では、もし、雑誌メディアが先方の言いなりに取材を自粛したり引きあげていたらどうなるか――?
たとえば、ベッキーから今後の取材は自粛してくれと言われそれを受け入れていたら彼女とゲスの川谷絵音くんの不倫報道の続報はなかった。乙武くんの要請を受け入れたら、やっぱり続報は出ず彼の別居も報じられないままだっただろう。舛添要一前都知事の要請を受け入れていたら、知事の公私混同疑惑は初回のみの報道で終わり、その後の追及は打ち切られていた。ともすれば舛添氏は都知事を辞めず、不倫が報じられた宮崎謙介氏だって議員を辞めず相変わらずのナンパと合コン三昧の議員生活を送っていたかもしれない。SMAPの解散報道も、あんなのはガセですよぉとジャニーズ事務所に言い含められていただろう。
これらは、ぜ~んぶ週刊誌が報じたトピックで、悲しいかな、新聞やワイドショー発のスクープがひとつもないのが現実だ。新聞社は週刊誌のスクープを小さな囲み記事にしたり、ワイドショーは後追い取材して視聴率を稼いだ。
多くの人は“舛添下ろし”を是として週刊誌が続報を飛ばしていると思っているように見受けられるが、それは違う。私たちは入手した情報から見え隠れする疑問を本人にぶつけ、記事にすることで、都知事は有権者からの期待と信頼に応えるべく資質を持ちあわせているか、東京都の長としての品格と才覚は伴っているか、都知事は東京都をより良い方向に導く人材に値するのか否かを問うているのだ。そのために取材を続け、追及第二弾第三弾を飛ばす。
が、海老蔵氏が訴えるとおり、度を超した取材は糾弾されてしかるべきでもある。
問題は、海老蔵氏が言う、麻央夫人の“命に関わる”取材や“マオ夫人の負担になるような撮影”を週刊各誌がやっていたのかどうかだ。J-CASTニュースはこんなふうに伝えている。
〈「何度も何度も」とあるように、海老蔵さんはマスコミに対し重ねて取材自粛を訴えてきた(中略)だが、そんな必死の訴えも一部マスコミには届かなかった。会見直後のブログでも自粛を念押ししたにもかかわらず、翌10日には麻央さんの実家周辺等で取材や盗撮行為があったというのだ〉
かなり海老蔵寄りの見解だが、この記事をお書きになった方は、はたして誰から実家周辺等での取材や盗撮があったことを聞いたのだろう? ご本人が“実家周辺等を取材して”盗撮をしている週刊誌カメラマンを見つけたのか、はたまた、取材自粛を要請した海老蔵氏本人に“取材して”聞いたとか。どの媒体がどんな盗撮写真を掲載しているのか、J-CAST氏は教えてほしい。どの週刊誌ですか?