最高の4Kゲーミングを楽しみたいけど、どうすればいいの? そんな素朴な疑問への答えは、実はそうシンプルではありません。いろんな選択肢があってとても紛らわしいのです。
4Kは消費者にとっては3,840 × 2,160ピクセル(これに対し1080pのテレビは1,920 × 1,080)の解像度のこと。映画やテレビ向けにはもうおなじみですが、新たなゲームハードでも標準となりつつあるようです。今年の3月にNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)を発売した任天堂はまったく言及していませんが、Microsoft(マイクロソフト)の新しい「Xbox One X」は4Kに対応しており、性能的には少し劣るもののXbox One SやSony(ソニー)のPS4 Proも4Kをポートしているといえます。
さてここからがややこしくなります。なぜなら「4K」は技術的にはただ"映像が再生される時の解像度"を指すことばなんですが、これはUHD(Ultra High Definition=ウルトラ・ハイ・デフィニション)と同じ意味で使われています(*訳注:厳密には違うのですが、この記事ではUHDと記すときには主にUHD Blu-rayのことを指しています)。その他に、画像のディテールも出しつつ、より良いコントラスト、より幅広い色域も提供できるHDR(High Dynamic Range=ハイ・ダイナミック・レンジ)という、スクリーン上により豊かな幅の色彩を提供するものもあります(テレビ自体が表示するのは現実世界に目にする色の一部でしかありません)。
新たなコンソールやテレビが4K再生をサポートするとうたっているなら、それが4Kなのか、UHDなのか、そのあいだの何かなのか、よくよく確認したほうがいいでしょう。大抵の場合は4KとHDRに色域拡張がないものです。ただ解像度が高いというだけのものでは、約束された素晴らしいゲーム体験は得られないでしょう。
この紛らわしい全てのこと(この先の説明で少しでもわかりやすくなるといいですが)に加え、リフレッシュレートの存在も関係してきます。同じ4Kだとしても、30fpsと60fpsでは体験がまったく異なるのです。コンソールであってもテレビであっても、チラシの裏の小さな文字でもキチンと読んで「解像度、HDR、色域、フレームレート」を確認しましょう。
もちろん、4K、HDR、UHDを本当に体験したいのであれば、コンテンツ、再生するデバイス、表示するデバイス、同じ基準をサポートするケーブルだって必要です。これら4つのどれが欠けたとしても、UHDで近似値がにじんだりといったことになってしまいます。そしてこれが混乱の元になるわけです。
Xbox One Sの4K
Xbox One Sは昨年発表された時にはUHDをサポートする最初のコンソールでした。でもUHDサポートはビデオのストリーミング再生(Netflixとか)と内蔵Ultra HD Blu-rayでの再生のみ。全てのXbox Oneゲームも4K解像度で表示することはできますが、その背後では先程ちらっと述べた近似値など中々凝ったアップスケーリングが行なわれています。
でもこれは4Kゲームが4K解像度で見られるというわけではありません。この背後にあるアルゴリズムは賢いものですが、これは1080pゲームが4Kサイズにされているだけ。しかしゲームによってはフレームレートの若干の向上や60fpsまで向上する場合もあるようです。これなら購入をちょっと考えてしまうかもしれません。
ゲーム開発者たちはXbox One Sの4Kアップスケーリングのために追加のコードやアセットを提供できませんでした。彼らができたのはHDRのサポート。そう、Xbox One SはHDR性能(正確にはHDR10)もあるんです。将来のゲームはすべてHDR対応になるでしょうが、今のところ言えるのは、現在のHDR対応ゲームのリストは多くはない、ということです。『Gears of War 4』など、大作も幾らか名を連ねていますけどね。
もしUHDテレビをお持ちなのであればXbox One Sは普通のXbox Oneゲームの見た目を良く、特にHDR対応のものでは更に良くしてくれる素晴らしいものとなるでしょう。しかし、繰り返しになりますが、これは真の4Kゲームに対応しているわけではありません。
4Kサポート:動画ストリーミングとUHD Blu-rayに関してはイエス。ゲームに関してはノー。アップスケールのみ。
HDRサポート:イエス。対応ゲームとストリーミングアプリでは。
UHDサポート:イエス。Ultra HD Blu-rayメディア。
PS4 Proの4K
Xbox One Sと同じように、PS4 ProもNetflixやAmazonからの動画視聴に関しては4Kをフルサポートしています。しかしXbox One Sと違いUntra Blu-ray HDドライブはないので、ストリーミングサービスからの4KとHDRコンテンツ視聴しか楽しめないわけです。
4Kゲーミングについては、PS4 Proはゲームをフル4K画質でレンダリングすることにネイティブ対応しています。しかしゲームはそれ専用に作られているか、アップデートされないといけません。ゲームによる解像度やフレームレイトの違いから必要とされるパワーも違いますし、デベロッパーたちはどこまで可能なのか明らかにしていません。ゲームがアップデートされていない場合も、アップスケーリングはなされます。ソニーが開発した「checkerboarding」という技術により、ゲームが本来出力するピクセルよりも多くのピクセルを生み出すのです。
