チャートではわからない相場解説
2017年6月23日公開(2017年6月23日更新)
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「チャートではわからない相場解説」

  • 毎年6月の最終日、ジャスダック市場が確実に上昇?
    「数兆円規模の配当金」が再投資されることで
    中小型株市場に生み出される「買い需要」を狙え! (2017.06.23)
著者・コラム紹介

チャートではわからない相場解説

岡村友哉 おかむら・ゆうや
 

金融コメンテーター。国内大手証券を経て、投資情報会社・フィスコに入社し、株式アナリストとして活躍。独立後は、経済番組のコメンテイターからマネー情報サイトへの寄稿、各種セミナーなど、幅広く活動する。

岡村友哉

毎年6月の最終日、ジャスダック市場が確実に上昇?
「数兆円規模の配当金」が再投資されることで
中小型株市場に生み出される「買い需要」を狙え!

 はじめまして。今回から、コラムを書かせていただくことになりました岡村友哉ともうします。読者の方に、読んだ後で「ちょっとだけ、ためになった」と思ってもらえることだけを目指し、コラムを書かせていただきます(ちなみに、読んだからといって、パフォーマンスの向上に直結することは保証できませんので、悪しからず……)。

 本連載では、今市場で話題になっていることを重視しますので、いつコラムを書くかは決めておりません。「今知ってもらえたら役立つのではないか?」という話があれば、その都度書いてみたいと思います。

最近、大型株より、中小型株のほうが
パフォーマンスが良い理由とは?

 さて、初回は、盛り上がっている中小型株の話。人気のある東証マザーズ(週末23日の後場にひさびさ急落が発生しましたが)、ジャスダック、東証2部、そして東証1部でも中小型株のほうが、大型株よりパフォーマンスはいいですよね。

 基本的に、東京時間中における日経平均株価の価格変動は、デリバティブ(先物やオプション)経由で決まる要素が強いといえます。日経平均株価のレンジが固まっている状況では、狭いレンジにおけるデリバティブのレンジトレード(○円以上は売り、○円以上は買いの反復)を通じ、指数ウエイトの高い大型株の株価もこう着しがちです(任天堂など別世界の銘柄を除き)。

 その意味で、いわゆる“先物主導”の影響が現物株におりてくることの無い中小型株市場は、メインプレーヤーである個人投資家の動きと、それ以外の現物株を取り巻く需給がそのまま反映されるという性格があります。

6月最終日の日経ジャスダックは
約95%の割合で値上がりする?

 その中小型株市場で、こんな経験則があるのをご存知ですか?

「日経ジャスダック平均は、6月最終日にほぼ確実に上がっている」

 昨年はというと、6月最終日(2016年6月30日)に日経ジャスダック平均は0.65%上昇しています。一昨年も0.66%上昇。というか、2011年以降は6年連続で上昇しているんですね。その前の2010年は下落でした。では、その前は? それ以前は1998年~2009年まで、12年も連続で上昇していました。

 つまり、1998年~2016年の19年間で、6月最終日は18勝1敗(勝率95%)ということ。今年もこの経験則、乗ってみる価値はある、という話にはなりますよね。

 そもそも、19年のうち18年発生している時点で、偶然だと片付けられなくなります。6月最終日は何かある日なわけです。6月最終日は、株にまつわる何の日でしょうか?

6月後半の2週間で、
約4兆円もの配当金が投資家の財布へ

 6月最終日というのは、株主に1年で最も多く配当金が振り込まれる日です。日本企業は、大半が3月末を決算期末としてますよね。期末配当の権利は3月末の株主のものですが、その配当の支払いは株主総会の後になります。

 例えばですが、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)の株を100株(6月23日時点で7万2390円)持っていたら、1株当たりの期末配当金は9円なので、合計900円もらえます。これ、全企業の全株数分でいくらくらいになると思いますか?

 配当支払いが増え始めるのが、今年でいえば6月19日辺りから。3月決算企業の期末配当の合計を支払い日別で集計すると、こうなります。

2017年6月後半の1日に支払われる配当金の総額

 ダントツの集中日は一目瞭然で、今年も6月30日(金)。この日だけで、1日の配当総額は1兆円を超えます。

■2017年6月後半の1日に支払われる配当金の総額
配当支払日 総額(億円) 社数 主な銘柄
6月19日 825億円 47 アイシン精機(7259)など
6月20日 815億円 9 アステラス製薬(4503)など
6月21日 3810億円 38 NTTドコモ(9437)など
6月22日 3267億円 70 KDDI(9433)など
6月23日 2957億円 124 日本郵政(6178)など
6月26日 5200億円 285 三菱商事(8058)など
6月27日 1862億円 27 東京海上ホールディングス(8766)など
6月28日 4697億円 239 NTT(9432)など
6月29日 4969億円 319 武田薬品工業(4502)など
6月30日 1兆1442億円 559 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)など

 この2週分だけでも、全部合わせて3兆9843億円(約4兆円!)も株主に振り込まれるわけです。もちろん、配当が振り込まれたからといって、個人投資家はその分をすぐに株に再投資しないでしょう。オイシイもの食べにいくとか、使い道はそんな感じではないでしょうか。

 ただ、振り込まれた配当を、日本株で運用するアクティブファンドは再投資しますよね。現金をそのまま寝かせておくわけにもいかないわけで、既存のポートフォリオに組み入れている銘柄等に振り向ける……仕事ですからね。

 その影響が反映されやすいのが、中小型株の市場であって、なかでも流動性が高くないジャスダック市場により濃く出るのだと推測できます。これが、日経ジャスダック平均が6月最終日に上がる経験則を持つ強い根拠です。

配当金が再投資される銘柄を見つけるには
中小型株ファンドの運用報告書をチェック!

 この配当を再投資する中心プレーヤーは日本株で運用するアクティブファンドのため、個人投資家に人気がある株というより、業績のいい中小型株に資金が入りやすいと考えられます。

 具体的に買われそうな銘柄を想像したい方は、純資産の多い中小型株ファンドがホームページ上に開示してくれている運用報告書を確認するのがいいでしょう。最近の5%ルール報告から買いそうな銘柄を想像する手もありますね。

 この話は、普段は存在しない「買い需要」があるかどうかという話。6月最終日にかけては、それがあるということ。

 中間配当の振込みシーズンも狙えますので、年に2回、次は12月末にかけても同じことが言えますよね。年末にかけて新興市場のラリーが起きるというイメージを持っている方も多いと思いますが、そのメカニズムの一端はこれで解説できると思います。

 もちろん、この仕組みを知っている、目鼻の効く短期プレーヤーも大勢いるはずです。こういった短期勢が先回る分も加勢し、6月末にかけて中小型株に強めのトレンドが発生することが多いのでしょう。

 この短期勢は、この時期だけの買い需要を狙って仕込んでいますから、6月最終日目がけてポジションを閉じてきます(一種のイベントドリブン)。再投資の買いが止まり、短期の手仕舞い売りも重なるため、今月末を境に中小型株の勢いが止まることも仮説として立てることができますよね。

 本連載では、このような、数字で証明できる株式市場の特性を、流行っている話題に絡めながら紹介していきたいと思いますので、ご期待ください。

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