6月26日発売の「マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて」(マイナビ新書)を読んでいる。
第1章は、小林啓倫さん執筆の「マストドンブームがやってきた」。ヤァヤァヤァ、ちょっとイージーなタイトルだねと言いたくもなるが、中身はがっつり読み応えがある、マストドンの概要と歴史をまとめた序章だ。いきなり結論を言ってしまうと、これだけでこの本を買う価値がある。
マストドンを語るものは、まずこの第1章を全部読んでから出直せ。なんでも知ってる気になるな。
そう言われているような気になる、何度も読み返す必要のあるパートだ。
例えばマストドンは、OStatusというプロトコル群を採用することにより、短期間で立ち上げることができたわけだが、その前史となる流れを非常にわかりやすく説明している。
この部分はともすれば技術的な部分に走りやすいが、平易に解説できるのは、ブロックチェーンなどの新技術をわかりやすく解説した書籍を多数出してきた小林さんならではだろう。
マストドンの元になった技術の開発者、エヴァン・プロドロモウさんについて、このような記述がある。
では10年前にマストドンの卵を産んだプロドロモウ氏、マストドンをどう思っているのでしょうか。実は本書執筆時点で、彼のTwitterには、こんなツイートがピン留めされています。
「マストドンの成功を嬉しく思う。ただ彼らが、私たちがW3Cで開発したActivityPubプロトコルを採用しなかったのは残念だ。私が言いたいのはそれだけだ。」
これだけ読むと何かしっくりしないものを感じるのだが、小林さんはこのようなフォローをしている。
実際に、マストドンがOStatusからActivityPubに乗り換えるのではないかという観測もあり、この辺りは今後大きく進化していく可能性があります。
そして、実際に大きく進化した。
マストドンの開発者であるオイゲン・ロチコさんの6月22日のトゥートでは、このように書いている。
W3Cソーシャルワーキンググループとの電話会議を終えた。ぼくらはマストドンで実装している間に追加されたActivityPubの機能について話し合った。
これを受けて、プロドロモウさんのTwitterトップがこう変わった。
マストドンは今やActivityPubの実装を主導している。これ以上の喜びはない。ブラボー。
本書が6月9日より前に校了している(オイゲン・ロッコと表記されている)ことを考えると、この読みはすばらしい。
7月10日に行われるセミナーも楽しみだ。
本書の前半くらいはカバーしようと思ったのだが、第1章が予想以上に濃かったので、今日はここまで。
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