「オフィスで働くのが苦手な人」に向いている職業11選
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働くのは好きだけど、オフィスで働くのは嫌だという人はたくさんいます。オフィスで働くとなると、窮屈な服装をして、1日中屋内にいることになり、ウォータークーラーの周りで無理に社交的に振る舞わなければならないからです。私もそういうことに耐えらないタイプです。週末や祭日以外は毎日そういうことを強いられると思うと、人生の墓場みたいな気がします。
幸いにして、私は今までのところ、オフィスに出勤しなくてもよい分野で生計を立ててきました。そして、最近の若い人には、このように働く場所を柔軟に選ぶスタイルがさらに身近になっています。「リモートワークや非正規雇用の労働市場が好まれるようになってきており、特に都市部の教育の高いミレニアム世代には、その傾向が顕著です。そして、経済の進化はまずそういうところから始まるものです。」とジョージタウン大学教育労働力センターのシニアリサーチアナリスト、Andrew Hanson氏は言います。
そこで、デスクに縛られたくない人にはどんな分野の仕事が向いているのか、考えてみました。
シカゴを本拠地としてキャリアコーチングを提供するJody Michael Associatesでキャリアカウンセラーを務めるAnna Bray氏によれば、その答えはオフィスで働きたくない理由によって大きく異なります。チームワークは好きでも、PCが苦手だからでしょうか。通勤が辛いからでしょうか。それとも、1日中蛍光灯の下にいるのが嫌いだからでしょうか。Bray氏いわく、「デスクに縛られたくないという人もいれば、屋外で仕事をしたいとか、少なくとも仕事に何らかのアウトドア的要素が欲しいという人もいます。」
Bray氏は、人々が仕事のある日はどのような1日を過ごしているのか、何を避けようとしているのか、といったことの核心を引き出そうとしています。ときには、クライアントが存在すら知らなかったキャリアの道に巡り合い、Bray氏と一緒に嬉しい驚きを分かち合うこともあります。これからご紹介するのは、米労働統計局の「アウトドアの仕事」と「肉体労働一般」のレイティングとAndrew Hanson氏の考察から抜粋したことです。キャリアの方向転換を考えている人は、参考にしてください。あと、米労働統計局の雇用見通しも付け加えましたが、これはあまり当てにならないので、話半分に読んでください。なにしろ、「俳優」という職業があらゆる職業の平均成長率より10%も高いと予測されていますが、私は子供に「堅実なキャリアだから演劇界に入れ」と勧めることはできません。
1. 園芸、用地整備、苗床、温室管理
労働統計局によれば、苗床業と温室管理業は「明るい展望」があり、仕事の96%は屋外でする作業です。造園や用地整備だと仕事は100%屋外で、先々の展望も明るいようです。グラウンド整備は2014年までに7%というほぼ平均的な成長率が見込まれています。園芸好きの人や屋外にいるのが好きな人には、向いているキャリアかもしれません。
2. ホスピタリティ業
レストランやホテル、観光地で働くホスピタリティ業は、オフィスの仕事が嫌いでも社交性が高く、チームの一員になるのが好きな人に向いています。労働統計局のレイティングによれば、宿泊施設管理者の職は、2024年までに8%の成長率が見込まれます。Cornell School of Hotel Managementでは、ホテル経営の学士号と修士号の取得が可能で、取得すると就活が有利になります(注:ホスピタリティ業界はもはや不況知らずとは言えない傾向にあります)。
3. 医療
医師、看護師、医療助手、セラピスト、言語聴覚士などは、仕事のやり方次第でオフィス内で過ごす時間は長くなります。しかし、病院や学校で働いたり、救命救急士として出動することもできます。「この10年で医療は最も早い成長を遂げた分野です。」とHanson氏は言います。「看護の仕事は需要が大きくて、もっともお金が稼げる分野です。医療関連の仕事の中には、呼吸療法士、採血士など学位がなくても就ける職種もあります。
現場で働く医療従事者のほとんどはデスクに縛られることはありません。労働統計局は、救命救急士は100人中96人がオフィス外で仕事をしており、成長率も24%と平均よりかなり高いので、将来の展望も明るいようです。理学療法士と医療助手の未来はさらに明るく、2024年までにそれぞれ34%と30%の成長率が見込まれています。
4. 建設業
ウォータークーラーの周りで井戸端会議に参加しなくてすむ外勤が希望ですか? 「製造業は衰退傾向にありますが、ブルーカラーの仕事はまだまだたくさんあります。」とHanson氏。「多くは義務教育以上の学歴に加えて何らかの資格が必要であり、管理職になりたい場合は、学士号かMBAが必須です。」労働統計局が「前途の明るい」職業として位置付けている屋根職人になると、なにしろ屋根をつける仕事ですから、必ず屋外で毎日仕事をすることになります。
私の家族は建設業に従事していました。あるとき、私はデスクに縛られる仕事に嫌気がさして、もっと屋根の上に座って過ごしたいと思いました。女性の屋根職人は多くありませんが、状況は変化しつつあります。従来とは異なる形態での雇用に備える女性向けのプログラムや、行政が後援する技術職向け登録実習もあります。
機械整備士もオフィスにいなくてよい職業で、手を使う仕事です。もし、メカに興味がありオフィスが嫌いな子供が私にいたら、風力タービンの保守技術員になることを勧めると思います。
5. 教職、学者
