オーストラリア、ヴィクトリア博物館が組織し、CSIRO海洋国立施設)とNESP海洋生物多様性ハブが支援する国際的研究チームがある。
58名の専門家でなる彼らはオーストラリア、ローンセストンからブリスベンまで1ヶ月にも及ぶ航海を行い、これまで見たこともない21種の深海のクリーチャーを発見した。
中でも人々を驚かせたのが前回紹介した顔のない深海生物である。ほかにも切り取られた息子スティック形状のものから、プルンプルンの新種のアンコウまで、様々な仲間たちが発見された。
スポンサードリンク
1. 星口動物の新種
息子スティックそっくりな星口動物の新種。星口動物は大きさ数ミリから500ミリほどで、頭部には陥入吻という引っ込めることができる器官がある。
陥入吻は筋肉でできており、伸縮性が高く、危険を察知したときなど、体内に完全に引っ込む。ほとんどの星口動物は潮位間の泥や砂の中か、深海の底に潜んでいる。
有性生殖か無性生殖で繁殖するため、繁殖パートナーがいなくても1匹だけで子孫を残せる。もちろんその場合、子供の遺伝子は親と同じだ。
2. バシミクロプス・ブレビアナリ(Bathymicrops brevianali)
バシミクロプス・ブレビアナリ(Bathymicrops brevianali)はショートアス・フィーラーフィッシュ(短い肛門の触手魚の意)と呼ばれる。
学名の意味は、短い肛門の深く小さい目である。その名の通り、特徴的な短い尻びれがある。やはり特徴的な姿をした深海魚ナガツエエソの仲間で、同じように小さく退化した目がある。
3. のっぺらぼうな魚、ブラインド・カスク・フィッシュ
目がなく、モナリザの微笑み浮かべるそれは、4キロの深海から引き上げられた顔のない魚。
正式にはブラインド・カスク・フィッシュという。初めて発見されたのは1872〜1876年のチャレンジャー号探検航海でのことだ。140年ぶりに再発見された。
関連記事:オーストラリアで顔のないのっぺらぼうな深海魚が捕獲される
4. コフィンフィッシュ
青みがかかった目と赤い体を持つコフィンフィッシュはアンコウの仲間だ。オーストラリアでは最も深い場所で発見された種として新記録を樹立した。
新種である可能性もあるようだ。頭から生えた釣り竿のようなもので獲物をおびき寄せる。また危険を感じると水を吸い込んで膨らむこともできる。
5. ダルマザメ
ダルマザメにはノコギリのようなギザギザの歯が並んでおり、クジラやイルカなどの大きな獲物でさえもがっちりと食らいついてはクッキー大の肉を刮ぎとる。
体は小さいが生体発光が可能で、水深1,000メートルの海の”トワイライトゾーン”に生息する。オーストラリアの海で確認されたのは今回が初めて。
6. ウミグモの仲間
この巨大なウミグモの仲間は、既知のものとしては最古の部類に属する節足動物だ。暗闇で輝く足を持つ。
7. ブロブフィッシュ(ニュウドウカジカ)
ニューサウスウェールズ沖2.5キロの地点で発見されたブロブフィッシュ。柔らかいヌルッとした体を持つが、捕食者であり、海底にじっと身を潜めて何も知らない獲物を待ち伏せする。
海水よりも比重が軽い体なので、海底の上を漂うこともできる。
8. ヤドカリの仲間
鮮烈な赤と鋭いトゲが特徴のカニ。本物のカニではなく、ヤドカリの仲間だ。
9. ミナミシンカイエソ
ミナミシンカイエソは大きな口と犬歯状の歯が特徴。餌が乏しい水深1,000〜2,500メートルに生息しているため、個体数は少ない。そうした環境で餌以上に希少なのが配偶者である。このため雌雄同体に進化し、オスの生殖器とメスの生殖器を有している。仲間に出会えれば、誰とでも繁殖できるのだ。
10. ブラインド・カスク・イール
ブラインド・カスク・イールは鱗のない透明なゼラチン状の皮膚を持つ。2,000〜6,000メートルの深海で生息しているために目がない。
