近年、「SEO」に変わる概念として提唱され始め、徐々に熱を帯び始めた「SXO」。
本記事では、「SXO」とはどういうものなのか、なぜ提唱され始めたのか、具体的にはどういったことを行えばいいのか、という疑問にポイントを絞って答えていきます。
SXOとは?
「SXO」とは“Search Experience Optimization“の略で、検索”体験“の最適化という新しい概念です。「SEO(Search Engine Optimization)」検索”エンジン最適化の上位概念として提唱されています。
従来、「SEO」では検索エンジン、つまりGoogleのアルゴリズムにいかに評価されるか、というアルゴリズムに重きを置いた施策が行われてきました。対して、「SXO」は、アルゴリズムからの評価はもちろん、ユーザーの”検索体験”に重きを置いた施策が重要であるという考えです。
本来、ユーザーが検索する際には何らかの”意図”や”思い”があり、Webサイトはその”意図”や”思い”にきちんと答える必要があります。この考え方は、「全てのユーザーに最適な答えを届ける」というGoogleの考えに一致しています。
クローラーにいかに評価されるかではなく、ユーザーにいかに満足してもらうか。キーワードの奥にある、ユーザーが検索してきた”意図”や”思い”にぴったり沿うようなWebサイト構築をしようという考え方が「SXO」、すなわち検索”体験”最適化です。
SXOが提唱され始めた背景
一番の理由は、Googleのアルゴリズムが日々進化しているからです。
「RankBrain(ランクブレイン)」という機械学習するAIがアルゴリズムに組み込まれるなど、Googleがこれまでの技術では評価できなかった部分まで評価できるようになりました。
「全てのユーザーに最適な答えを届ける」というGoogleの考えに基づき、Googleのアルゴリズムは日々進化しているのです。今後、機械学習が洗練されていくことで、Googleが捉えるユーザーの検索”意図”の理解がより的確かつ正確になっていくことが予想されます。
SXOにおける3つの視点
「SXO」を考える際に、大切な3つの視点、それが「U-R-A」です。Usability、Relevance、Authorityの頭文字から構成されます。
01. Usability(ユーザビリティ)
一言でいうと、サイトの使いやすさです。
いくら優れた内容が記載されていても、導線が悪かったり、読み込みスピードが遅かったり、モバイル対応がされていなかったりした場合、多くのユーザーの不満に繋がります。サイト上での体験の基盤として、サイトの使いやすさに留意する必要があります。
以下のような視点から、改善を行うと良いでしょう。
- 速度:ページの読み込みスピードは遅くないか
- デバイス:モバイル対応はしているか
- 導線:ユーザーが途中で行き詰まる設計になっていないか
- 読みやすさ:フォントや、デザインは整っているか
02. Relevance(レリバンス/適合性)
一言で言うと、ユーザーのニーズとのマッチングです。
ユーザーのニーズに適した内容がコンテンツに盛り込まれているか。非常に重要な要素です。
検索クエリをただなぞるだけのコンテンツではなく、その先にいるユーザーの”意図”や”思い”にマッチしたコンテンツを作成する必要があります。
以下のような視点から、改善を行うと良いでしょう。
- 検索意図 / ニーズは何か
- その検索意図 / ニーズに合うコンテンツとなっているか
03. Authority(オーソリティ)
サイトの権威、つまり信憑性や影響度を指します。サイト内の情報、コンテンツが信頼に値するものなのか、という視点です。
参照元(リンク)の量と質が高かったり、情報元が業界の重鎮や専門家であったり、SNSでの反響が大きかったりした場合、そのサイトはそのトピックにおける有力なサイトとして位置づけられていることでしょう。
信憑性と付加価値の高い情報を、SNSなども活用しながら、露出を増やしていくことが重要です。
以下のような視点から、改善を行うと良いでしょう。
- 同じトピックのWebサイトから数多くのリンクを集められているか
- SNSなどソーシャルの反響(ソーシャルシグナル)はあるか(※1)
- 専門家監修など情報元に信憑性や権威はあるか
※ソーシャルシグナルとは、FacebookやTwitterなど、ソーシャルメディアにおける人気度のことです。「いいね!」や「リツイート」が有名な指標です。
これら3つの視点が「SXO」を実現させる上で注目すべき視点になると考えられています。
SXO実現の3つのステップ
では、SXOを実現させるにはどのように進めていけば良いのでしょうか?ここではSXOを実現させるためのステップを紹介していきます。
01. ニーズの抽出