組織やコミュニティに属したくはあっても、コンピューターファイルのTPSレポートに煩わされたくない人は、義務教育あるいはそれより上の学校で教職に就くのも良いでしょう。小学校から高等学校まで職業としての教職の将来展望は平均的で、中等教育以降の教職に限ると成長率は13%と、平均を上回っています。しかし、非常勤採用になる可能性が高い点が指摘されています。障害がある子供たちのための体育カリキュラムを作成して実施する障害児用体育教員は特に需要が増える見込みです。
6. 林業
保存科学とと森林監督官は、労働統計局の展望では平均的な成長率が見込まれ、良いレイティングを獲得しています。特にアウトドア好きで、環境保護に熱心な人には、言うことなしですね。数年後にそこに森や公園ができればの話ではありますが。
7. 科学者
かつて私の知り合いに、1年の半分はフィールドワークの旅をして過ごし、残りの半分は教職と助成金を得るための論文を書いて過ごすフィールド生物学者の一家がいました。これはかなり素敵な生活ではないでしょうか(もっと羨ましがりたい人のために言うと、そのうちの1人は熱帯海洋生物学者でした)。労働統計局によれば、環境科学者とその分野の専門家の成長率は11%(平均以上)、動物学者と野生生物学者は4%(平均を下回る)です。でも、科学者と俳優のどちらになるか選ぶなら、科学者を選ぶ方が安全だと私は思います。
8. 旅行業・輸送業
バスやトラックの運転手の仕事はほぼ平均的な成長率が見込まれていますから、長時間座っているのは平気だけれど、特に社交的なわけではないという人には、向いている職業かもしれません。ただし、トラック運転手の場合は、交代で運転する同僚や犬と一緒に旅をする人が少なくないようです。フライトアテンダントもオフィスの中でする仕事ではありませんが、社交性と窮屈な制服を着ることが求められ、さらに屋外で仕事をするわけではありません。また、通勤も発生します。労働統計局は、この職種の成長率は2%としていて、あまり良いとは言えませんが、あちこちの名所を見ることができるという特権があります。
9. 警察官、消防士、法的執行機関職員
法的執行機関の仕事の大半はペーパーワークですが、外出もしますし、コミュニティにも属すことになります。ストレスが多くて大変な仕事です。労働統計局は4%の成長率(平均以下です)としていますが、「社会の安全が恒常的に求められるため、新規募集が見込まれる。ただし、需要は地域によって異なる」と指摘しています。警察の仕事も公共の秩序を守り、人道的で社会のためになる仕事をする機会を得られます。警察官が、大量逮捕よりも、人道的なコミュニティ指向の戦略を駆使して合成麻薬の蔓延と戦っている話に私も興味を持ちました。
10. 小売り業
Hanson氏いわく、小売業界は製造業界が衰退するにつれて成長してきましたが、仕事の需要はたくさんあるものの、必ずしも良い仕事ではありません。小売業の労働者は製造業と違って労働組合に守られていません。「小売業界で良い仕事に就くには、とびぬけて優れている必要があります。しかし、そうは言ってもマネジメントや財務部門には良い仕事がたくさんあります。」とHanson氏。ですから、地に足をつけて、人の役に立ち、チームワークで働くことが求められる小売業が好きで、これぞ自分の歩むべきキャリアだと感じるなら、1)先々高い役職につくために学士号かMBAを取得する、あるいは2)労働組合結成がうまくできるようになる、ことが必要かもしれません。最近最低賃金引き上げの動きがあるにしても、「組合賃金に代わるものではありません。」とHanson氏は言います。小売業界は2024年までに7%の成長率が見込まれており、これは平均的な成長率です。
11. 芸術
舞台俳優のことではありません。Hanson氏いわく、「大手制作会社でなく、権利擁護団体、報道機関や広告会社が制作したビデオや映画がどんどん出てきています。」こうした仕事についている人たちは、(芸術や映画を専攻した)クリエイティブなタイプだけでなく、「コミュニケーション関連ややソーシャルメディアマーケティングのバックグランドがある人もたくさんいます。」就活中の人が、クリエイティブなスキルとチームワーク、デジタルフィルムとテレビ業界の経験を組み合わせて生かしたいなら、これぞ、歩むべき道かもしれません。労働統計局は、映画やビデオの編集者や映像カメラマンの成長率は11%と見込んでおり、これは平均以上です。
というわけで、ここで興味深いことがあります。Hanson氏とBray氏に求職者に向けてアドバイスをお願いしたところ、2人とも同じことを言いました。それは、柔軟な姿勢であれということです。Bray氏のクライアントでオフィスに縛られたくない人は、同じぐらい興味深い2つの仕事を思いつきました。それは、グリーンエネルギーの仕事とカリブ海でバーかレストランをオープンする仕事でした(私の意見は、「いかなる場合も、カリブ海に行けるキャリアを選べ」です。)別のクライアントは、熱狂的なゲーム好きで、脱出ゲームの設計と運営をしようとしています。Bray氏は「そのプロセスを楽しんでください。リラックスして楽しめるほど、可能性が広がります。」と言います。
Hanson氏も、同じようなマインドセットを推奨していますが、「情熱を傾けられること」のことはこの際忘れるべきだという警告も付け加えています。「『情熱を傾けられることを追いかけろ』というバイアスが私たちにはありますが、職場に入ると、日々のつまらない仕事ばかりで驚きます。得意なことをしていると、時と共にそれが情熱を傾けられるものになっていきます。驚きを受け入れ、柔軟な姿勢を持ちましょう。何らかの形で人の役に立つような仕事をしてください。」
Leigh Anderson(原文/訳:春野ユリ)