ヤフー、ECで「ポイント大盤振る舞い」の思惑

ソフトバンクユーザー厚遇でライバルを猛追

小澤氏は自ら起こした会社を複数回売却した実業家で、ベンチャー投資も手掛ける人物だ(撮影:梅谷秀司)
ネット企業の国内大手・ヤフーが、モール型EC(多数のショップが独自の方法で出店する)の「Yahoo!ショッピング」で勝負に出ている。6月1日からは、これまでキャンペーンとして展開してきたソフトバンクユーザー向けにポイントを10倍とする施策を恒常化。顧客の囲い込みに打って出た。
ただ、ポイント施策は費用負担も大きい。今2018年3月期、ヤフー全体の業績予想は2期連続の営業減益。販促費を前期比で30%積み増す影響が大きく、そのうちの過半がショッピングとヤフオク!(ネットオークションサービス)関連のものだ。減益予想に厳しい目を向ける投資家も少なくない中、同社はEC事業の成長戦略をどのように描くのか。統括する小澤隆生・執行役員ショッピングカンパニー長に聞いた。

 

――前期(2017年3月期)はヤフーショッピングの商品点数や流通総額が大きく伸びた1年だった。社内の評価は?

公表ベースでいうと、だいたい予想どおり達成できた。ただショッピングの部門はつねに上(楽天やアマゾン)を追いかける段階なので、どこまで行っても"足りるはずがない"というか。上に行けば行くほどいいと考えている。満足はしていない。

競合の背中はまだまだ見えない

――最も重視しているのはどういった指標か?

基本的には取扱高だ。ここから得られる利益も大事だが、まだ日本においていちばん使われているサービスになったわけでもない。今の段階では、規模を大きくしていくのが先決。楽天、アマゾンと比べると、彼らは明確に開示をしていないものの、単純に考えて数倍の差をつけられている。まだ「背中が見えそう」というレベルですらない。

ヤフーショッピングのサイトではポイント10倍など、お得感を前面に押し出している

もちろんこれは、ヤフーショッピングのサービス単体で見るか、ヤフオク!なども含めたヤフーのEC事業全体で見るかで違ってくる。ヤフーのEC事業全体でいうと、(流通総額が)1.8兆円まで伸びているので、それなら「数倍の差」というほどではないかもしれない。

――さらに拡大を目指す策として、今期はソフトバンク利用者へのポイント10倍付与など、グループを挙げての取り組みが目を引く。

まず誰に対して最優先にアプローチすべきか考えたときに、ソフトバンクグループがおカネを頂戴しているユーザーだろうと。将来的には、日本国民全員に「ヤフーショッピングはいいサービスだね」と思ってもらいたいが、なにせ今は発展途上。ターゲットを多少狭めてでも、そのお客さんにとって最強のサービスとして認知してもらおうという考えだ。

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