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魔法陣から変人が現れた
アーミル「ま、まった!」
ロミア「駄目ですよ。早く駒を動かして下さい」
私は日課となっている将棋をアーミルと行っている。
アーミル「うぐ…それじゃ、ここで……」
ロミア「はい、王手です」
将棋自体はここに来てからアーミルに教えて貰ったのだけれども、少ししたら私の方がずっと強くなってしまった。
アーミル「参りました…」
ロミア「ありがとうございました。アーミルさん全然手応え無いですね」
アーミル「そんな……びぇええええええん!」
泣いて逃げ去った。
この程度で泣き喚くなど安いプライドだと思う。
スカーレット「ロミアさん、あまりアーミルさんいじめちゃ駄目ですよ」
入れ替わりでスカーレットがやって来た。
メイド服のスカーレットがクッキーと紅茶を差し出す。
このクッキーは適度に甘くてダージリンとよく合い、私は大好きだ。
早速ひとつ摘み口に放り込む。
ロミア「あの人がヘタれなのがいけないのです」
口の中でシナモンの香りとはちみつの甘さが広がり、正に甘美である。
紅茶を啜れば、適度な渋みが味わいの彩りを広げる。
スカーレット「お嬢様がとても賢くてびっくりしているんですよ。アーミルさんも実際の所、魔界ではとても賢い方な筈なんですけれどね」
ロミア「そうなの? 意外」
人は見かけによらない。見かけは凄いヘタれに見えるというのに。
ロミア「スカーレットも一局付き合って欲しいな」
将棋盤を差し出してみる。
スカーレット「いえ、ごめんなさい私じゃお嬢様の足元にも及びませんから」
実際にスカーレットはアーミルより将棋が下手。
今回は適度に付き合えれば良いと思っていたのだが、フラれてしまった。
ロミア「むぅ…ねぇ、パパってまだ戻らない?」
スカーレット「状況が煮詰まらないようですので…」
ロミア「そっか…淋しいな…」
手慰みにズオー人形の腕を上下に動かす。
スカーレット「では、私はお洗濯をしてきますので失礼します」
ロミア「はい、またねスカーレット」
ズオー人形でばいばいを送る。
ロミア「パパどこに居るの…?」
窓の外を眺めれば、暗い冥色の霧と枯れた木草に黒い雨が降り注いでいる。
ロミア「いっそ私が探しに行っちゃおうかなー…」
ロミア「でも私はまだパパのようには強くないから冒険ちょっと怖い…」
どうすればズオーと再開出来るのか思考を巡らす。
部屋の床から魔法陣が現れた。
ロミア「えなにこの魔法陣」
メル「はろはろー。ごきげんよう」
魔法陣から変人が現れた。
ロミア「あのどちら様?」
メル「うわー思ったよりロリ可愛いこー」
変人こわい。
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