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【社会】

<「共謀罪」論戦検証>(6)公明党 「丁寧な説明」どこへ

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 公明党の山口那津男代表は「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法が成立した十五日の記者会見で「与党も丁寧に説明する努力をしていく」と語った。

 公明党は審議当初から「丁寧な説明」を繰り返してきた。「共謀罪」法案が過去三度、世論の反発で廃案になったことや、今回も反対が少なくないことを理解していたからだ。成立後の共同通信社の世論調査でも、八割以上が「政府が十分説明していると思わない」と答えている。誰が何をしたら処罰対象になるかの疑問は、今も消えない。

 公明党は身内からの批判も意識していた。支持母体の創価学会の初代会長は戦時中、「国体を否定する事項を流布する目的の結社を組織した者」を罰する治安維持法違反で逮捕され獄中死した。支持者には「共謀罪」法を治安維持法に重ね、「内心の自由を侵す法律に反対だ」との声もある。

 二十三日告示の東京都議選も念頭にある。与党は「共謀罪」法を、参院法務委員会での採決を省略する「中間報告」という異例の手法で成立させた。公明党の漆原良夫中央幹事会会長は成立直後、「都議選で都民にどう映るか」と懸念を漏らし「現場でできるだけ詳しく説明する」と語った。

 山口氏は成立後、初の日曜となった十八日、東京都荒川区の日暮里駅前で都議選応援に立った。十五分以上マイクを握ったが「共謀罪」法には一切触れなかった。異例の手法について、漆原氏は都議選が近づいた今、「与党の手続きに瑕疵(かし)はなかった」と語る。

 「丁寧な説明」はどうなったのか。党関係者は、山口氏が支持者向けの集会で説明をしているというが、内向きになってはいまいか。正当性を主張するのなら、国民への「丁寧な説明」を期待したい。 (山口哲人)

 

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