深海の暗闇の中では見る必要などないからだ。発見された標本の骨格は部分的にしか石灰化しておらず、筋肉やエラも未発達だ。目と鼻は退化し、浮き袋もない。
11. ナガツエエソ
長く伸びたヒレを持ち、目が見えないナガツエエソ。特徴的な姿で人気の深海魚であり、スパイダーフィッシュとも呼ばれる。
対になった腹ビレと尾ヒレで海底に立ち、ゆっくりとした海流に乗りながら、クシのような鰓耙で粒子状の餌を漉し取る。
12. 深海に潜むジャンボエビ
13. 端脚類
端脚類のような肉食の甲殻類は深海の掃除屋だ。
腐敗した鯨の死体や海面から落ちてきたものなど、食べれる物なら目の前のものをほとんど何でも食べる。
14. バットフィッシュ
アカグツ科に属するバットフィッシュ。世界中の熱帯や亜熱帯地域の海底を這いずり廻る。ただし地中海では見られない。通常、体は平らに圧縮されている。
15. ホネクイハナムシの仲間
ホネクイハナムシに属する体長2〜7センチのゾンビワーム。最初に見つかったのは、3,000メートルの海底に横たわっていたコククジラの死体の骨の中からだった。
機能する口も腸も肛門もなく、バクテリアを利用して消化する。調査からは、皮膚から分泌される酸によって骨を溶かし、そこに潜り込んでは脂質やタンパク質を摂取、体内の共生菌に消化させることが判明している。
16. 肉食性の海綿
棘状のフックで小さな甲殻類などを引っ掛け、ゆっくりと消化する。
17. 六放海綿
六放海綿には格子状のシリカでできた骨格がある。
個体によっては1メートルにも達する。
18. センジュナマコ属の仲間
足のような菅で海底の泥の上を動き、微生物を浮かび上がらせる。”足”を持つ唯一のナマコであり、深海の食料が豊富な領域で効率的に食事にありつくことができる。海底の掃除機のような存在である。
19. ダンボオクトパス
ダンボのような耳を羽ばたかせて優雅に泳ぐダンボオクトパス。海底を泳ぐ無脊椎動物を食べる捕食者。4,000メートル以上の深海に潜むため、漁業用の網にかかることは滅多にない。
関連記事:ダンボ・オクトパスの正式名称が決まる
20. コラリモルフ
コラリモルフは厳密にはサンゴであり、イソギンチャクやクラゲなどの仲間であるが、この仲間に見られる外骨格を持たない。
21. タケサンゴ
炭酸カルシウムの骨格を持つデリケートな海底生物タケサンゴ。ノード状のつなぎ目のためにまるで竹のような姿をしている。非常に長生きで、4,000歳の標本も記録されている。木のような年輪を作るために、海の歴史が体に刻まれているようなものだ。
22. パンケーキウニ
円板状のパンケーキウニだが、自然環境では平らではない。浮揚性の体は深海の水圧を支えているが、海から揚げられるとすぐに萎んでしまう。
23. クモヒトデの仲間
シベリアから南極まで、広範囲に分布する。生態についてはよく分かっていない。
via:museumvictoria / cnet / mashable / newsweek / dailymail.など
あわせて読みたい
クリーチャー感が凄い!ロシアの漁師が海で引き揚げた奇妙な生き物たち
グロカワの魅惑。世界で最も醜い生き物ランキングベスト5。一位はあの深海生物(画像+動画)
カオナシだと?オーストラリアで顔のないのっぺらぼうな深海魚が捕獲される
新発見!深度8,145m、最も深い海にすむ魚がマリアナ海溝で発見される。
これぞまさに深海魚ルックス!見た目がアレすぎて残念な名前をつけられてしまった「骨ばった耳のクソ魚」
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「知る」カテゴリの最新記事
「水中生物」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 4883 points | 助けてください、ここ病院ですよね?人間の病院に助けを求めにやってきた妊婦猫(トルコ) | |
