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9条加憲でたたき台 自衛隊保持「妨げない」

自民党憲法改正推進本部の会合であいさつする保岡興治本部長=東京都千代田区の同党本部で2017年6月21日、川田雅浩撮影

 安倍晋三首相が提起した「自衛隊」を明記する憲法改正を巡り、自民党が検討する条文のたたき台が、21日判明した。新設する「9条の2」で、自衛隊を「我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織」と定義したうえで、「前条(9条)の規定は自衛隊を設けることを妨げるものと解釈してはならない」としている。執行部はこの案を軸に協議を進める考えだが、2項(戦力不保持)や2012年の党改憲草案との整合性を問う声もあり、9月にも策定する改憲案の集約が難航する可能性もある。

 首相は5月3日に「9条1項(戦争放棄)と2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」と表明。党関係者によると、たたき台は現行の9条を可能な限りはみ出さないことを重視した。

 今の9条2項が「戦力」の保持を禁止していることから、歴代政権は自衛隊が戦力には至らない「必要最小限度の実力組織」と解釈してきた。解釈は、自衛隊の役割を再定義した安全保障法制でも引き継がれた。たたき台はこの解釈をそのまま明文化し、「自衛隊の性格や役割を現在の9条解釈に収める」(党関係者)狙いがありそうだ。

 さらに9条2項が自衛隊を否定するものではないと念押しする形で、自衛隊の存在を明記する。また「前条の規定に反しない範囲内で自衛隊を保持する」などと記述すれば、たたき台とほぼ同じ効力があるとの意見もある。

 一方「前条の規定にかかわらず自衛隊を保持する」「(目的)のための自衛隊を保持する」といった条文案もある。12年の党改憲草案では9条2項を変更したいきさつがあるため、党内の保守派に配慮し、2項の影響が自衛隊に及びにくくなる案だ。だがその場合、2項が事実上空文化する恐れがあり、「公明党や野党が反発し、改憲が遠のく」との見方も出ている。

 ただ、1、2項に影響を及ぼさず存在を書き込むだけなら、自衛隊の実態は現状と変わらない。このため公明党には「改憲は必要ない」との意見も根強い。さらに、自衛隊をあえて明記すること自体が新たな解釈拡大の余地につながりかねないという指摘や、「改憲案が国民投票で否決されれば、安全保障法制の否定と言われてしまう」との声も上がりそうだ。

 21日に開かれた自民党の憲法改正推進本部の会合では、自衛隊の明記に賛成する意見の一方、2項との整合性を問う声も相次いだ。石破茂元幹事長は「自衛隊明記はあり得るが『軍とは何か』が問題の本質。きちんと答えを出すべきだ」と性急な議論をけん制した。

 保岡興治本部長は会合後、日本外国特派員協会で記者会見し、改憲の国会発議の時期について「来年の通常国会が終わるまでにできればベストだ」と初めて表明。「具体的な案として明確になれば国民は理解できる。『早く改憲を行ったらどうか』という空気が広がるのではないか」と期待感を示した。【小田中大、村尾哲】

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