こんにちは、ITPM の Johnです。
飲食店でのアルバイト経験がある方は分かると思うんですが、
飲食店から業者に飲み物・食材を発注するときってメールやFAXが多くないですか?
あれ面倒ですよね(笑)。
FAXだと毎日記入して業者に送らなければいけない。送った後もFAXした紙を保管しないといけないですし。また、複数の業者を利用していると、それぞれに異なる方法で発注するのが面倒。
こんな状況を、インターネットの力で簡単・便利にしてくれちゃうサービスが実はあるんですよ!
今回は、受発注が多い店舗・企業には嬉しいサービスを展開する株式会社ラクーンが、事業間取引に着目する背景と会社・チームのワークカルチャーに迫りました。
・「COREC」とは
・「COREC」チームメンバー
・ラクーンの規模感だからこそ出来ること
・若者に向けるメッセージ
・終わりに
(読了5分)
「COREC」とは、株式会社ラクーン(以下ラクーン)が提供する事業間取引における受注・発注を、ウェブ上で簡単に行えるシステムだ。
ラクーンは、“流通の複雑さ故の販売の難しさ” を変えるために、「流通革命」を謳って立ちがった企業であり、現在は「企業活動を効率化し便利にする」ビジョンの元、他にも、ファッション・雑貨業界のメーカーと小売店が利用する卸販売・仕入れサイト「SUPER DELIVERY」、事業間取引間に生じる与信管理から代金回収まですべてを代行するサービス「Paid」、事業間取引において取引先が万が一支払い不能になった場合にあらかじめ設定した保証金額を支払う売掛保障サービス「Trust & Growth」などのサービスを提供している。更なる “企業活動の効率化” を目指し、ローンチしたプロジェクトが「COREC」だ。
具体的に「COREC」で行えることは主に下記の2点である。
・「COREC」で事前に発注書を作成しクリックするだけで、FAXやメールでの自動発注
・受注側は「COREC」で注文フォームを作成することで、受注から出荷管理までをウェブ上で一元管理
本サービスには2種類のユーザーが存在し、雑貨ショップや飲食店・生地問屋・自動車整備工場などのバイヤー(発注者)、インテリア卸・文具メーカー・農家・珈琲豆屋などのサプライヤー(受注者)が取引に利用している。
ラクーン事業紹介ページより(クリックで拡大)
取締役COREC事業推進部長 阿部 智樹(Abe Tomoki)
2000年株式会社ラクーン入社。2006年には東証マザーズに上場。BtoB向けのマーケットプレイス「オンライン激安問屋」「SUPER DELIVERY」の責任者を経て、2014年クラウド受注・発注システム「COREC」を立ち上げ。2016年東証一部に市場変更。現在はEC事業管掌取締役として「SUPER DELIVERY」「COREC」の2事業に携わる。
阿部 我々が調査したところによると、いまだに70%以上、電話やFAX等のネット化されない方法で、事業間取引の受発注が行われているんです。一部、受発注がネット化されているところも大手を中心にあるのですが、サービスごとに規格が異なり利便性に欠けています。
結局、バイヤー(発注側)はサプライヤー(受注側)の事情に合わせて発注しなければいけない、バラバラかつアナログな状態が続いているのです。この規格を統一してデジタルな環境を提供することで、楽で便利な受発注を「COREC」で実現したいのです。
-サービス内での受発注は、どのように行われるのでしょうか?
