2015年7月22日(水)
算数教育主流派のおかしな理論を検討する際、私はよく「小学校学習指導要領の解説(算数編)」を読む。それは、
各教科書会社が算数の教科書を編纂するとき、学習指導要領のみならずその学習指導要領の解説に強く拘束されてい
る。教科書会社には編纂した教科書が検定に合格する必要があるからである。
しかし、教科書のおかしな面が学習指導要領解説の内容のおかしさを継承している場合もある。ここではっきり
しておく必要がある。学習指導要領解説に何の法的拘束性もない。(学習指導要領自体の法的拘束性の有無について
は疑問があるが、本稿の主題でない、)学習指導要領解説は単なる指導要領の解説のたぐいのもので、市販の解説書
と何ら変わらない。学習指導要領解説など無視すればいいのだが、前述したように教科書会社がその内容に拘束され
ているので、算数教科書がおかしい場合に関連の学習指導要領解説を読む。学習指導要領の解説がおかしいから教科
書もおかしいという場合もある。また、学習指導要領解説には何も触れられていないが、教科書会社が勝手に解釈し
ておかしくしていく場合がある。それらの例を見ておこう。なお、はっきり言っておかなければならないことは、学
習指導要領の解説の作成協力者は、算数教育「学」の主流派及びその主張に賛同している現職の小学校校長・指導主
事及び教諭である。彼ら・彼女らの多くは、同時に算数教科書の編纂に関わっている。学習指導要領解説と算数教科
書とは、同じ穴のむじなである。学習指導要領の解説(算数編)をまじめに読む意味がないことがわかろう。『学習指
導要領の解説(算数編)』は、算数教育の問題点が議論されているとき、何の一方の主張の正当性の根拠にもなり得な
いのである。和歌山大学の情報関連の准教授である「わさっき」氏は、例えば0を2の倍数に入れないことのひとつ
の根拠として「学習指導要領の解説(算数編)」をあげているが、その学習指導要領の解説が数学として間違っている
あるいはおかしいのである。算数教育の現状である0を2の倍数に入れない正当性の根拠に、学習指導要領の解説に
記述があることなど何の根拠にもなり得ない。
学習指導要領の解説のおかしさがそのまま教科書のおかしさになっているのは、0を2の倍数ら除くような記述を
している部分である。その部分を引用しておこう。
『小学校学習指導要領解説 算数編』P141、142
ここでは0を偶数としている。普通に考えると、偶数とは2の倍数であり0は当然2の倍数になる。にもかかわらず
学習指導要領の解説では、0を2のの倍数に入れていないことがうかがわれる。こんなおかしなことは、
黒木氏や「積分定数」氏が指摘してきた。この学習指導要領の解説にしたがって、すべての教科書が0を倍数に入れない
としている。2を偶数としておきながらである。
つぎの例として、2重数直線の使用である。学習指導用解説がとりあげているので、教科書もこれに習っている。
2重数直線『小学校学習指導要領解説 算数編』P145、146
2重数直線は、ある事柄を理解させるための方法・手段であるから別に2重数直線を使う必要などない。この問題は数学
的にどうこうという問題でないが、学習指導要領解説のひとりよがりのような気がする。
学習指導要領解説に記載がなく、教科書会社が勝手に解釈しているものとして「かけ算の順序の強制」の問題がある。
これについては、何度も触れたので改めて記載しない。
次に問題になるのは「二等辺三角形と正三角形の関係」及び「長方形と正方形の関係」である。学習指導要領の解説は、
これらについて特に触れていない。しかし、教科書会社は勝手に「正方形は長方形でない」「正三角形は二等辺三角形でな
い」といった観点から教科書に堂々と問題を出している(大日本図書『たのしい算数』の2年・3年の教科書)
そして、最近教科書ではx、÷、分数などの筆順を載せている。これらの算数記号について、正しい筆順も標準的な筆
順もない。自分の方法でよい。決して教科書通り書く必要もない。困ったことに、教科書にのっている筆順が唯一正しい筆
順だと思って授業で訂正させたりする小学校教員がいることである。筆順を載せた教科書会社の責任は重い。
学習指導要領解説、算数教科書・・・・これらの執筆者はいずれも算数教育の主流派と言われる日本数学教育学会や新
算数研究協議会などの教育団体所属の、主として教員養成系教育学部の算数教育「学」者や現場の校長・指導主事や教員で
ある。算数教育をゆがめているのは彼ら・彼女である。もう少し数学に対する理解があれば
「数学で正しくても算数で間違いになる場合もある」
と述べた算数教育の大家?(ある国立の教員養成系教育学部の元教授)がいたが、このような馬鹿なことばは出てこないは
ずである。
なお、『小学校学習指導要領解説 算数編』(平成29年8月)の作成協力者をあげておく。
『小学校学習指導要領解説 算数編』(平成29年8月)の作成協力者 巻末
(追記)
1.facebookに記した同様な記事
facebookにもこのブログと同じような記事を書いたので、そのままのせる。
facebookより
次は、すべて数学として同じ概念です。
(1)0は偶数である
(2)0は2の倍数である
(3)0は2で割り切れる
こんな当たり前の数学の命題が、どうして小学校5年生の算数では違うことになっているのでしょうか。「0は偶数であると
教え、0は2の倍数にいれないと教える」こんなおかしなことを『小学校学習指導要領解説(算数編)』と算数教科書で堂々と言っ
ているのです。
また、その算数教育の正当性をくどく説明する算数教育「学」者がいること自体が驚きです。そんな、大学教授の頭はどうなっ
ているのでしょうか?どんな説明をしても、「(1)(2)(3)の命題が同値であること」が変わるはずがありません。
2.鉢植えのカサブランカ
facebookでも述べたが、鉢植えしたカサブランカの花が、咲いた。つぼみのときにうんかがわき、退治したものの、花を
咲かせるか心配していた。みごとに咲いた。ほっとした。
カサブランカの花