学校では数学を習うが、数学が苦手だと、こんなの将来何の役にたつの?思った人もいただろう。逆に数学な得意な人は、数学を生かした仕事につきたいと考える。
数学者やエンジニアなどは、数学力がかなり求められる仕事だ。だがたとえ数学分野の仕事であっても、成功したければ、文法や科学技術、歴史など、数学以外のしっかりした基礎学力が必要となり、科目ごとに相互リンクしているのである。
にもかかわらず学校教育では、各科目を分けてバラバラに教えているのが現状である。
そこに着目したフィンランドでは、教育に違ったアプローチを取り入れようとしようとしている。面白味のないバラバラの素材としての科目を別々に教えるのではなく、あるテーマを主軸として、様々な科目を混ぜながら学習しようというのだ。
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フィンランドの教育コンセプトは、いわば"テーマ別学習"
例えば「数学」といったひとつの科目だけを集中して教えるより、興味を引く現実世界のトピック
ス、例えば、気候変動などをとりあげ、生徒と教師が一緒になって、それぞれ別の角度から様々な科目を混ぜ込んで分析、学習していく。
そのテーマの背景にある科学はどんなものか? そのテーマに取り組む国家の計画は? そのテーマに関する文学作品はどんなものがあるのか?といった具合だ。
各科目をリンクさせ、実生活で生かすことができるスキルを教える
もちろん従来の科目別教育も並行して行う。その上でこの新たな教育法を取り入れていくのだ。
このテーマ別学習は、独自のやり方で、さまざまなスキルをひとまとまりにするチャンスをもつ。子どもたちは、全体論を学び、実社会のスキルを使って(例えば、科学技術を使って)大人と同じようなやり方で、ひとつのテーマに取り組む。
そうすることで、これまで無駄だと思っていた各科目の内容が実際には、ここでこういう風に役に立つ、という気づきが生まれる。
フィンランドの学校教育の水準の高さ
フィンランドの学校教育の水準は世界的に見てとても高いと評価されている。ワールド・エコノミック・フォーラム(世界経済フォーラム)によると、2016年の小学校ランキングは世界ナンバーワンである。
フィンランドは、1980年代からこのテーマ別教育を試験的に行ってきた。試験段階を経て、2016年8月から、国内の全学校がこの特別なテーマ別教育を取り入れ始めた。それぞれの学校が、自分たちに最適な特定のアイデアを、独自に構築していくことができる。
現実世界に適応するために子供たちを教育することはなかなか大変だ。魔法のような万能な解決策はひとつもない。
この教育プログラムはなかなかうまいアイディアに思えるが、妥協案や批判がないわけではない。あまり成績の良くない生徒がついてこられないのではないかと心配する教師もいる。しかし、フィンランドの教育委員長アンネリ・ラウティアイネンはきっと効果があらわれると期待している。
教育は一筋縄ではいかない。だが、前例にとらわれすぎることなく、時代に合った学習方法を試行錯誤して実施する臨機応変な実行力がフィンランドの学校教育にはありそうだ。
via:upworthy
フィンランドは学校教育だけではない。いろんな分野での実験が行われている。
政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給する「ベーシックインカム」の試験運用も2017年1月より行われており、失業者2000人を対象に毎月560ユーロ(約7万円)が支給されている。
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コメント
1.
2. 匿名処理班
何のためにそんな事をしなければならないのか分からないような数学の問題を解くより、具体的な問題解決のために必要な数学の問題なら解こうというモチベーションが全然ちがうものね。
3. 匿名処理班
教育を大事にしてるのがよく分かる国だ
自分の国を悪く言っても仕方ないけど、やっぱり比べちゃうなぁ
4. 匿名処理班
これ日本の「総合的な学習の時間」みたいなものなのかな?
自分小学生だった頃は導入初めで試行錯誤だったみたいだけど、今はどうなったんだろう?
でも教科のジャンルを横断して一つのテーマを学ぶって姿勢は面白いと思う。
現実問題、例えば何か一つ商品を売るのだって、マーケティングにはキャッチコピー、心理学、統計、味やそれに関する特許製法とか色々関連してくるんだから、実学的かもね。
5. 匿名処理班
良いと思うけど、子供に自分の将来を考える癖を付けさせてからの方が良くないかな
興味の赴く侭だと偏り過ぎたりしないんだろうか
どちらにしても日本の場合は、子供だからと先延ばしにしないで大人に成った自分について考える時間はもっと必要だと思う
6. 匿名処理班
未だにフィンランド、スウェーデン、ノルウェーの位置関係が分かりません。
7.