阿部 バイヤーは、まず「COREC」で発注書を作ることができます。あらかじめ発注する商品を登録しておけば、「今日は2kg、3本」などと数量を入れて最後クリックするだけで、相手に合わせたFAXやメールなどの規格で自動で送ることができ、また、発注履歴も閲覧できるので、他のメンバーに共有したり、月の仕入れ額を簡単に確認したりもできます。これが発注機能としての「COREC」です。
「COREC」公式HPより(クリックで拡大)
阿部 サプライヤーは、今までと変わらずFAXやメールで受信できます。一般的なものと異なる点として、届く発注書に「COREC」のQRコードがついてて、ログインすると、発注書をCSVでダウンロードできることが挙げられます。受注機能としての「COREC」は、受注から出荷までの処理をウェブ上で簡単に行えることを目指していて、もしバイヤー、サプライヤーの両方が「COREC」を利用していれば、「COREC」内でのスムーズな受発注が可能です。
「COREC」公式HPより(クリックで拡大)
―「COREC」ではどのようなマーケティング戦略を取っていますか?
阿部 実は、「COREC」に広告費はほとんどかけていないんです。広告費も使わず、営業活動も行わずにユーザーを増やし続けるビジネスに挑戦するということを、ラクーンとして取り組んでいます。
-広告費をかけずにユーザー獲得を狙う戦術について伺ってもよろしいでしょうか?
阿部 バイヤーが「COREC」を利用して、送られる発注書に「COREC」の広告を載せさせてもらっています。例えば、FAXで届いた発注書の下部に、先ほどのCSVダウンロードができるQRコードなど、サプライヤーにとって便利な機能を紹介しています。サプライヤーには、それらを見て「COREC」の受注システムを知っていただくようにしています。
発注システムの導入はバイヤーの作業を変更するだけでサプライヤーに迷惑をかけないので、まず「COREC」の発注システムの認知を広げていくことで、「使ってみます!」と利用してくれる事業主を少しずつ増やしていきました。
バイヤーが「COREC」を利用してくれることで、サプライヤーにも知ってもらい、利用してもらえる。取引先と「COREC」同士で受発注をしてもらえれば、両者がデータで取引管理ができ、ウェブ上で完結できる。
だんだんと受発注者が「COREC」を利用するようになることで、いつの間にか「COREC」同士でデータ受発注を行えるようになる。そんな形を目指しています。
3月下旬で「COREC」のサービス開始から3年立ったのですが、会員企業数が1万社になりました。さきほど話した通り、バイヤーから徐々に増やしたので、サプライヤーがその数を追う形で、現状バイヤーが2/3、サプライヤーが1/3の割合になっています。
―「COREC」参画に至るまでを教えてください。
阿部 私は入社して17年になります。大学生のころは独立志向が強いタイプで、「就活なんてしねーぜ、さっさと独立するんだ」と思っていたのですが、経験が足りなかったので修行先として、小さなベンチャーを探していました。たまたま、大学の友達が当時ラクーンでアルバイトをしていて、私も呼ばれてアルバイトとして入りました。当初は、ちょっと働いてから独立しようと思っていました(笑)。何度か新規事業を任された後に、現在「COREC」を担当しています。
シニアエンジニア 技術戦略部 開発チームリーダー 渡邊 政則(Watanabe Masanori)
SIerを経て2013年株式会社ラクーン入社。入社半年後から新規事業のクラウド受注・発注システム「COREC」の開発リーダーとして参画。現在は「COREC」だけでなく「SUPER DELIVERY」や「T&G売掛保証」なども担当する。
渡邊 私はラクーンに入社して4年になります。それまでは、いわゆるSIerで受託開発を15年ほどしていました。技術的にできることも増えて、自社開発をしたいと思い転職活動を始めたところ、自社プロダクトを持っていて、かつ楽しそうなラクーンを知り、入社を決めました。
-ラクーン入社の決め手は何だったのでしょう?
