「鏡筒」とは、星からの微弱な光を集めて拡大像を得るため、“高精度に加工された光学レンズや反射鏡”を収めた筒のこと。いわば、天体望遠鏡の本体ともいえる部分です。ビクセンでは、眼視による天体観測、カメラを用いた天体写真の撮影といったシチュエーションの違いや用途に応じて鏡筒を載せ替えたり、より口径の大きな鏡筒にアップグレードしたりできるように、鏡筒単体も多数ラインナップしています。
共通規格でステップアップに対応
ビクセンの天体望遠鏡架台は、経緯台のポルタII/ミニポルタ/スカイポッド、赤道儀のGP2/GPD2/SX/SXD2において、鏡筒取り付け部には共通規格の「アリミゾ式(規格)」を採用しています。また、SXP・AXD赤道儀もオプションパーツによって「アリミゾ式」の鏡筒を搭載可能です。
※SXP・AXD赤道儀、VSD100F3.8鏡筒など、組み合わせによってはアリミゾ式以外の取付け方法にも対応していることがあります。
色のにじみを抑える高性能SDガラスレンズ
レンズを使って遠くのものを大きく見るという、屈折式鏡筒の仕組みが発明されてからおよそ400年。しかし、レンズで光を集めた場合、色の波長の違いから「色のにじみ(色収差)」が起こります。この「色収差」を解消するため、これまでさまざまな研究が重ねられてきています。
「色収差」解消の答えのひとつが、SD(超特殊低分散)ガラスです。このガラスの特長は、文字通り光の波長による分散が少なく、また、特定波長の屈折率においては一般的な光学ガラスとは異なる数値を示します。
ビクセンのED鏡筒、ED81S、ED103S、ED115Sにおいては優れた光学性能を発揮する素材「FPL53」を材料としたSDガラスレンズを採用。これにより「色収差」を極めて高いレベルでシャープに星々の輝きをとらえます。
SD屈折式鏡筒の収差の違いは図で見ると一目瞭然
SDガラスレンズは、g線(紫)・C線(赤)・F線(青)・d線(黄)・e線(緑)のすべてが0値付近に集まっています。これは、全ての色にわたって色収差が抑えられた、優れたレンズであることを示します。特に短波長のg線(紫)の収差が少なくなっているので、安定した像をとらえることができます。
眼視から撮影まで、幅広いニーズに応える設計思想
[ED81S、ED103S、ED115S]
ED81S、ED103S、ED115S鏡筒は、鏡筒長を短くすることをコンセプトのひとつとして設計をしました。鏡筒長が短くなることで、運搬やセッティング時などには扱いやすく、また、より少ないウエイトでバランスをとることを可能にします。
新設計のレンズはF7.7と明るい短焦点で、惑星観察から星雲星団の撮影まで、幅広く活躍します。さらに、全モデル金属製キャリーハンドルを装備、鏡筒の持ち運びがたいへんにラクです。さまざまな天体観察シーンにおいて、優れたパフォーマンスを実現します。
進化を続けるビクセンSDレンズガラス鏡筒
[ED81S、ED103S、ED115S]
ED81S、ED103S、ED115Sの各鏡筒は、従来同等機種の徹底的な見直しからスタート。その結果、優れた解像力を確保しつつ短焦点化に成功しました。また、鉛(Pb)を使わないエコガラスを採用、地球環境に配慮した設計です。
コストパフォーマンス抜群、初めての1台におすすめ[ED80Sf]
「SDアポクロマートの優れた見え味を、より多くの方に体験いただきたい」との想いから生まれたのがED80Sf鏡筒です。生産拠点や製造工程の見直しをするとともに、品質管理を徹底することで、コストを抑えつつも高い品質のSDアポクロマート鏡筒を開発す ることに成功しました。眼視観察から写真撮影まで、あらゆる用途で活用していただきたい1台です。