萩生田官房副長官 “不正確な文書が流出 強い憤り”

萩生田官房副長官 “不正確な文書が流出 強い憤り”
萩生田官房副長官は、学校法人「加計学園」の獣医学部の新設をめぐり、みずからの関与をうかがわせる新たな文書が確認されたことを受けてコメントを発表し、文部科学省から不確かな情報を混在させた個人メモだという説明があったとしたうえで、不正確なものが外部に流出したことに強い憤りを感じるとしています。
学校法人「加計学園」の獣医学部の新設をめぐって、文部科学省は、追加調査で確認された文書とは別に、萩生田官房副長官から新設を容認するよう求められたなどととした内容が記載された新たな文書が省内で見つかったことを明らかにしました。

これを受けて、萩生田副長官は20日午後、コメントを発表し、文部科学省から「文書は一担当者が伝聞など不確かな情報を混在させて作った個人メモであり、直属の上司である高等教育局長のチェックを受けていないなど著しく正確性を欠いたものだ」とする説明と謝罪があったことを明らかにしました。

そのうえで、獣医学部の新設について、文部科学省などから報告を受け、気づいた点を指摘することはあったが、具体的な指示や調整を行ったことはないとしています。

また、「総理は平成30年4月開学とおしりを切っていた」などと発言したと記されていることについて、「安倍総理大臣からいかなる指示も受けたことはなく、具体的に開学時期の指示をしていない」と事実関係を否定しています。

さらに、「加計学園の渡邊事務局長を文部科学省に行かせる」という記述があることについて、「渡邊事務局長という方とやり取りしたことはないし、名前も存じ上げていない」として事実関係を否定しています。

そして、「このような不正確なものが作成され、意図的に外部に流されたことについて非常に理解に苦しむとともに強い憤りを感じている。全く心当たりのない発言を『私の発言』とする文書やメールが、文部科学省の職員により作成されている意図はわからないが、私の名前が難しい政策課題について省内の調整を進めるために使われているとすれば極めて遺憾だ」としています。

文部科学相「ご迷惑をおかけした」

松野文部科学大臣は、20日午後、記者団に対し、「文書のタイトルは『萩生田副長官の発言』となっているが、実際は、高等教育局長が萩生田官房副長官に相談・説明した発言と、副長官の発言、それに書いた本人が周辺情報としてもっているものの3つの内容が混在している形になっていた。タイトルからすると、メモの内容は正確性を著しく欠いていた。副長官はじめ省外の皆さんにご迷惑をおかけした」と述べ、謝罪しました。

官房長官「指摘はあたらない」

菅官房長官は午後の記者会見で、「今治市については平成19年秋から獣医学部設置に関する提案を出しており、話題として出るのはむしろ当然ではないか。一方で、加計学園の便宜を図るため、萩生田副長官が具体的な調整を行い、指示を出すことはないと副長官がコメントしているとおりであり、『加計学園ありき』という指摘はあたらない」と述べました。

一方、菅官房長官は、民進党などが衆議院予算委員会の閉会中審査を求めていることについて、「国会のことは国会で決めていただくということに尽きる」と述べました。

義家文部科学副大臣が謝罪

義家文部科学副大臣は20日夕方、総理大臣官邸を訪れて萩生田官房副長官と面会したあと記者団に対し、「萩生田副長官には文部科学行政のさまざまな相談に乗っていただいていたことは事実で、文部科学省の一部で、萩生田副長官の名前を出して事にあたるという傾向があったのではないかと肌で感じている。その辺について説明し、ご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げた」と述べました。

また義家副大臣は、「10月21日には文部科学省の常磐・高等教育局長が議員会館で萩生田副長官と2人で話をした。そこに同席さえしていなくて、このような詳細なメモを作れるということはまずない。側聞情報も含め、備忘録として自分なりにまとめていたものの1つだと推測される」と説明しました。

一方、松野文部科学大臣も、萩生田副長官に電話で、「ご迷惑をお掛けして申し訳ない」と謝罪しました。

萩生田副長官の立場は

獣医学部新設をめぐっては、特区を所管する内閣府と、学部新設の許認可権を持つ文部科学省との間でせめぎ合う構図がありました。

萩生田氏は安倍総理大臣が議長を務める国家戦略特区諮問会議の議員ではありませんが、内閣府によりますと、官房副長官として、会議には慣例的に出席していたということです。

萩生田氏は20日発表したコメントの中で「文部科学省から報告を受け、気づいた点を指摘することはあったが、具体的な指示や調整を行ったことはない」と否定しています。

また、萩生田氏は加計学園が千葉県銚子市で運営する千葉科学大学で一時期、「客員教授」となり、報酬を受けていたとしています。現在は「名誉客員教授」ということで、報酬は受けてないということです。

野党から「学園の利害関係者が規制緩和の調整をしたことになるのではないか」と指摘されたのに対して、萩生田氏は「名誉客員教授は肩書だけの立場で、一度も学校に行っておらず、報酬も一切もらっていない」と説明しています。

専門家「加計学園 有利なら問題」

萩生田氏が内閣官房副長官の立場で、規制官庁の文部科学省の相談に乗っていたことについて、特区制度に詳しい立命館大学の高橋伸彰教授は「内閣官房副長官であっても、特定の人や法人の利益を誘導した形になっていなければ相談に乗ること自体は問題がない。今回の場合、萩生田氏が調整に動いた結果加計学園に有利な結果となったとすれば、立場を越えていたと見られてもしかたがない」と話しています。

また、萩生田氏が加計学園が運営する千葉科学大学で名誉客員教授になっていることについては、「理事長や経営者など学園を代表する立場ではなく、問題はないと思う。ただし、ほかの客員教授に比べて優遇されていないか、利害関係の有無は明らかにする必要がある」と指摘しています。