渡邊 転職活動の当時はスマホゲーム業界が盛り上がっていた時期で、GreeやDeNA、LINEなどが台頭し始める時期でした。そういった若くて活気溢れる企業もいいとは思うのですが、個人的には、落ち着いて事業をじっくりと育てあげる会社を探し、ラクーンに入社して半年後、新規事業の「COREC」に配属となりました。
デザイン戦略部 増田 晃典(Masuda Akinori)
2008年株式会社ラクーン入社。2010年現在のデザイン戦略部の先駆けとなるウェブマスターチームに配属、主に「SUPER DELIVERY」のデザイン業務を担当。2014年デザインチームとして「COREC」立ち上げに携わる。
増田 私がラクーンに入ったのは2008年ですが、ちょっと変わったキャリアを歩んでいます。
現在はデザイナーとして在籍していますが、入社当時は「SUPER DELIVERY」の撮影チームがありまして、そこにアルバイトとして入りました。前職はエンターテイメント施設にある水槽の熱帯魚の飼育員で、デザイナーとは全く別の仕事をしていました(笑)。
会社にデザインの部署があると後から知り、異動をしてデザイン関連を担当するようになり、現在は「COREC」のデザイナーチームを任されています。
阿部 増田はデザイナーに転向する前に、『ポストカードコンテスト』で優勝しているんですよ。
-『ポストカードコンテスト』とは?
増田 ラクーン全体で、暑中見舞い用のポストカードを社員が作成して競い合うんです。自分の好きな写真をベースに作ったり、絵を書いて作成したりと自由に競えるコンテストが開催されているんです。
阿部 会社としては、いろんな能力を持っている社員を発掘したい思いがありこのようなイベントを開催しています。『ポストカードコンテスト』には多くのデザイナーが応募する中、デザイナーではなかった増田が優勝して、転向する機会となったので、とても良い結果になったと思います。
-『ポストカードコンテスト』の話が上がりましたが、他にも社内イベントは開催していますか?
阿部 多く開催しています。正月には書初め大会をしたり、ビジネスコンテストを開催したりと多岐にわたりますね。
増田 社内サークルもいくつかありますね。あ、『屋台王』もありますね!
-『屋台王』とは?
阿部 春の新入社員の歓迎会のときに部長たちが屋台を出して、社員をもてなしながら競い合うコンテストです。ちなみに私はサラダバーで去年優勝しました(笑)。
昨年の屋台王
-楽しいイベント事からフォーマルなビジコンまで幅広く行われていますね。
渡邊 最近ですと、『創造力鍛錬コンテスト』を開催しています。決められたお題から事業案や会社・チームの活性化アイディアを提出すると、上層部がそれを審査して、一位の人には賞金が贈られます。
-創造力鍛錬コンテストで何か実行されたアイディアはありますか?
渡邊 ”ランダムに選出された社員同士がランチにいく” というイベント案が出され、採用されました。
-つくり手にとって、自社開発プロダクトかどうかはやはり重要な要素でしょうか?
増田 プロダクトに対してのユーザーの反応は、自社のプロダクトを持っていないと知り得ないのです。例えば制作会社ですと、作って、納品して終わりということが多いのですが、自社開発プロダクトでは、そこで終わらない。自社プロダクトを持つということの意義はそこにあると思っています。
「COREC」に携わってもっともやりがいを感じたときは、ユーザーの反応が見れたときでした。つくって終わりではなく、フィードバックをもらい、更なる改善を考えていけるところに面白みがあります。
渡邊 プロダクトを自分たちで育てていける、というのはやりがいがあります。自社プロダクトだと、改善提案などのコミュニケーションをフラットに取りながら、企画・デザイン・開発とそれぞれで、裁量と責任を分担しながらつくり上げていくのが楽しいですね。
-「COREC」チームにおける意思決定プロセスはどのようなものでしょうか?
渡邊 大きく何かをやるというのは、やはり企画から始まりますね。ではそれを、どのように開発・デザインしていくのかは、部署間でフラットに議論しています。『COREC3』と社内で呼んでいる、各部署の「COREC」チームの代表者が集まる代表者会議があるんですが、そこで大きな合意を得て、細かな業務は各部署で担当するスタイルです。
-CORECチームは何名で構成されていますか?
