2009年に発売されたTwitter専用端末「TwitterPeek」
Samuel West
名前に惑わされてはいけない。「失敗博物館」(Museum of Failure)は、人類の挑戦と失敗をあざ笑う施設ではない。褒めたたえる施設だ。
6月7日、コレクターの自称イノベーション研究員サミュエル・ウェスト(Samuel West)氏は、収集した51の「失敗作」を、スウェーデン・ヘルシンボリの博物館に展示した。全て、創造のプロセスを称賛するためだ。
博物館を訪れた人は、ソニーのビデオレコーダー「ベータマックス」やアメリカのレンタルビデオチェーン「ブロックバスター」などの懐かしい名前と再会する。多分もっと無名の「TwitterPeek」などの失敗作にも出会う。いずれも、ウェスト氏がこれまでコレクションしてきたものばかりだ。
「有力な大企業でも失敗することはある。大切なのは、より大きな失敗をしなくても済むように、失敗を受け止める企業文化を作ることだ」とウェスト氏はBusiness Insiderに語る。
この博物館で余生を送る失敗作を紹介していこう。
ウェスト氏は、これから紹介する製品のコレクションに苦労したと言う。全て生産中止になっているからだ。この博物館は、ウェスト氏が失敗製品に注ぐ愛情の結晶だ。
Samuel West
展示中の製品の多くは、発売から数年で生産中止になった。例えば、このノキアのスマートフォン兼ゲーム機「N-Gage」の販売期間は、2003年~2005年。
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ノキアはこのデバイスを任天堂「ゲームボーイ」の対抗製品として発売したが、その奇妙なデザインとボタンレイアウトがすぐに批判を浴びた。 2004年、ノキアはデザインを変更した「N-Gage QD」で巻き返しを図ったが、結局のところ数百万台しか売れず、後に完全に生産中止となった。
もっと前の失敗製品「Apple Newton」。販売期間は1993年~1998年とやや長い。手書き認識ソフトウェアが貧弱で、価格が高かったせいで、市場から消えてしまった。
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「Apple Newton」は当初699ドルで販売されていた。インフレ率を考慮すると、現在の1178ドル(約13万円)に相当する。 1990年代半ば、複数の病院で短期間使用されていた。だが結局、アップルは当時存在した他社の情報端末「PalmPilot」のシェアを奪うことに苦戦した。 救いが一つある。後にスティーブ・ジョブスは、アップルのパーソナルコンピューターに対するアプローチを刷新し、iPhoneやiPadの開発に至った。
こちらはあまり知られていない失敗製品「CueCat」。2000年に発売されたバーコードリーダーだが、ほとんどの消費者には使い方が分からなかった。この製品のアイデアは、URLを入力する代わりに、例えば雑誌をスキャンすることで、直接ウェブサイトを開くことができるというものだった。
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2009年、Twitterがまだ比較的新しかったころ、モバイル端末メーカーPeekは「TwitterPeek」を発売した。価格は200ドル(約2万2000円)、Twitterアクセス専用だ。ほとんどの人には、買うほどのものではないと判断された。
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開発元のPeekは、2008年に最初の製品であるEメール専用端末「Peek」を発売した。
2012年以後、Peekはパーソナルデバイスから撤退し、クラウドテクノロジーに力を注いでいる。
「Kodak DC40」は、1995年発売当時、この分野では初めての製品だった。だがそれが失敗製品と考えられるのは、コダックが最終的に2012年に倒産したためだとウェスト氏は言う。コダックは、オンライン写真共有サービスがどれほど大きくなるか測り損ねたのだ。
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1970年代、ソニー「ベータマックス」は優れたカセット式ビデオテープレコーダー(VCR)と見なされていた。他と比べて高速、高画質だった。だがソニーがレンタルビデオ市場の取り込みに失敗したために、マーケットシェアを拡大できなかった。
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日本ビクター(JVC)がマーケットシェアを急速に拡大し始めるとすぐに、ベータ対VHSの「規格戦争」は終わった。ただし、ソニーは2002年までベータ対応ビデオテープレコーダーの生産を止めなかった。
ソニーがベータビデオカセットの出荷を終了したのは、2016年のことになる。
アメリカのレンタルビデオ市場も最終的には崩壊した。Netflixが映画を家庭に直接送り届けるようになり、ストリーミングビデオ配信が普及すると、アメリカのレンタルビデオチェーン大手Blockbusterは経営が悪化。2010年に倒産した。
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飲料メーカーは、クリエイティブな(ときに不可解な)改革を行うことがある。それで失敗した製品が「Coke II」(発売当初「New Coke」)だ。1984年初め、従来のコカ・コーラに代わって発売された。
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数カ月も経たないうちに、消費者はオリジナルのコーラの再発売を要求。「New Coke」は最終的に2002年に生産中止になった。
ただし悪いことばかりではない。「New Coke」は失敗作と呼ばれてきたが、オリジナルのコーラの売り上げは1985年末にペプシを抜いた。「New Coke」が結果的にプラスに働いたのかもしれない。
「Coke BlaK」は明らかな失敗作。コーヒーフレーバーのコーラとして2006年に発売されたが、ミスマッチな味と大量のカフェインで不評を買い、2008年に生産中止に。
Samuel West
出典:Bevnet
アメリカのオーラルケア用品大手Colgateは、1980年代、冷凍食品シリーズを製造していた。Colgateの夕食を取ってから、Colgateの歯磨き粉でブラッシングするように勧めていたのだ。ウェスト氏はこの失敗作を「ブランド拡張の失敗例」と評している。
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出典:Monster
ブランドの拡張といえば、大型オートバイ大手ハーレーダビッドソンは、1996年、自社ブランドの香水を発売。「Hot Road」と名づけられたこの香水は、たばこをほのかに思わせるウッディな香調だった。
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だがウェスト氏のコレクションの中で最も不安を誘う失敗作は、美顔マスク「Rejuvenique」だろう。装着した人の顔に微弱な電気ショックを与えるという製品だ。
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[原文:13 of the biggest product flops featured in Sweden's new 'Museum of Failure']
(翻訳:Conyac)