(英エコノミスト誌 2017年6月17日号)

中国「一帯一路」サミット開催、称賛と懸念の声入り交じる

中国北京の人民大会堂で開かれた「一帯一路」に関する国際会議の歓迎夕食会の卓上(2017年5月14日撮影)。(c)AFP/DAMIR SAGOLJ〔AFPBB News

中国は共産党が考えている以上に長い間、欧州より貧しかった。これは習主席の「中国の夢」にどんな影響を及ぼすのか。

 中国の習近平国家主席は、自分自身の「中国の夢」について語るのが好きだ。何でも、「中華民族の偉大な復興」を夢見ているという。

 習氏にとっては、これは中国が共産党の指揮下で「屈辱の100年」――第1次アヘン戦争(1839~42)後の100年間に中国が見舞われた経済的惨事と外国による領土奪取のこと――以前と同じように世界で最も裕福で最も強い国に返り咲くことを意味する。

 その延長線上で考えるなら、共産党の正統性はこの復興次第ということになる。しかし、1839年以前の中国が世界で最も裕福な国でなかったらどうなるだろうか。中国が欧州より貧しかった時期が175年間ではなく675年間だったらどうか。それでも習主席の「中国の夢」はこれほど大きな魅力を持つだろうか。

 オックスフォード大学のスティーブン・ブロードベリー、北京大学の菅漢暉(グアン・ハンフェイ)、清華大学の李稻葵(デビッド・ダオクイ・リー)の3氏が新たにまとめた研究は、中国は実際、数世紀にわたって欧州の後塵を拝していたと論じている。

 中国、イングランド、オランダ、イタリア、日本の5カ国について、西暦1000年前後以降の1人当たり国内総生産(GDP)を推計して比較したところ、中国がほかの4カ国よりも裕福だったのは11世紀の間だけだったという。この頃までに中国は火薬、羅針盤、可動活字、紙幣、溶鉱炉を発明していた。

 だが、ブロードベリー氏と2人の共同執筆者によれば、イタリアは1300年よりも前に中国に追いついており、オランダとイングランドも1400年までには追いついていた。1800年前後には日本が中国を抜き、アジアで最も裕福な国になっていた。