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人生で一番大事なスキル「自制心」を鍛える方法

人生で一番大事なスキル「自制心」を鍛える方法
Photo by Gettyimages.

zen habits:人生これからという人も、誰にとっても、伸ばした方がいい一番大事なスキルの1つは自制心です。

自制心は超能力のようなものです。自制心を鍛えたお陰で、運動を始めたり、健康的な食事をしたり、瞑想をしたり、今まで以上に執筆ができたり、煙草をやめたり、マラソンを走ったり、ブログや本を書いたり、本をたくさん読んだり、仕事が早くなったり、整理整頓できたり、経済状況を変えたりすることができました。完璧にはほど遠いですが、たくさんのことを学ぶことができました。

しかし、自制心を鍛えていないと、健康に問題が出たり、集中できなかったり、先延ばしにしたり、経済的な問題がうまれたり、整理整頓ができなかったり、色々なことが山積みになったり、それに参ってしまったり、たくさんの問題が起こります。

このように、自制心というのは鍛えた方がいい大事なスキルですが、ほとんどの人はどのように鍛えればいいのかわかっていません。今回は自制心を鍛える方法をお教えしましょう。これは自分の子どもにむけて書いたものですが、自制心を鍛えたいすべての人に送ります。

1. まずは自分を鍛える気になろう

最初の疑問は、「どのようにして自制心を鍛えようという気に(自分を)させるか?」ということです。ほとんどの人は、自分に自制心が欠けていることなど考えたくもないでしょう。ましてやそのために行動を起こしたりしません。

私の場合は、自分の仕事がうまくいかなかったことに気付き、やる気が出ました。その問題を無視していたら、事態は悪化する一方です。自制しようとしてもうまくいかないと、自分がダメ人間のような気分になるだけでした。まったく自制できないとかなり苦痛でした。

自分に苦痛を与えているのが自分だと気付いたら、自分を傷つけるのは心からやめようとします。「自分の人生が悪い方向に行くのはしょうがないとしても、少しでもマシにしよう」と自分に言い聞かせましょう。

このことを念頭に置いて、以下のことをやると心に決めましょう。

  • 少しでも物事がマシになるような小さな行動から始める。
  • 自分をできるだけ傷つけないことをする。
  • 苦手なことを少しだけがんばる。それを繰り返すと徐々に上手くなっていく。
  • 何かしらの練習をして自制心を鍛える。

練習をする時もこのことを頭に置いて、練習したくないという衝動に駆られた時や、失敗してあきらめたくなった時に思い出しましょう。

他にも次のようなことでもやる気になります。

  1. 他人を助ける:例えば、運動や健康的な食事をうまく続けられるようになったら、それと同じことを続けなければならない、年老いた両親を助けることができます。ライフワークを先延ばしにしなくなったら、その有意義な仕事でもっと多くの人を助けることができます。あとは後述の「他人を助ける」の項目に詳しく書きますので、そちらを見てください。
  2. 人生に感謝する:この世に生きている時間は短いです。人生はギフトです。先延ばしをして、色々なことに気を取られていてはきりがありません。自分の時間を最大限に活用しなければ、与えられたギフトに十分感謝していることにはなりません。今を生きて、感謝して、自分の時間を有意義に使うことで、人生に感謝することができます。

自分が行動に移そうという気になるものであればどんなものでもいいので、やる気を出せば、練習を始めることができます。

2. 小さな行動を起こす

自制心を鍛えるためにできる一番大事なことは、小さな行動を起こすことです。大きなことや怖気づくようなプロジェクトは気持ちが圧倒されてしまうので、やめてください。それよりも、簡単なことや、できないと言えないような小さなことから始めましょう。

やらなければいけないことがあるなら、5分だけやります。走りたいと思っているなら、10分だけ走ります。仕事のレポートを書かなければならないなら、最初の数行だけ書きます。整理整頓がしたいなら、物を5つだけ片付けます。小さなことに集中すれば、自制心が鍛えられていくので、大きな仕事やプロジェクトは小さなことに分解しましょう。

3. 苦手なことをやる

自制心が持てない理由の1つは、大変で苦手なことから逃げているからです。人間誰しも、簡単なこと、得意なこと、慣れていることをやります。だから、大変な苦手な仕事に向き合わずに、気晴らしやテレビゲームに逃げてしまうのです。苦手なことから逃げていると、人生が台無しになります。

ランニングをやると自分に言い聞かせます。苦手なことをがんばろうとすると、ほんの少しだけ居心地の悪い状態に慣れます。これも超能力のようなものです。他の人が走っても大丈夫です。(いつも楽しいとは限りませんが)

一度に小さなことを1つ、苦手なことをがんばってみましょう。どのように感じるかわかります。世界の終わりではないことがわかります。苦手なことに取り組むだけでも十分すごいことだとわかります。それだけでも十分価値があります。

4. 一生懸命やっていることを衝動的にやめてはいけない

一生懸命やっていたことをやめたくなったり、ひとまず離れたくなる衝動に駆られることがあります。このような衝動はろくなことがありません。従う必要はないと理解しましょう。