2位 3612 points | ていうか原型とどめてナッシンじゃん!中国に「フォトショップ聖人」と呼ばれるコラ職人がいるらしい。 | |
3位 3385 points | リアル混入具合が日本と違う。ワイルドなアニマル感がハンパない動物肉球ソックスがナウオンセール! | |
4位 3250 points | 植物にもある種の脳があり、細胞が会話を交わしながら成長のタイミングを判断していることが判明(英研究) | |
5位 2205 points | NASAに資本出資している億万長者が暴露「宇宙人は既に確認されている」 |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
魔界物の薄い本の資料ピッタリな感じのものがいくつかあるね
2. 匿名処理班
最後のクモヒトデがパッと見ハンドスピナーに見える
3. 匿名処理班
『息子スティック』という単語に慣れすぎて、何の違和感も感じず普通に記事を読めるようになってしまった。 俺も大人になったなぁ〜
4. 匿名処理班
コラリモルフを見てしまった貴方は1d6/2d6のSANチェックです
5. 匿名処理班
モザイクかけて煽ってるんだろうと思ったらガチだった
6. 匿名処理班
御先祖様や ありがたや〜ありがたや〜
7. 匿名処理班
深海は息子スティックまみれ✩°。⋆⸜(* ॑꒳ ॑*= )⸝ギーガー万歳♡
8. 匿名処理班
1のモザイクは本物だ、息子スティックそのものだった。
地味にどういう動きをするのか気になる
9. 匿名処理班
おー、なんとも興味深い。
ダルマザメの歯なんか、仕事きっちり、な職人さんが、手塩にかけて削り出した感じで、A型のボクにはたまらない仕上がりですよ。
10.
11.
12.
13.
14. 匿名処理班
最後のヒトデは今話題のスピナーでしょ
15.
16. 匿名処理班
我々のスティックの方が悪い意味で
神秘的という事を理解した(´・ω・` )
17. 匿名処理班
深海はカンブリア爆発が続いてる領域だなぁ。
18.
19. 匿名処理班
形がわかりやすいようにってことなんだろうけど
背景が真っ黒の写真が怖くて仕方ない
20. 匿名処理班
息子スティック型生物が思ったよりも息子スティックしてた
21. 匿名処理班
ダンボオクトパスいいね〜
どことなくメンダコに似た可愛さだ!!
22. 匿名処理班
ついにユムシを超えるスティックそのものが出てきたか。
本当、自然というのは不思議で面白いなあ。
23.
24. 匿名処理班
予想以上に息子スティックだった…
25. 匿名処理班
20はロードオブザリングで見た。
26.
27. 匿名処理班
元の水圧下での姿も見ていたいものだ。
28.
29. 匿名処理班
宇宙外生物が2、3個混じってない?
30. 匿名処理班
膨らませたり萎ませたり、水中で活動するのに適した形なのかね
31. 匿名処理班
思ったよりそのままな形だったなぁオイ
10はなんか孵化前のオタマジャクシみたいだ
もしかしたらいろんな水生生物の祖先かも
複雑に進化した動物だって、胚から誕生(孵化)するまでにそれまでの進化の歴史をたどるって言うし
32. 匿名処理班
スケスケか、プルプルか、ニョロニョロか、トゲトゲか。
深海生物ってこの内のどれかに属する確率が高い気がする。
それにしてもラストのクモヒトデのカッコ良いデザイン最高だな…。
33.
34. 匿名処理班
コラリモルフ[くさい息]
35. 匿名処理班
18のナマコ、もやしが付いている様に見える
36. 匿名処理班
やだぁ…///
1のそれ私のおもちゃだわ
37. 匿名処理班
物体xは南極を脱出したに違いない
38. 匿名処理班
うーん、息子が全部持ってってるな。