アエラよりジュニアエラの方が内容がまともな件 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

朝日新聞が出している小中学生向けの月刊誌「ジュニアエラ」が創刊100号を迎えた。日本に住んだことがない娘の日本語と日本文化の勉強のために、毎月アマゾンを使ってアメリカまで届けてもらっているのだが、記事は子供向けながら毎回なかなかの力作ぞろいである。

今月号の特集は「度で学ぶ日本の世界遺産」で、世界文化遺産候補の宗像•沖の島の風景、国宝の写真や歴史的な背景などの説明にはじまって、世界遺産の数が増え過ぎて今後の登録は厳しくなるといった事情までが書かれていた。

(ジュニアエラ今月号の目次ページ↓)
ジュニアエラ

ニュース特集も、「トランプ政権の150日」、「文大統領誕生でどうなる日韓関係」、「小池氏は政権を脅かす存在に化けるのか」、「なぜ歴史教科書に最新研究が反映されないの?」など、社会人、国際人として知っておくべき内容を取り上げている。

手間をかけて取材した記事も多い。毎回、世界の子供達のなかから一人を選んで、その子の生活の様子を写真と本人のメッセージで伝える「子ども地球ナビ」は娘のお気に入りのコーナーの一つだ。今月は、アフガニスタンの少女を取り上げて家族や食事、勉強の仕方などを紹介している。


雑誌を眺めてふと思ったのは「もしかすると、そこらの大人が読んでる雑誌よりずっとまともなのでは?」ということだ。試しに同じ週に発売されたAERA6/19号を調べてみると「やっぱり」と言わざるを得ない。

アエラ中刷り

特集は「最良の友は犬か猫か」で、主なトピックは「ネコがイヌ化する」「犬より安上がりネコノミクスが拡大中」「築地移転延期で頓挫したネズミ退治」と、まあ気晴らしに読むには面白いかもしれないが、はっきりいってどうでもいい内容が並ぶ。

有名人に関する記事も対照的だ。

今月のジュニアエラで紹介されているのは、史上初の性別を分けない演技賞を受賞したエマ・ワトソン、フランス大統領のエマニュエル・マクロン、大関昇進を決めた力士の高安の3人だ。いずれもどの国の人が読んでも、記事としてなるほどと思える内容だろう。

一方でアエラの特集記事は「滝沢秀明×有岡大貴 僕らは同じ輪の中に」。東京勤務のアイドル好き28歳OLはこの記事に胸キュンするのかも知れないが、一言で言えば極東の小さなの国のアイドルがだらだら話しているというどうでもいい記事だ。


ジュニアエラとアエラの内容は、日本社会の縮図だと思う。中学受験生に代表されるような驚くほど洗練された博識なこどもたちと、昔はすごかったはずなのに最新の世界や社会の事情に疎い大人たちが共存するなんだか不思議な国、それが現在の日本の姿である。

たしかに、ジュニアエラには昔真面目に勉強した大人であれば既に知っていることもたくさん書かれている。しかし、大人に必要な内容も、本質的には子供が読むべき内容と大差ないのではないか。それは既に持っている知識をきちんと確認しながら、世界で起きている社会問題や科学の最新事情の中で本当に重要なことを、簡潔に、かつ論理的に理解することである。


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Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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