障害児を育てる親が自ら、障害児を預かる施設を立ち上げるケースが相次いでいる。重症心身障害児や、日常的に医療的ケアが必要な「医療的ケア児」向けの施設は全国で大幅に不足。「なければつくればいい」という発想だが、行政にも対応を促す取り組みとなっている。
■2児の母で看護師、施設を開所
茨城県ひたちなか市のビルにある多機能型重症児デイサービス「kokoro」。医療的ケアが必要な子どもたちがスタッフとプラスチック製ボールが入ったプールで遊んでいた。
施設を運営する社団法人の代表理事を務める紺野昌代さん(39)は、長女の蘭愛(れな)さん(13)と次男の愛聖(まなと)くん(10)が原因不明の難病で寝たきり。胃ろうから栄養を取り、夜間は人工呼吸器が必要だ。
県内には子どもたちを預けられる施設が少なく、あってもベッドに寝かせきりになることも。子どもたちを義母に預けて小児専門の病院で看護師として働いてきたが、預けられなくなり、昨秋に「子どもたちの居場所をつくる」と決意。3月にオープンさせた。
定員は5人。元同僚の看護師や機能訓練担当などのスタッフが、胃ろうから栄養を与え、リハビリにあたる。「私も殻に閉じこもった時期があった。母親にはもっと外に出てもらい、生き生きとした姿を子どもたちにみせてあげたい」
オープン前日は同じ障害があり、3年前に亡くなった長男の聖矢さんの命日だった。紺野さんはSNSでつぶやいた。「ママは聖矢にとって、自慢できるママでいられているだろうか」
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