このような衝動に対処する良い方法は、特定のこと以外のことをやらない時間を決めることです。例えば、これから10分間は本の執筆(もしくは運動、瞑想など)以外はやらないと決める、というようなことです。先延ばしにしたり、別のことがしたい衝動に駆られても、本の執筆をする以外のことはできないので、迷うことがありません。そのような衝動に駆られたら、衝動に従うことはできないのだと自分に言い聞かせ、本の執筆か、じっと座る(もしくは何もしない)しかありません。

作家のレイモンド・チャンドラーの執筆スタイルはシンプルでした。「書くか、何もしないか。これが効果があるとわかりました。とてもシンプルな2つのルールです。書く必要はないが、それ以外のことは何もしない」。

特定のひとつのこと以外は何もしない時間を設けるのが効果的な理由は、逃げ出したいという衝動がわかるからです。いかにして衝動に気をつけるかを学ぶのに、このルールを使い、衝動に従う必要はないのだと知りましょう。

5. “インターバル・トレーニング”をする

上記の行動を組み合わせたシステムをつくる、もしくは間隔をあけてやる、“インターバル・トレーニング”で自分を鍛えることができます。

  1. 自制心を鍛えるという意志を持ち、自分をこれ以上傷つけない。
  2. 何か集中してやること(文章を書く、絵を描く、筋トレをする、瞑想をするなど)を決める。
  3. 10分間のタイマーをセットする。10分が長い場合は5分でもいい。10分間できるようになるまでは時間を延ばさず、できるようになってから12分、15分と延ばす。うまくできていても15〜20分まで延ばす必要はない。
  4. じっと座って、自分の衝動と向き合う以外は何もしない、もしくは苦手なことをがんばってやる。
  5. 時間がきたら、5分間休憩する。
  6. 以上を繰り返す

このインターバルを何度か繰り返すか、もしくはできることなら1〜2時間繰り返してトレーニングしましょう。それから長めの休憩を取って、その後でもう一度インターバル・トレーニングをやります。この手のインターバル・トレーニングは素晴らしいものです。そこまで大変ではないので、苦手なことをやったり、衝動を観察したりして、多くのことができるようになります。

6. 他人を助ける

行き詰まっていると感じたら、やる気やモチベーションをもっと掘り下げて考えてみましょう。仕事や運動や瞑想などを、自分のためだけでなく、他人のためにやるのです。例えばこういうことです。

  • この記事は、子どもや他にも必要とする人の手助けになるように書いている。
  • 自分が健康になるためだけでなく、子どもや他の人の手本となるためにも運動をしている。
  • 自分の心の平穏や精神衛生のためだけでなく、他の人の心の平穏と精神衛生を保つ手助けができるよう、瞑想をしている。
  • 他人を感動させたり、励ましたりするために文章を書いたり、絵を描いたり、音楽を演奏している。

どの例も、それをすることで、自分だけでなく他人にもメリットがあります。他人にメリットがあるというのは、自分のためだけに何かをするよりも、はるかにやる気が出ます。他人のために苦手なことや難しい仕事をやってみてください。あらかじめ、その人のためにこれをやると伝え、自分だけでなく相手にもそのことを心に留めてもらいましょう。よりやる気が出るのがわかるはずです。

7. 挑戦し続ける:成功も失敗も、成功である

多くの人が犯している大きな失敗は、失敗のせいでやる気が失せたり、台無しにしたりすることです。失敗して嫌な気分になり、あきらめて、自制心について考えたくなくなります。

失敗というのは、実際には成功でもあります。失敗したということは、挑戦したということです。それだけでも成功です。

また、失敗から学ぶこともあります。やったことがうまくいかなかったこともわかりました。次回は、少し違うやり方でやってみることができます。説明責任をもっと足したり、別のタイミングでやってみたり、ワイヤレスのルーターを抜いたり、運動を一緒にするパートナーを見つけたり、何でもいいです。失敗のお陰で、新しい情報を手に入れたのです。失敗から学ぶことで、もっとうまくなることができます。

失敗は成功の母です。成功ももちろん成功です。結果はどうあれ、学び、成長し、上達する機会だと理解しましょう。これで完璧だという考えは捨て、ただ挑戦し続けてください。

どんなことでもいいので、次回何かに挑戦して失敗したら、やる気を無くすのではなく、その失敗を成功だと考えてください。どんなことでもいいので、続けてください。あきらめると自分がもっと傷つくからです。

8. 助けてもらう

あなたは1人ではありません。家族、友だち、オンライン上の知らない人など、助けてくれる人がいます。身の回りの人に助けを求めましょう。

自制心に欠けているのが恥ずかしいという理由で、助けを求めない人は多いです。そんな行動はきまりが悪いと感じているのです。というより、実際には、自制心が欠けているという恥ずかしい一面を見せるのをためらっているだけです。しかし、自分のダメな一面を人に見せると、その人はあなたのことがもっと好きになり、もっと信用し、もっと親密に感じます。ですから、弱味を見せて人とつながることを恐れないでください。

勇気を出して助けを求めましょう。そうすれば、苦手なことをがんばってやったり、自分を傷つけないようにすることが楽になります。

A Guide to Developing the Self-Discipline Habit|zen habits

Leo Babauta(訳:的野裕子)

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