特集
2017年6月22日
藤村忠寿ディレクターと、変なことばかりしてる人たち。
大泉洋という人気タレントを世に知らしめた伝説の北海道ローカル番組「水曜どうでしょう」。
その番組内で、本来は裏方にもかかわらず冴え渡るツッコミをいれ多くの笑いを生み出してきた藤村ディレクターが、またまたデイリーポータルにやってきくれた! 今回も「1ミリの役にも立たねえ」とお叱りを受けるのか? それとも「その発想はなかった」と唸らせる事ができるのか? ドキドキのレポートをお送りします。 2016年12月に行われたイベントレポートはこちら 前の記事:「名鉄のナナちゃん人形の股を覗いてはいけない〜地元の人頼りの旅 in 名古屋〜」 人気記事:「「コーラと同じ量の砂糖が入った水は飲めたもんじゃない」は本当か」 > 個人サイト twitter 今回も満員御礼。緊張がはしる楽屋2017年5月27日(土)。藤村Dと我らがデイリーポータルZライター達によるトークイベント第二弾が東京カルチャーカルチャーで行われた。
今回も前回同様に、ライターのイチオシ記事を見てもらい、藤村Dに忌憚のない意見を聞くのが主旨である。 なお、ライター勢は前回とは違った面々。開始の2時間前には集合し、緊張感が楽屋を覆っていた。 緊張感ただよう楽屋。(この写真しかなかったけど本当に緊張してました)
かたや緊張を知らない藤村Dは30分ほど前に楽屋入り。2分ほど打合せした後、世間話をしていたらイベントの開始時刻がやってきた。
歓声と共に入ってきた藤村D。ピンク色がWebマスター林さん、手前が編集部の古賀さん。
新鮮な気持ちで憤りを伝えたい藤村D:前回のイベントの時はさ、デイリーをまあちょこちょこ見てたし、見たことがある記事もいくつかあったの。だけど今回はそれ絶対やめようと思ってさ。あれ以来あなたのサイトを一切見てません!
林:えっ! なんで見なくなっちゃうんですか! 藤村D:(量が多くて)うっとうしいし、これを機会に初見で見てみたいと思って。 古賀:新鮮な気持ちで叱ろうと? 藤村D:叱るわけじゃなくて、基本的には「どういうおつもりですか?」というのを問いただしたいわけ。初見で見て、新鮮な驚きを伝えようじゃないかと。ここにいる暇人の皆さんは記事読んでるだろうから分かると思うけど、あの、初めて見た時に感じる「あー…俺はなんて無駄な時間を過ごしちゃったんだろう」という気持ち。あの時の憤りを伝えたい。でも、たまにはあるからね、いいやつが。 我々への不満をホカホカの状態で伝えたいという藤村D。ありがたい、のか?
最初の登壇者は岩沢兄弟。岩沢兄弟といえば巨大ガチャ。
岩沢兄弟は、自分のいらないものと引き換えに他人のいらないものが貰える「巨大ガチャ」や、ニフティの社長を飛ばした「人間大砲」といった大作をいくつも作っている。
「欲望の永久機関 巨大いらないものガチャ」 「人間大砲のやりかた」 彼らはライターではないが、アバウトな注文でもきいてくれるとあって編集部に重宝されている。今回はその舞台裏を見せてくれた。 林: 「こんな感じの作って〜」、と言うとすぐ作ってくれるんですよ。しかも低予算内で。
岩沢(兄):林さんから巨大ガチャの発注来たときは、ガチャガチャのイラストの横に「3m」って書かれてるだけで。それ見て3mの作らなきゃいけないのかあ、、と。 藤村D:こだわりがそこだけだったんだろうね。3mという大きさがね。 無茶振りがのび太レベルである。林さんの頭の中には「デカい=面白い」という確立した構図があるらしい。
藤村Dの後ろにある、仮装大賞に出てきそうな「得点表示タワー」も岩沢兄弟作。でかい。
技術のつかいどころ間違ってるって!藤村D:これは欽ちゃんがやってるやつだ、すごい!
岩沢(弟):イケアのプラケースとデコトラの装飾に使う電球で作りました。でも、光る装置は自分たちでは作れないので、知人に「オリンピックのクライミング競技で使うタイマー装置の余ったやつ」を借りまして。NHKのBSで放送されているのと同じ装置使ってるんですよコレ。 低予算のため、技術を知恵と人脈でカバーした作品である。「ほー」と感心し、操作性をチェックする藤村D。レバーをあげるとピロピロ鳴りながら光が上がっていくが、同じ所に留めておく機能はない。逆に得点を下げることは可能。
藤村D:得点が下がるというのは仮装大賞でもないですよ! 留められないのが難点だけれども・・・。でも、この銀紙貼って、手作り感あふれるレバーがまたいいじゃないですか。これ、なにで作ってるの?
岩沢(弟):3Dプリンタです。 藤村D:なんでそこにハイテクつかってんだよ! これこそ何でもいいじゃねえか。 操作する人しか見えないレバーはこだわりの3Dプリンタ製。技術使うところ完全に間違ってる、とお叱りを受ける。
「な〜るほど〜!!」と唸りまくり「つま楊枝 トマトプリッツ ゆであずき」というレシート川柳。「これはアカデミック!」と興奮して得点を一気にあげる藤村D。
藤村Dのあの野太い声で、噛みしめるように読みあげられるレシート川柳。あまりにも心にしみたのか、「うおぁー」と感心のため息をもらす。すごいぞ住さん!
住:これ、レジで一個ずつ渡さないとダメなんです。順番が大事なのでね。レジに頼むときに「ちょっと川柳を詠んでおりますので、この順番で」と言う。そうすると中国人の店員さんがこのとおりに打ってくれます。
藤村D:狙いにいってるんだね! これはすごい! なるほどぉ! 他にも、5・7・5に合わせ合計575円を狙っていることや、コンビニのなかでも短く表記されるファミマが良い、といったポイントを紹介すると「すごい」「なるほど」を連発。ご機嫌最高潮である。
調子に乗ってきた住さん。ファミマが川柳を作りやすいことをアピール。
「ボロネーゼ きのこ三昧 ピスタチオ」。なんと季語も入れてきている事でさらに得点アップ。藤村D「うまいっ!!」と声も大きくなり、観客から今日一番の拍手が湧き上がる
絶賛されまくりの住さん。ホクホク顔で得意げな口調になってきた。しかし次の川柳で反省点を突かれてしまう。
「イカフライ うま塩あられ いもけんぴ」。藤村D「なんで同じパッケージにしちゃったかな。ラクしちゃだめ」と急に反省会モード。住さん「おれ何でこれスライドに入れてきちゃったんだろ」
藤村D:やっぱりね、「コレとコレとコレ、買います?」というのが面白いと思うの。この3品を選んだ、その人の今の生活っていうのがこう、垣間見えるみたいなね。
住:ちょっと何言ってるか分からないです。……ああ! 買ったものでね。そうですよね! 藤村D:たとえばこれはもう、ニートで金がない奴でしょ。さっきのピスタチオとボロネーゼを買ってる人とは詠んでる人の年齢層が違うよね。でも、うん、これはいい。電車の中で記事読んでるサラリーマンもこれは良し、と思うとおもう。できたら575円の出してほしかったなあ。 住:もし出たらレシートお送りしますね。 選ばれた3品からその川柳を詠んだ人の背景が浮かび上がるという楽しみを見つける藤村D。書いてる当人さえ気づかなかった新たな視点を教えてくれるとは、さすがである。
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