国際通貨基金(IMF)は19日、対日経済審査を終えて声明を公表した。「足元の経済動向は近年で最も好調だ」と評価しつつ「構造改革が遅れている」と指摘。労働市場の改革を通じた生産性向上や賃上げの必要性を強調した。日銀の金融政策については、年間の国債買い入れ額の言及をやめるなど市場との意思疎通を強化するよう求めた。
リプトン筆頭副専務理事が都内で記者会見し、「アベノミクスは成功している。働き方改革も正しい方向に向かっている」と述べた。そのうえで正社員と非正規の不合理な待遇差をなくす「同一労働同一賃金」などの実現を求めた。黒字企業には年3%の賃上げを奨励するよう提言。外国人労働者の活用も長期的な成長につながるとした。
財政政策については、消費税率の段階的な引き上げや社会保障費の抑制を求めた。短期的には需要を支える必要があるとして、2018年の財政政策は緊縮でも拡大でもない「おおむね中立」が望ましいとの見解を示した。