オスカー俳優ダニエル・デイ=ルイスさん、引退を発表
英国生まれの俳優ダニエル・デイ=ルイスさん(60)が20日、代理人を通じて引退を発表した。デイ=ルイスさんは、アカデミー賞主演男優賞を過去最多の3回受賞している。
エージェントのレスリー・ダートさんは、デイ=ルイスさんが「今後は俳優として働くのをやめる」と発表。「長年の仕事仲間や観客にとても感謝している」としながら、「これは私的な判断で、この件について本人も、本人の代理人もこれ以上コメントするのは差し控える」という。
英国とアイルランドの二重国籍を持つデイ=ルイスさんは、「マイ・レフトフット」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、「リンカーン」の3作でアカデミー賞主演男優賞を受賞している。
演劇学校を経て1971年に「Sunday Bloody Sunday」で映画デビューした後、「眺めのいい部屋」や「マイ・ビューティフル・ランドレット」に出演し注目された。
1990年の「マイ・レフトフット」で、脳性まひで左足の指しか動かせないアイルランドの画家クリスティー・ブラウンさんを演じ、初のアカデミー主演男優賞を獲得。続いて「ラスト・オブ・モヒカン」(1992年)でハリウッド大作の主演を務めたほか、「父の祈りを」(1993年)や「ボクサー」(1997年)といった、北アイルランド問題をテーマにした作品に出演。2002年にはマーティン・スコセーシ監督が米国における初期のアイルランド移民の姿を描いた「ギャングス・オブ・ニューヨーク」に出演した。
2008年には、米国の石油開発草創期を描いたポール・アンダーソン監督の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で、2度目のアカデミー賞主演男優賞を獲得。スティーブン・スピルバーグ監督の「リンカーン」(2013年)で3度目の同賞を得た。
近年では役の準備に長時間をかけ、撮影中は役になりきることでも知られるようになった。2014年にはナイト爵位を与えられ、「まったく驚いているし、それと同じくらいまったく大喜びしている」とコメントしていた。
最後の主演作は、1950年代ロンドンのファッション界を描くアンダーソン監督の「Phantom Thread」。今年12月の米国公開が予定されている。