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なぜこんなのが回る?ボールベアリングモーターの実験

ボールベアリングモータ(Ball Bearing Motor)とは

ボールベアリングモータ(Ball Bearing Motor)またはベアリングモータ(Bearing Motor)とは、2つのボールベアリングと金属シャフトのみから構成されるシンプルな構造のモーターで、金属シャフトの両端にボールベアリングを夫々取り付け、その2つのボールベアリングに自動車のバッテリなどを接続して大きな電流を流すと、不思議なことに、シャフトが回転します。ユニークなところは、通常のモータでは必要な磁石やコイルを必要としないこと、回転方向は電流の向きとは全く無関係で不定である(初めに回り出した方向を持続させる)ことです。また、現在の所、明確な動作原理(回転原理)は不明です。もともとのオリジナルは海外のようで、20年以上前に発行された書物(特に不思議系の本や雑誌)に紹介があるので、相当古くからあるようです。

こんな感じで、シャフト両端のボールベアリングに自動車のバッテリを接続、つまり、バッテリから見たら殆どショートしているようなもんです。かなりの電流が流れそうで、ちょと怖そうな実験です。

 

ミニボールベアリングモータ実験を開始

上のような大きなベアリングではなく、小さなボールベアリングを用いて実験を行います。それと、バッテリをいきなり繋ぐ根性はないので、電流を思い通りに制御できる安定化電源器を用いて実験します。

材料はこれだけ。外径16mm内径5mmの小型ボールベアリング2個とスチールシャフト1本。

シャフトの両端にボールベアリングを嵌め込めば出来上がり。製作時間は10秒ぐらい。

ボールベアリング部の拡大写真。ベアリングってよくみると結構可愛い。

自動車バッテリ充電用ケーブルをベアリングに接続(たんに挟むだけ)。

ケーブルの逆側を安定化直流電源器に接続。最大60Aまで取り出すことが出来る。

 

いよいよ通電

通電して、徐々に電流を上げて行くと10Aぐらいから振動を伴って回転し始める。

勝手に方向が定まって一方向に回りだすこともあれば、手で初速を与えなければ回りださない時もある。

初め右に回わせばずっと右回り、左に回わせばずっと左回り。

20Aぐらいに上げるとかなり勢い良く回る。30Aまで上げると更に活気が出てくるが、オイルが焦げたような異臭が薫る。ボールベアリングをちゃんと固定していないので、軸のねじれが発生すると回りづらくなる。軸を合わせてベアリングをきっちり固定すると、もっとスムースに回るようになると思います。

 

シャフトな長さを短くすると

シャフトを短くしても何ら変りなく回りました。シャフトの長さは、どうやら、回転には関係ないようです。

 

シャフトレスのシンプルベアリングモーターを試作

上の実験で、シャフトの長さは回転に無関係なことが分かったので、シャフトを無くしたモーターを試作。

材料は小型ボールベアリング2個とボルト1本とナット2個。

とてもシンプルで可愛くなった。

 

通電開始

いい感じで回る。シャフトがある時よりも軸のねじれが発生しないので凄くスムースに回転します。

いい感じでグルグル回転したので動画を撮りました。

 

 

 

補足実験1・交流でも回るのだろうか?

上の実験では綺麗な直流電流を用いたが、はたして交流電流でも回るのだろうか?でやってみた。

電灯線を変圧した交流電流(60Hz)でも、直流と同様にちゃんと回りました。

 

補足実験2・ベアリング1つでも回るのだろうか?

片方の電極を針(回転中心に接触させる)にした、ボールベアリングを1つにしても回転するのか?

を確認実験しました。

ちゃんと回りました。

 

補足実験3・逆に外から回転させると

一般的なモーターの多くの種類は、逆に外から回転を加えると、発電します。そこで、ボールベアリングモーターもやってみました。

電気ドリルでグリグリ回し、高感度電圧計とオシロで発生電圧を計測。

特に奇妙な電圧は計測されませんでした。

 

ボールベアリングモーター実験結果まとめ

(1)ほんとうに回転した。

(2)5A程度からブルブル振動現象が始まり、場合によっては10A程度から回転する。

(3)低電流の場合、回転させるには、左右どちらかの初速を外部から与えることが必要。

(4)20A程度以上流すと、初速を与えなくとも勝手に回転を開始する場合が多い。

(5)調子よく回っているときは意外にトルクがある。

(6)回転方向は不定で、電流の向きとは無関係である。

(7)直流でも交流でも同様に回転する。

(8)シャフト軸の長さを極端に短くしても同様に回転する。シャフト軸の長さと回転とは関係しない。

(9)ボールベアリング1個の構成でも回転する。

(10)回転による起電圧発生は特に無い。

(11)電流による発熱が大きく長時間の実験は困難。

(12)長時間回すとボールベアリングの油が焼け付き回らなくなる。

(13)回らなくなったボールベアリングに油の注入メンテして手で回した感じではスムースになっても

   何故かその後は一切回らなくなる。

(14)注入した電力の殆ど全ては熱になっているため極めて効率が悪いモーターである。

 

 

動作原理(回転原理)

正直、今のところ、このボールベアリングモーターの回転原理は、僕には分かりません。ネットで調べると、諸説色々あるようですが、どれもこれも、しっくりこないように思います。ただ、一部で言われているような、未知のエネルギーの流入とか、そんな感じの神秘な現象のようにはあまり思えません。なんせ、こんなに発熱するほど電流を流しているのだから、何らかの電磁気学的な力が何らかの形で作用しているのだと思います。考察継続中です。

投稿:2012/6/11

 

追記

TVでも紹介された流行りの針金モーター(乾電池と銅針金とネオジウム磁石だけで構成されたシンプルなモータ)と原理は同じなのでは?というメッセージを頂きましたが、針金モーターには強力な永久磁石があり動作原理は通常のモータと明確に説明できそうですが、このベアリングモーターの明確な動作原理はどうにも分かりません。

追記:2012/6/15

 

追記

もしかしたら、ファラデーの単極誘導モーターで説明出来るかも知れないような気がしてきました。磁石は無いようですが、大電流を流すことにより自らが磁束を作り、かつ、回転極となっているのです。詳細は考え中です。

追記:2012/6/23

 

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