Eurogamerは詳細なテストをしており、それによればPS4 Pro向けの4Kネイティブゲームでは、60fpsで4Kをサポートすると言われる全てのタイトルで実現できるわけではないことが判明しました(Xbox One Xのでかい馬力はこういうところで生きてくるんでしょうね)。テストのリストではHDRにも触れられていますが、PS4 ProもXbox One Sも、ゲーム(とあなたのディスプレイ)が対応している限りはHDRをサポートします。ここでもフォーマットはHDR10となっています。
Xbox One Sとは違い、PS4 Proのデベロッパーはコードをいじることによりネイティブでピクセルを増やしていますが、フル4Kとなっているのはその一部でしかありません(IGNもうまくまとめています)。それでも、アップデートされていようがいまいが、このハードでは全てのゲームの見栄えが良くなるはずです…少なくともある程度は。
4Kサポート:イエス、対応ゲームとストリーミングアプリで。
HDRサポート:イエス、対応ゲームとストリーミングアプリで。
UHDサポート:ノー。
Xbox One Xの4K
最新のコンソールXbox One Xではどうでしょうか? マイクロソフトはグラフィックパワーに注力し、真の4Kゲーミングをもたらそうとしていますが、ソニーの最新ハードとの違いはそこまでありません。
Xbox One用のゲームはどのXbox Oneデバイスでも(初代Xbox Oneでも、Sでも、Xでも)プレイできます。しかしその中でもいちばん高クオリティーに楽しめるのがXです。真の4Kレンダリングに関しては、ソニーのPS4 Proと同じくゲームがそれ専用に作られていなければいけません。Windows CentralはXbox One X用にアップデートされたゲームのリストを公開しています。また、PS4 Proと同じように、「アップデートされたゲーム」が「フル4Kサポート」という意味とは限りません(4Kに足りないくらいの解像度になったり、HDRが付加されたり、と言ったものも含まれます)。
11月の発売まではどのゲームが4Kにネイティブ対応するのか断定するのは難しいですが、この新コンソールで遊べる全てのゲームが3,840 x 2,160ピクセルで出力されるというわけではない、と言い切ってもいいかもしれません。Xbox One Sと同じようにHDR10がサポートされている他、動画やUltra HD Blu-rayディスク(これにもプレイヤー内蔵されている)も4Kです。
ソニーとマイクロソフトの重役たちは4Kゲーミングについて熱心なようですが、実際のところ、コンソールでの4Kゲーミングの時代はまだ最初の一歩を踏み出したばかり。時間がたてば、PS4 Proの取るに足らないタイトル揃えと比べられて、Xbox One Xではより多くの4Kネイティブタイトルを遊べるようになることでしょう。しかしそれも11月の発売以降にならないと詳しいことはわかりませんけどね。
4Kサポート:イエス、対応ゲームとストリーミングアプリで。
HDRサポート:イエス、対応ゲームとストリーミングアプリで。
UHDサポート:イエス、Ultra HD Blu-rayメディア。
PCとNvidia Shieldの4Kゲーミング
もしもあなたにとって4Kゲーミングが重要なのであれば、PCが一番ピッタリのチョイスでしょう。でも一番お金のかかるチョイスでもあります。ゲーム、コンピューター、モニター、全てが4Kに対応していないと完全に楽しめないということを忘れてはいけません。グラフィックパワーが十分であれば、ほとんどのゲームを4Kに引き伸ばすことが可能です。しかし今までのところHDRやUHDをサポートするゲームはそう多くありません。
PCでの4Kゲーミングについて詳しく説明するにはこの記事の倍の分量が必要です。しかし60fpsの4Kゲーム体験をお求めなら、Nvidia GTX 1080かAMD Radeon R9について調べてみるのをおすすめします。もちろん安いグラフィックカードも技術的には4K解像度にすることが可能です、30fps程度のフレームレートでなら。もしお金をだせるのであれば、Xbox One Xの6テラフロップを遥かに凌ぐ11.2テラフロップのNvidia GeForce GTX 1080 TIがあります。もちろんそれを扱える余裕のある電源ユニットや、Core i5かそれ以上のCPUも必要です。
The Tech Buyer's Guruは4K対応の(とても高価な)PCを作るための詳しいガイドを記していますし、TechRadarはXbox One Xと同程度、もしくはそれ以上のマシンを組むための部品別ガイドを掲載しています。自分で組みたくない方や、アップグレードするのはちょっと…という方は、4Kパフォーマンスを約束するハイエンドな組み立て済みのシステムもあります。でも常に最大フレームレート数とリフレッシュレートを確認して、本当にあなたが望む4Kパフォーマンスが保証されているのかをご確認くださいね。Elite Gaming PerformanceにもとてもいいゲーミングPCの記事が掲載されています。
