文部科学省は21日、2020年度以降に導入される小中学校の学習指導要領の狙いを説明する「解説」を公表した。中学校公民では、憲法が国家権力のあり方を定めて国民の人権を守る「立憲主義」の考え方とともに、憲法改正の国民投票の手続きが法律で定められていることについて教えることを初めて明記した。

 解説は指導要領の内容を詳しく説明するもの。学校現場での授業や、教科書編集のために参照されるが、指導要領そのものと違って法的拘束力はない。

 小学校の社会では、行政の予算が国民の税金で成り立つことや裁判員制度などを教え、「政治への関わりについて自分の考えをまとめる」ことを求めている。また、領土については小中とも、竹島や北方領土、尖閣諸島が日本固有の領土であり、日本の立場が「歴史的にも国際法上も正当」だと教えるよう明記した。

 少子高齢化や情報化を踏まえ、中学校公民では、新たな発想に基づいて価値を創造するため「起業の必要性」にも触れている。違法な長時間労働や賃金不払いなどが深刻化するなか、「労働保護立法などに触れる」ことも求めた。18歳選挙権が認められた点を踏まえ、政治に参加する自覚を養うことも求めた。(根岸拓朗)