杉村太蔵さん「オムツを替えたことがない私は育児をしていないのか」
- 2017年6月23日
元衆議院議員・タレントの杉村太蔵さん。「子どもたちには何か一つ、これだけは誰にも負けないぞというものを持たせてあげたい。僕の場合テニスでしたけど、一つ軸になるものがあれば他のことに挑戦する時にも自信が持てると思うんですよね」
子どもは3人。長女・長男・次女の順で、小4・年長・1歳です。家内は私のことを亭主関白だって言いますね。何事も、父親である私の許可無しには話が進まないですし、家事は全くやらない。うちの場合、完全に父親と母親の役割は分かれています。
今は政府がイクメンだとか、男も子育てにかかわれだとか言いますけど、じゃあオムツを替えたことがない私は育児をしていないのか。父親失格なのか。いや、そんなことはない!……と思うんですよ。子育ての負担を女性にばかり押しつけないで男性も育児に参加できる環境を作りましょうという大枠は、もちろん賛成ですよ。でも各家庭に合った形があると思う。杉村家は「パパは仕事に集中、ママは家のことをがんばる」という分担で幸せなんです。
もし家内が「早く帰ってきて家の掃除をして」と言う人だったら、今の自分はなかった。手前みそで申し訳ないんですけど、家内は「衆議院議員杉村太蔵よりも、テレビに出ているタレント杉村太蔵の方が好き」「パパのおかげで家族みんなが幸せ」って常に言ってくれるんですよ。人間そう言われますとね、がんばれますよね。子育てで最も大切なのは、パパとママの仲が良いこと。これに勝るものはまずないです。
家庭を持って改めて思ったんですが、仕事と育児の両立って政府が言うほど簡単じゃない。一つの考え方として、「夫にもっと稼がせる」というのもありだと思うんです。いろんな価値観があるから、結婚しないとダメとか子どもを産んだらエライとかそういう話じゃないんです。全部個人の自由です。だけど、私としては「男よ、もっとがんばれ!」と言いたい。自分が家族を養うという矜恃(きょうじ)を持ってほしい。古い考え方かもしれないけど、少なくとも息子には妻の収入をあてにするような男にはなってほしくないんですよね。
子どもたちの家での様子ですか? 学習机は子どもの部屋にもあるんですが、私の書斎にある大きなテーブルで勉強していることが多いです。本を読んでいると、娘はよく私に質問してきます。「シュンペーター(経済学者)ってなにした人?」「イノベーションって?」。ときどき、答えに窮する質問もあります。「パパ、ここにある本全部読んだの?」とかね。その時は「うーん、読まなきゃいけないんだけど、難しいんだこの人の本」って正直に答えました。そしたら、「わかる!」って言うので、読みづらい本の攻略法を教えました。「まず最後を読んじゃうの! ゴールがわかると、なんとなくその人の言いたいことがわかるよ」って。
結婚して、子どもを育てる。それを平凡と言う人もいるかもしれませんが、人の幸せっていうのは平凡の中にあるものだなってつくづく思います。私の人生は端から見たら平凡じゃないかもしれない。でもね、家で子どもたちが、家内が作ったハンバーグを食べながらああでもないこうでもないって言っているのを、しゃぶしゃぶを食べつつ聞いているのが一番幸せなんです。私はハンバーグじゃないんですよ。家内はいつも、子どもたちと私のメニューは別にしてくれるので。
家内はねぇ、本当に良い妻だと思う。うちの家内は最高! 出会えてラッキーでした。
(聞き手・渡部麻衣子)
◆杉村太蔵(すぎむら・たいぞう) 元衆議院議員・タレント。1979年8月13日生まれ。「サンデー・ジャポン」(TBS系)、「マーケットプレス」(ラジオNIKKEI)に出演するなど、多方面で活躍中。