GeForce GTX 1080かそれ以上のGPUを搭載したパソコンを組むか買うかすれば、4Kゲームをストリームプレイする「Nvidia Shield」という選択肢もあります。これはNetflixやGoogle Play ムービー& TVからの4Kネイティブビデオをサポートしているというのもポイントです。そして幅広いAndroidとGeForce Nowゲームタイトル(4K解像度ではないですが)へもアクセス可能になります。
4K対応ケーブルを買うには
実は全てのHDMIケーブルで4Kをフルに楽しめるわけではありません。大半のものが4K解像度をサポートしていますが、ケーブルによってHDRやUHD、もしくは両方に対応していないものもあるのです。
あなたの使うゲーミングハードとディスプレイの間には「HDMI 2.0a」かそれ以上のケーブルが必要です。HDMI 1.4かそれ以下だとHDRとUHDをサポートしていません。ちなみにソニーもHDMIのバージョンが記されたマークを確認することを推薦しています。
HDMIボックスをディスプレイとゲームマシンの間に設置する場合も、HDRとUHDからサヨナラするのと同じです。PSVRに付属のプロセッサーユニットや大半のHDMIスイッチャー、そして殆どのHDMIゲームキャプチャーボックスはHDMI 2.0aパススルーをサポートしていません。そうなれば、HDR/UHD部分のシグナルが失われてしまうのです。
4Kディスプレイを買うには
最後の要はディスプレイです。多分「4K」シールの張ってあるテレビやモニタはどれでも多分大丈夫でしょう。「多分」というのは、リフレッシュレートと入力ポートを念のため確認したほうがいいからです。新しいものであれば大抵フルUHD対応でしょうが、UHD基準がきちんと確立される前の時期に発売されたものをお持ちの方はご確認ください。
一番いいのは、モニターもしくはテレビのリフレッシュレート(Hzで記してある)があなたのゲームマシンの出せるフレーム・パー・セカンド(fps)と同じかそれ以上のものにすることです。米GizmodoのField Guideでは以前正しいテレビの買い方も書いていますが、4Kに関してはHDMI 2.0aかそれ以上のインプット(4Kコンテンツを60fpsでサポートする)もしくは、DisplayPort接続のものを。HDMI 1.4では4K解像度は可能ですが30fpsとなりますし、HDRには対応していません。
HDRと言えば、ソニーもマイクロソフトもHDR10を使用しています。なのでディスプレイもDolby VisionなどではなくHDR10対応のものがいいでしょう。もしなくても4K解像度にはなりますが、いくらか色域と繊細さが失われることでしょう。HDRモニターに関しては誕生したのが最近なので、購入できるものもようやく出てきたような状況です。またPCやXbox One Xでゲームをしようというのであればそれ以外にもグラフィックのスムーズさを向上させるためにG-SyncやFreeSyncなどの機能にも注目しましょう。
マイクロソフトはXbox One Sのプレイに必要なスクリーンの詳細を公開しています。Xbox One Xでも似たようなものでしょうが、まだ詳細が公開されていないので注意が必要です。ソニーはPS4 Proに関して、4K解像度で50Hzのリフレッシュレートという以外には詳しいことを述べていません。
ザ・ベスト4K
さて、結局どんな4Kシステムを買えばいいでしょう? それは今あなたが既にもっているものと、どんなゲームをプレイしたいか、そしてそれぞれのコンソールのグラフィック性能によります。しかしその比較をしようにも、Xbox One Xは販売が5カ月先なので難しいですよね……。
ただし、4Kパフォーマンスだけで他の要素を排除すると、Xbox One Xがベストなのではないでしょうか。ゲーム開発者達も重要な要素だと考えると、グラフィックパワーのあるXbox One Xであれば、60fpsでプレイできる4Kゲームを開発しやすいでしょう。Xbox One XもPS4 Proどちらにとっても、4KのフレームレートとHDRはタイトルによりけりなんです。
ソニーの最新コンソールよりも100ドル高いマイクロソフトの最新コンソール、しかし十分な時間と開発者のサポートがあれば、その価格差の価値は出てくるかもしれません。今のところはまだ断言するには早いですが、これに関しての討論は11月に控えるXbox One Xの発売まで続くことでしょう。
PCでの4Kゲーミングと比較すれば、Xbox One Xはパワフルさは劣るものの、安価で利便性の高いオプションと言えます。それでもやはりゲーム別の問題はありますが……。またWindowsとSteamではより高解像度と高フレームレートに最適化されたタイトルが多く楽しめることでしょう。
・【E3 2017】Microsoftの発表まとめ:新ハード「Xbox One X」、4Kが堪能できる新作ゲームの数々
Top Image: Christian Petersen/Getty Images News/ゲッティ イメージズ
Image: Alex Cranz/Gizmodo US, © Microsoft 2017 via Microsoft
Source: Xbox One S(1・2), Eurogamer.net(1・2), IGN(1・2), Windows Central, The Tech Buyer's Guru, TechRadar, Dell, Elite Gaming Performance, HDMI.ORG, PS4 Pro