いま我々は、新しい「フランス革命」を目撃している。6月11日と18日に行われたフランス国民議会選挙で、エマニュエル・マクロン新大統領が率いる新政党「共和国前進」の議席は308に達し、単独過半数の確保に成功した。
マクロン体制の船出
対照的なのが伝統的な2大政党の凋落だ。これまで政権を担当していた社会党の議席数は251も減ってわずか29議席にとどまった。フランソワ・オランド前大統領に対する有権者の不満がいかに強いかを象徴している。共和党も81議席減らして、113となった。
マリーヌ・ルペン党首が率いる右派ポピュリスト政党・国民戦線もふるわず、獲得議席数は8議席にとどまった。
得票率を見ると、共和国前進は第1次投票で28.2%、第2次投票で43.1%を獲得。国民戦線の得票率(第1次投票で13.2%、第2次投票で8.8%)に大きく水を開けた。
だがマクロン大統領は、まだ手放しで喜ぶわけにはいかない。その理由は、投票率が42.6%と極めて低かったことにある。前回の国民議会選挙に比べて、12.8ポイントも低い。18歳から25歳までの有権者のうち、第2次投票で票を投じたのは、わずか26%、労働者の投票率も、31%にとどまっている。有権者の過半数が投票権を行使しなかったことは、マクロン大統領に対して不信感を抱く市民が少なくないことを意味している。