全戦でパフォーマンスを最大限まで引き出すことに苦戦してこそいるものの、メルセデスはライバルのフェラーリより速いマシンを手にしていると確信している。
今季のタイトル争いは平衡状態を保っており、コンストラクターズ選手権ではメルセデスがフェラーリを8ポイントリードする一方、ドライバーズ選手権では後者に所属するセバスチャン・ベッテルが前者のドライバーであるルイス・ハミルトンに12ポイント差をつけている状態だ。純粋なペースを測る上で最も分かりやすい予選を比較すると、メルセデスが5回のポールポジションを獲得したのに対して、フェラーリは2回。しかし、メルセデスがフェラーリよりも深刻なスランプを経験したのも確かであり、その一例を挙げればハミルトンはモナコGP予選で13番手に沈んでいた。
ただし、メルセデスがポールポジションを獲得した際のフェラーリに対するマージンは、フェラーリがメルセデスを上回った場合のそれよりも大きい。平均すると、メルセデスがポールポジションを獲得した際にそれと近かった方のフェラーリの1台との差は0.354秒であり、立場を逆にした際の平均ギャップは0.092秒差となっている。
レースではベッテル駆るところのフェラーリが最も安定してポイントを稼いでおり、開幕から6戦でトップ2フィニッシュを遂げたほか、前戦カナダGPではオープニングラップでダメージを負いながらも4位につけた。対照的にピレリの最も柔らかいコンパウンドからベストの力を引き出すのに苦戦するメルセデスは、その影響から頻繁に調子が上下してきたが、同チームを率いるクリスチャン・トト・ウォルフはカナダで一歩前進できたことから、今はメルセデスがグリッド最速のマシンを有すると考えている。
「マシンについては歌姫のように気難しいとジョークを言ってきたものだ。だが、たとえ難しいときがあったとしても、良いマシンではある。それはわれわれがこのマシンが持つ多くのポジティブな特性を理解し、察知するために受け入れなければならないことだ」とウォルフは述べた。
「われわれのマシンはグリッド最速だと信じているし、他のマシンなどいらない」
「選手権は長い。良い週末もあれば、それほどではない週末もあるだろう。毎回ベストを尽くすことが重要だ。厳しいときにも獲得可能なポイントを最大化し、全てがまとまったときにはトロフィーを持ち帰らなければならない」
また、ウォルフは今季にハミルトンが厳しい状況から立て直した様子が、同ドライバーがメルセデスに加入して以来ベストのパフォーマンスを発揮している証拠だと言う。
「ルイスは彼がチームに加わって以来の過去5年間に私が見てきた中で、どの時点よりも良い位置にいる。それは彼がモントリオールで素晴らしい週末を過ごしたからだけではなく、タフな日々にうまく対応してきたからだ。それこそまさに、最高のものによって達成されている。難しい戦いになったとき、彼らはそれを迅速に乗り越え、そのときのチャンスを最大限に生かしている」