国にはわかってほしい」と話していました。