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只見線の鉄路での復旧が正式に決定! 福島県とJR東日本が基本合意、2021年度の復旧へ

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只見線の気動車キハ40形

2011年7月の豪雨被害で6年近くに渡って不通となっている只見線の会津川口~只見間(27.6km)ですが、鉄道での復旧が正式に決まりました。6月19日に、福島県とJR東日本が基本合意に達し、基本合意書及び覚書を締結しました。

鉄路での復旧が正式に決定!

福島県(福島県と会津17市町村を代表)とJR東日本は、只見線の会津川口~只見間を鉄道で復旧 することを基本合意しました。

「只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」の締結について [PDF/141KB](JR東日本プレスリリース 2017年6月19日)

今回の基本合意の概要は以下の通りです。(ソースは上記のJR東日本のプレスリリース、若干要約しています)

  • 只見線の運休区間(会津川口~只見)を鉄道で復旧
  • 復旧後のスキーム: 上下分離方式
    • 福島県が鉄道施設を保有し、JR東日本が保有する車両を用いて運行
    • 福島県が「第三種鉄道事業者」、JR東日本が「第二種鉄道事業者」の許可を国土交通大臣より取得
    • 被災前の運転本数(1日3往復)を維持
  • 復旧工事
    • JR東日本が復旧工事を実施し、復旧後、営業運転再開までに福島県に無償で譲渡
    • 復旧工事の費用負担は、福島県が3分の2、JR東日本が3分の1
  • 復旧後の費用負担
    • 福島県は鉄道施設の使用料をJR東日本に請求するが、JR東日本の当該区間の収支に欠損が生じないよう、使用料を減免する

大枠は、昨年末に「只見線復興推進会議検討会」が出した方針のとおりとなっています。詳しくは、以下の記事にまとめています。

www.kzlifelog.com

JR東日本にとってはかなり良い条件

JR東日本は、バス転換を提案していましたが、沿線自治体が上下分離方式の導入や復旧工事費用の負担をするのであれば、それを尊重するとしていました。

今回の合意内容を見ると、JR東日本は、バス転換をあきらめ、鉄道での復旧という条件をのんだうえで、上下分離方式の導入など、かなり良い条件を勝ち取ったようです。

まず、上下分離方式の導入により、災害の多い同区間の鉄道施設の維持管理費用がなくなります。長期間の運休になるような大きな災害の場合には、復旧工事の費用は数十億円に上ることが多く、その費用負担から解放されるのは大きいでしょう。

もちろん、鉄道施設の使用料を福島県に支払う必要がありますが、「JR東日本の当該区間の収支に欠損が生じないよう、使用料を減免する」という条件になっており、下記の福島民報の報道によると、実質無償になるとのことです。

www.minpo.jp

つまり、今回の復旧区間に関しては、復旧工事さえ終わってしまえば、JR東日本の持ち出しは非常に少ない(ほぼゼロ?)ということです。

もちろん、今回の合意はあくまで運休区間(会津川口~只見間 27.6km)に限るもので、全長135.2kmにも及ぶ只見線のごく一部に過ぎません。運休区間以外は、これまでどおり、鉄道施設もJR東日本所有のままです。

沿線自治体は鉄道による地域振興を優先

福島県と沿線自治体は、なぜここまで譲歩して鉄道による復旧を選択したのでしょうか?

上記の福島民報の記事によると、

地方創生の視点を加味し、(1)鉄道を核とした新たな地域振興策の展開が可能になる(2)只見線の歴史的価値が守られる

とのことで、鉄道を用いた地域振興を目指していることがわかります。

只見線は、上越線の小出と磐越西線の会津若松を結ぶ路線です。上越新幹線に接続する観光列車などを走らせれば、首都圏の観光客を呼び込むことも可能ですし、会津若松など他の会津地域と連携した地域振興も可能との判断があったのでしょう。

運転再開は2021年度、只見線への観光列車の導入に期待!

復旧工事には3年程度を要するため、全線での運転再開は2021年度になる模様です。

只見線は、上越線~磐越西線を結ぶ周遊ルートを構成でき、青春18きっぷ利用者には利用価値が高い路線です。それに、今回復旧が決まった区間は、只見川に沿った車窓がとても美しいところです。気動車に揺られながらのんびりとした汽車旅を楽しむにはもってこいの路線です。

個人的には、ぜひ只見線に定期的に走る観光列車を導入してほしいと思っています。前述のとおり車窓は申し分ないですし、有名観光地である会津若松へのルートとしても活用できます。少し距離は長くなりますが、上越新幹線の越後湯沢駅や浦佐駅から、只見線を経由して、会津若松に至る観光列車があればいいな、と思います。

運転再開は早くて4年後としばらく先ですが、どうせ復旧させるのならば、かつての五能線のように、観光路線として生まれ変わらせてほしいと思います。