まず今日、自分に勝つこと 「池田大作全集(92)」


 さて、この対談(『二十一世紀への対話』)でトインビー博士が強調されていたことは何か。
 その一つは「自己超克」ということであった。わかりやすく言えば、「自分に勝つ」ということである。利己主義に支配された小さな自分を乗り越え、人々の幸福のために尽くしゆく、大いなる自分を開くことである。
 人類の危機を転換していくためにも、この「自己超克」が不可欠であるというのが、二十世紀最大の歴史家であるトインビー博士の洞察であった。それは、まさに「人間革命」を意味しているといってよい。
 博士は、「この自己を超克する戦いは、一人一人の人間の行動のなかにあるのです」と言われていた。それぞれが「自分に勝つ」ことが、結局、大きな社会の発展につながり、やがて、人類の歴史をも動かしていく。
 二十一世紀の新しい舞台で、勝ちぬいていくために、何が大事か。その勝負も、まずきょう、自分に勝つこと。きょう、自分を革命していくことから始まると銘記したい。
 信仰は、無限の力の源泉である。宗教は「文化の大地」である。「生きる力」「成長する力」「勝利する力」「宿命を打開する力」がわいてくる。「幸福になる源泉」が妙法なのである。
 人間を手段にするのでなく、人間が雄々しく立ち上がり、自身に勝利し、皆と喜びを分かちあっていくのが仏法なのである。
 その正道を歩んでいるのは創価学会しかない。科学の発展も大事である。経済も、政治も、教育も当然、大事である。しかし、もっとも大事な根本は何か。
 それは生命である。生命の変戟こそが一切の土台となる。それを教えたのが釈尊であり、日蓮大聖人であられる。
 大聖人は、宇宙と生命を貫く法則を解き明かし、皆が幸福に、平和に、慈愛に満ちて生きていける道を残してくださった。
 尊極の大法が妙法であり、それを持つ皆さまは「世界の宝」の人である。
 仏法の因果は厳しい。ゆえに、妙法に生きぬく人は、生々世々、健康で、美しく、裕福で、立派なリーダーとして、社会に貢献し、人々に賛嘆されながら、大満足の人生を楽しんでいけることを、どうか確信していただきたい。