まずは、貴社のビジネスと関連の深いターゲットのニーズを抽出しましょう。抽出方法として大きく2つのパターンが考えられます。
類似/関連キーワードから
Googleキーワードプランナーや、サジェストキーワードからターゲットユーザーに関連するキーワードをリストアップし、類似/関連するキーワードを、検索数や方向性で分類します。下記のような方向性でキーワードを分類してみるのがおすすめです。
- Transactinal(取引型)クエリ(Doクエリ):何か買いたいものがある
- Informational(情報型)クエリ(Know):何か知りたいことがある
- Navigational(案内型)クエリ(Goクエリ):どこか行きたいサイトがある
上位表示されている他サイトから
上位表示が既に実現している競合サイトから着想を得る方法です。上位表示されている競合サイトにある情報を分析することで、対象キーワードの検索意図が何かを分析します。下記の点に注視して競合コンテンツを見てみましょう。
- カテゴリ:どんな方向性の情報が書かれているか
- 深さ:情報の内容はどれくらい専門的なものか、もしくは表面的なものか
このようなニーズ分析をもとに、ターゲットユーザーが何をきっかけに、どんなことに興味を持ち、検索後どうありたいのか、を考えることで、検索意図(インテント)が見えてきます。
検索意図(インテント)を解決するコンテンツを作ることが、2つ目のポイントであるRelevance(レリバンス/適合性)に大きく影響します。
02. シナリオ作成
オンライン行動モデル「AISAS」(※)という行動モデルに沿ってユーザーのシナリオを作ってみましょう。
先程抽出したニーズ・キーワードをAISASのモデルに当て込み、ユーザーが検索行動を起こす前の興味関心を分析し、仮説立てて進めていきます。また、ユーザーの行動の意図に沿うようにWebサイト内のコンテンツを設計していくことも重要なポイントです。
※AISASとは
1995年、電通によって提唱されたAIDMAの発展型購買行動プロセス。Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(購買)→ Share(情報共有) の頭文字を取ったもので、インターネット普及後の時代の消費者による購買行動を説明するモデル。
肌荒れに効く化粧品を検索するユーザーをこのAISASのモデルに当てはめてみると、以下のような動きが想定されます。
化粧品の潜在層として、「乾燥 季節」を調べるユーザーが一つとしてあげられるでしょう。乾燥による肌荒れの悪化に気づいたユーザーは、肌荒れの対策方法へと興味が移っていきます。
具体的な症状とのかけ合わせやおすすめの化粧水を調べるという段階を経て、最終的には商品名での検索し購入というアクションに移るかもしれません。
上記例はあくまで一例ですが、「化粧水 おすすめ」のような顕在ニーズだけでなく、「肌荒れ 対策」のような潜在ニーズまで踏まえて、ニーズ・キーワードをシナリオに落とし込んでいくことが重要です。
03. コンテンツの作成
作成したシナリオを元に、ユーザーのニーズに最適なコンテンツを作成しましょう。この際、洗い出したユーザーのニーズに対する答えとなるコンテンツが、Googleの提唱するE-A-Tの考え方に沿っているかどうかに気をつけましょう。
E-A-Tとは?
- 専門性(Expertise):深い知見や最新の情報が盛り込まれているか
- 権威性(Authoritativeness):業界において権威のある著者であるか、もしくは実体験を元にした記事であるか
- 信頼性(TrustWorthiness):ユーザーの課題を解決できる信頼に足る専門的なコンテンツであるか
先程の化粧品を探しているユーザーのAISASモデルに当てはめてコンテンツを検討する場合下記表の検索意図(インテント)の部分のように、ユーザーが検索に移るまでの心理変容を意識しながらコンテンツを作成していきます。
ただただコンテンツ(記事)を追加していけば良い。というちょっと前のコンテンツSEOの考え方ではなく、その時折のユーザーの検索意図や心理変容を考えることで、ユーザーにより適切なコンテンツを作成していくことが重要です。
まとめ
「SXO」“Search Experience Optimization“は、「全てのユーザーに最適な答えを届ける」というGoogleの考えに沿ったWebサイトを構築すること。
とことんユーザーの立場に立ってサイトやサイト内のコンテンツを作成していくこと、サイトを運営していくことが重要であるということです。ユーザーの目線になり、快適で、ためになるサイトを目指していきましょう。それが、ユーザーと貴社の関係をより強固にしていきます。
この機会に、「SXO」の視点から、改めて自社サイトを見直してみてはいかがでしょうか?