人里離れたあるところに、
倉庫に暮らすブーさんとキリンという夫婦がおりました。
ある日、倉庫の1階で仕事を終えたブーさんがやれやれと外に出ると、
集まって何かをしている4匹のハクビシン。
不思議に思ったブーさんはハクビシンを追い払いました。
そして4匹が集まっていた場所を見ると、そこには大きなカメが1匹。
ハクビシンが寄ってたかってカメをいじめていたのです。
「かわいそうに」
ブーさんはハクビシンが戻ってきたら大変と、
少しの時間カメを倉庫で守ってあげることにしました。
逃げてまたいじめられないようにと、カメを段ボール箱の中へ。
「そうだ!2階で夕食を作っているキリンに、カメの画像を送ってあげよう」
ブーさんはLINEで妻のキリンに
「カメ歩いてました」
画像を送ったのに、料理中のキリンは気付きません。
そろそろカメを自由にしてあげたいブーさん。
2階のドアを開け「カメがいるよー」と大きな声でキリンに教えます。
「どうしたのー?」と玄関に急ぐキリン。
「下に大きなカメがいるんだよ」
キリンはスマートフォンを持って1階に下りました。
「わぁ!ほんとに大きい!」
キリンはカメの大きさと存在感にビックリ。
おそるおそる顔をのぞき込むと
あれ?ちょっと迷惑そう?
それからブーさんとキリンは、
ハクビシンがいないかキョロキョロしながら近くの川へ。
「これからは気を付けるんだよ」
そう言ってカメを川の中に放してあげました。
水の中に消えていった大きなカメ。
今も元気にしているでしょうか。
「オレに恩返ししに来てくれないかなー」
「竜宮城に招待されても、ブーさんはゴボゴボゴボって溺れちゃうね」
そんなことを言って大笑いする倉庫のふたり。
今日も楽しく静かに時が過ぎていくのでした。
おしまい