新田宮杯連覇 豪快な捲りでライバル倒した
岸和田競輪(大阪府)で18日、G1「第68回高松宮記念杯」の最終日が行われ、最終11Rの決勝で、新田祐大(福島・90期)が大会連覇を飾った。4日制以上のG1では4度目のV。新田は8番手で脚をため、2角から猛ダッシュ。3角手前で先頭に立った後も、脚色が衰えることなくゴール。これで優勝賞金2890万円と、年末のGP出場権を手にした。新田をマークした成田和也(福島・88期)が2着。九州勢の山田英明(佐賀・89期)は3着、井上昌己(長崎・86期)は5着だった。大会4日間の総売上額は約89億6000万円(目標98億円)。
■ヒーロー
昨年の名古屋に続き、またしても豪快な捲りでライバルをねじ伏せた。連覇達成だが、それよりも岸和田での第64回大会(準優勝)について口を開いた。「4年前も、ここで成田さんとワンツー。成田さんの優勝に貢献できて力が付いてきたという自信と、自分もタイトルをつかみたいという気持ちを強くした大会だった。高松宮杯には特別な思いがあります」。今回も優勝より「一番の目標は成田さんとのワンツーでした」。狙い通りの結果を出し、達成感に満ちた表情を見せた。
ナショナルチームのメンバーとして、トラック競技の練習に明け暮れている。「今まで競輪界のトップとして頑張ってきてはいたが、競技者として一流ではないと自覚していた。しかし、一流を育てられるナショナルチームのコーチの指導のもと、トレーニングに励んでいる」。昨秋就任したブノワ・ベトゥヘッドコーチらチームスタッフを信じて、自転車競技で世界と戦うことを第一に日々鍛錬している。「この優勝は、世界を目指す競技者を勇気づけられたと思う。僕らのやっているトレーニングは間違っていない、と」。競技のトレーニングで身につけた脚力で、現在最強の競輪選手とされる平原康多をも、なで切った。
競技と二足のわらじを履くため、どうしても本業の競輪に影響が出る。「なかなかG1に合わせられない。だからGP争いは(G1優勝ではなく)賞金での出場権争いになると思っていた」。ところが、GPの権利を6月で手中にした。「年末に向けて、スケジュールを組み直す」。賞金の上積みから解き放たれて、競輪から競技へと、重心が少し移るのかもしれない。
新田が追い求めている、競輪と競技の両立。競輪ファンにあきれるほどの強さを見せるだけでなく、東京五輪で全国民のヒーローとなる日が近づいているのかもしれない。 (野口雅洋)
■戦い終わって
成田和(2着)新田にだいぶ離れたが、ファンの声援ももらって、120%で走った。今回は流れが良かった。
山田英(3着)何もしないで終わるのはいやなので、何かやろうと。終1半は、緩んだので一車でも前にと内を踏んだ。いい位置は取れたが脚力がない。経験を積めたし、ステップアップできたと感じる。やっぱり優勝しないと…。もう一回チャンスをつかみたい。
井上昌(5着)吉田君が強かった。山田君の走りも間違ってはいないし、仕方がない。最低限の結果だが、3着には入りたかった。
■決勝戦VTR
新田-成田、稲垣-村上、山田-井上、吉田-平原-武田で周回。赤板で山田が上昇し誘導を切ると、すかさず吉田率いる関東3車が先頭へ。6番手は内に新田、外に稲垣が並走。打鐘で稲垣は外を踏み上げ関東勢に迫るが、終1角での武田のブロックで後退。その隙を突いて4番手から山田が内を上昇し、BSでは平原をどかして先頭の吉田に迫った。後方では新田が成田を連れて、パワー全開の8番手捲りを開始。先頭争いをしていた吉田と山田を3角手前で抜き去ると、成田へのリードを保ったままゴール。
2017/06/19付 西日本スポーツ