2017年6月21日15時37分
■小野善康・大阪大特任教授
景気が悪化すると、経済活動を刺激するために、政府が財政支出を増やす。論拠は「乗数効果」だ。
政府が一時金や公共事業でお金を支出すれば、お金を受け取った人々は、お店に行って物を買う。お店の所得も増えるから、今度はお店の人が新たに物を買う。この繰り返しが経済全体に広がることで、当初の政府の支出をはるかに超えた規模で支出が増え、景気が刺激される――という理屈だ。
だが、論理は単純なのに、しばしば誤解される。
一つは、当初の支出先をどの分…
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