図書館に鉄道の本寄贈 滋賀・甲賀の男性「多くの人読んで」
鉄道にまつわる多くの著書を持つ滋賀県甲賀市水口町的場の医師笹田昌宏さん(45)が、鉄道関連の蔵書や自著321冊を同市の水口図書館に寄贈した。同図書館は「でんしゃ文庫」と名付け、専用の書架に配置し、10月から貸し出す。
笹田さんは、日本の鉄道でSLが使われなくなる時期と幼少期が重なり「SL引退のテレビ番組を見て寂しいと思ったのが鉄道好きになるきっかけ」と振り返る。学生時代には各地に放置された鉄道車両を買い取り、保存するボランティア団体を立ち上げた。2016年4月に市内で開院した診療所の敷地には旧国鉄貨物列車の車掌車を置き、待合室としている。
10年ほど前から鉄道関連の執筆も始め、保全活動のエッセーや紀行、児童書など多彩な本を出版した。その際に集めた資料の図書や自著について「多くの市民に読んでほしいし、鉄道利用の促進にもつなげたい」と考え、近江鉄道水口城南駅に近い水口図書館への寄贈を決めた。
同館は窓越しに駅が見える一角に書架を設け、「鉄道の日」の10月14日から閲覧、貸し出しができるようにする。藤井秀彦館長(61)は「これだけの冊数の寄贈は珍しい。寄贈者の思いに応え、水口図書館の特色の一つとしたい」と意気込む。
笹田さんは15冊目の著書「保存車大全コンプリート」を22日に出版した。日本各地の旧国鉄や私鉄の保存車両約1400両を写真入りで紹介。「すべて当時は最新鋭の車両。時の積み重ねで技術は進歩していることを感じてほしい」と話す。A5判、252ページ。税別1800円。イカロス出版。
【 2017年06月24日 12時03分 】