阿部 企画部門、エンジニア部門、デザイン部門、各3、4名で構成しているので、10名ほどですね。
-プロジェクトチームの人数だけで言えば、スタートアップの規模感ですね。
阿部 ラクーンは会社としては小さくはないですが、「COREC」に携わっているチームメンバーにとっては、スタートアップでフルコミットで業務についている状態と、そんなに変わらないんですよ。
私が入社したとき、ラクーンは10人前後しかいませんでしたが、マザーズ上場、東証一部上場と、徐々に会社のステージが大きくなっていって、現在グループ合わせ130人ほど在籍する企業に成長しました。
やはり、ある程度バックボーンがしっかりしている企業になると、出来ることの幅が広がりますよね。事業を拡大するために人員補強したり、まとまった額の広告費を使ってみたりと。「COREC」のような新規事業の立ち上げも、土台がしっかりしている分、スタートしやすいかと思います。
渡邊 ラクーンは、大き過ぎず小さ過ぎず、丁度良い規模感だと思っています。ラクーンには、既に10年以上運営しているサービスがあります。そこに自分がアサインされて、周りから学習して力をつけて、新規プロジェクトの立ち上げに臨む。そんなシナリオを実現できる環境がラクーンにはあります。ラクーンでは人も事業も “育てる” 環境があるので、きちんとプロダクトを育てながら自分自身も育つことができると思います。
人も事業も育てるラクーン、新春書初め大会の様子。
-最後に、今後社会で活躍していきたい若者に向けて一言お願いします。
阿部 企画・ディレクションに携わる人には、少しでもコーディング・デザインの知識を付けるといいと思います。
例えば、プロダクトの「ここを変えなきゃいけない」に対し、「CSSを変えなきゃいけないのか、HTML、JSなのか」と基本的な切り分けが出来る状態にないとマネージャー職は務まらないと思っています。
独立志向の方には、特にこれが当てはまると思います。少人数で事業を始める時に、やはり技術を持っていないと出来ることが限られますから。仮に、そのまま事業をある程度成功させることとができても、それ以上のスケールはやはり難しいと思います。
プロダクト開発が出来るほどの技術とまでは言いませんが、少しでも知識を付けることが後々役に立つと思います。
渡邊 エンジニアとして、伝えたいことはシンプルです。“モノづくりが好き”な気持ちを持ち続けて欲しいです。
増田 デザイナーとしては二点あります。まず一点目は、渡邉が言うように、モノづくりが好きなことは、デザイナーにとても大事だということです。二つ目は、デザインは受け手次第で捉えられ方が変化する、わかりづらい分野だと意識することですね。
-受け手に解釈の余地があるのも、デザインの面白さなのでしょうか?
増田 そうですね。作ることが好きなのも、もちろん重要なのですが、サービスのデザイン設計となると、ユーザーを想像して設計しなければいけないですよね。そういったことも含め、自分以外の目線を持つことを意識して欲しいです。
私、John が学生時代最後にアルバイトしていた飲食店は、お昼から明け方まで空いているお店でした。それだけ、長い時間お店を開けていると、スタッフ間での欠品と発注の引き継ぎが、とても大変なんですよね(汗)。
阿部さん曰く、そのような場合は「COREC」で途中入力して保存し、最後お店を締める人が引き継いで発注するのがオススメだということで、近々、以前アルバイトしていた店に「COREC」を紹介しに行こうと思う。
母体がしっかりしているラクーンでの社内ベンチャー「COREC」。
現在、ラクーンでは様々な職種で採用募集している。手堅く事業を育てて行けて、かつベンチャー風なフラットな環境を上手く両立している職場環境で働きたい方にはぜひおすすめしたい。
株式会社ラクーン
株式会社ラクーンは「企業活動を効率化し、便利にする」を理念に掲げ、アパレルと雑貨の仕入れサイト「スーパーデリバリー」や受発注のクラウド一元管理サービス「COREC」を中心とするEC事業、BtoB後払い決済サービス「Paid」の決済事業、企業間取引での売掛金を保証する「T&G保証」の保証事業など企業間取引に特化した事業を展開しています。