「慰霊の日」糸満市で追悼式

沖縄は23日、20万人を超える人が亡くなった沖縄戦から72年となる「慰霊の日」を迎え、激戦地となった沖縄本島南部の糸満市では、遺族などおよそ4900人が参列して戦没者追悼式が開かれ、平和への誓いを新たにしました。

激しい地上戦で当時の沖縄県民の4人に1人が犠牲となった太平洋戦争末期、昭和20年の沖縄戦では、日米両軍を含めた戦没者が20万人を超え、被害の全容はいまも分かっていません。
「慰霊の日」の23日、激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園では遺族などおよそ4900人が参列して、沖縄県主催の戦没者追悼式が開かれ、正午の時報に合わせて1分間の黙とうをささげました。
沖縄では、すでに県民の9割近くが沖縄戦のあとに生まれた世代となり、戦争の記憶をどう語り継いでいくかが課題となっています。
沖縄県の翁長知事は式典で読み上げた平和宣言の中で沖縄戦で多くの学友を亡くした経験から平和への取り組みを続け、今月、92歳で亡くなった大田昌秀元知事が、すべての戦没者の名前を刻むという理念のもと平和の礎を創設したことに触れ、「平和の尊さを大切にする思いを継承し、未来を担う子や孫のため絶え間ない努力を続けていく」述べました。
そして、72年たった今も、在日アメリカ軍専用施設のおよそ70.4%が沖縄に集中していることを踏まえて、「日本の安全保障の問題は国民全体で負担してもらいたい。アメリカ軍基地の整理縮小など沖縄の過重な基地負担の軽減を政府に求めていく」と述べました。
そのうえで、政府と対立しているアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設について、「沖縄の民意を顧みず工事を強行している現状は容認できるものではありません」と述べました。
追悼式では安倍総理大臣もあいさつし、いまの日本の平和と繁栄は沖縄の苦難の歴史の上にあるという認識を示した上で、「基地負担軽減のため、1つ1つ確実に結果を出していく」と述べました。
一方、普天間基地の移設問題には具体的に触れませんでした。